為您的日常生活增添色彩。

Cafetalk Tutor's Column

Abemomo 講師的專欄

小説:裸の王様な男 2/2

2019年9月9日

2話 ハリボテ

FP業界は狭い。だいたい、どこに行っても顔を合わせるメンバーは決まっている。その頃執筆活動をしていた谷藤と矢部は、編集を行っている企業の集まりなどでよく顔を合わせた。その度に谷藤は矢部から逃げるように過ごしていた。

 

谷藤は「コンサルタント」という肩書で、20代で独立ということもあって、各所から注目を集めた。有名なサイトからも執筆依頼が来たし、講演依頼もあった。しかしどれも単発だった。理由は簡単だ。能力がなかったからだ。

 

もう少し社会人経験の長い人間であれば、そこで努力するという選択をしたであろう。しかし、谷藤は努力を経験する前に会社を辞めてしまった。教えてくれる先輩はどこにもいなかった。

自分にオファーが来ないのは相手企業が悪い、ネット上に書かれるネガティブコメントのせいだ、と全部周りのせいにし、どんどん腐っていった。

 

FP CUPがうまく機能しないのを知った谷藤は、もっと広告収入目当てのサイトを作った。モネというサイトだ。「MOney NEcessary」(お金の必要性)を訴えるサイトなどというもっともらしいキャッチを作り、お金のコラム中心のサイトにした。コラムはすべてFPに執筆させた。大半のFPは「FP CUPの登録料はモネの執筆料で相殺されますよ」と言われて流れ込んできたFPで、要するに無償で原稿を書いているようなものだった。

 

そういうこともあって、内容の質は問わなかった。

しかし、最初からパクリ記事を載せようと思っていたわけでもなかった。

きっかけは登録FPのタケダ桐子だった。シングルマザーだった桐子はどんな手を使ってでも稼がなければいけなかった。

 

繰り返すがFP業界は狭い。相談サイトでも、執筆サイトでも桐子の先には矢部がいた。矢部は桐子のことは知らなかったが、桐子にとって矢部は目標であった。

桐子はしれーっと矢部のコラムをパクってモネに載せた。「占い x お金」がテーマの4部作コラムだ。しかし、無名の桐子の書いたコラムはパクリであろうとなかろうと誰も見向きもしなかった。

 

「誰にもバレないんだ・・・」

これに味を占めたのが谷藤だった。

 

その後、矢部が桐子のパクリを見つけて自分のブログで指摘したが、全く無名の桐子には、やはり誰にも興味を示さなかった。

 

谷藤は確信した。

努力をしないで自分をよく見せるにはどうしたらいいか。

よく見える人のネタを拝借すればいい。

谷藤はそんなことを考えるようになっていった。

 

本も出版したが、どこかで読んだような内容を抜粋ばかり、もっとはっきり言えばパクリ本だった。そんな本にいい評が付くはずはないのだが、ご丁寧に目次には「アンチも気にするな」などという項目も設けていた。

 

ここで知っておいていただきたいのは、本がたくさん出版できるのは執筆者の実力ではない。出版社の事情だ。売れない本が多ければ多いほど、書店からの返品とそれに伴う返金が多くなる。それを相殺するために、次から次に新しい本を出版して書店に置いてもらう。そうやって書店との取引をしているのだ。ハリボテな谷藤はちょうどいい存在だった。「いいことが書いてありそうな本」を書いてくれる人物なら誰でもよかったのだ。

 

もちろん、谷藤は出版すればするほど、「読む価値はない」という烙印が押されていくだけだった。

 

ミカンは1個腐ると周りのミカンもどんどん腐り始めるが、どれが最初の1個だったんだろうと思うことがある。人間の場合も最初の一人が腐ると周りが腐っていくのだろうか。それとも腐っている同士引き寄せ合うのだろうか。

 

岡澤さえこは共通のFPを通して知り合った。腐ったミカンというよりは悪魔のような女だった。自分が一番でないと気に入らない。そのためだったら、どんな手を使ってでも自分より優れている人間は消してもいいと思っていた。

 

矢部から逃げ回っている谷藤と、矢部を疎ましく思っているさえこ。

どちらからともなく利害は一致していった。

 

「岡澤さん、もっと記事書かない?」

あとは堕ちていくしかなかった。。

fin

 

專欄文章僅代表作者個人觀點,不代表咖啡滔客的立場。

線上客服諮詢