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Cafetalk Tutor's Column

Sanae Berlin 講師のコラム

オーケストラ、各国の音の違いはどこから?

2020年7月13日 | 2 コメント

ドイツのオーケストラのあの厚い音は
どこから来るのでしょうか。

 

各国によってオーケストラのアンサンブル、
音の合わせ方は微妙に違います。

 

ヨーロッパのオーケストラで管楽器が
中心になっているところもありますが
ドイツでは分厚い弦楽器の音に
管楽器が乗って音が合わさっていきます。

 

ドイツで勉強をしている時に、一番厚くて
暗い音の通称ゼンパーオパー、ドレスデン
州立歌劇場のシュターッツカペレの
コンサートマスターをされている
クリスチャン・ウーリッヒ教授にレッスンを
受け、その音を出すコツを聞いてみました。

私は腕の重みを乗せてビブラートもしっかり
かけて音を出すのかと思っていました。
でも、その方法では音の深みと暗さが
どうしても足りません。

教授の方法を聞いてとても驚きました。



「軽く、弓をたくさん使って」



その瞬間
求めていたシュターッツカペレ独特の暗く、豊潤な音がバイオリンから出ました。

G線で腕の重みをかけないで、むしろ少し
浮かし気味にして弓を沢山使うと
ビブラートをそんなにかけなくても
弓の速度で豊かな厚い響きを持った音が
でるのです。


本当にびっくりしました。


 

ドイツに来る前は、イギリスでの音大で勉強
していたのですが、ある時、ロンドンの
夏の風物詩ともいえる夏から秋にかけて
2ヶ月間行われるプロムナードコンサート
いわゆるプロムスで
NHK交響楽団が
日本から招かれ演奏をされる事になりました。

日本で学生時代からお世話になった
横山俊朗先生が参加されていると伺い
名物の当日券の長蛇の列に並び聴きに
行きました。
 

フランスの作品を演奏したのですが
久しぶりに日本のオーケストラの音を
聴いて、なんて柔らかく繊細で綺麗な音
なんだろうと思いました。

コンサートマスターの音に皆が集まり
色を水彩画のようににじませ、美しい
新たな色を作っているようでした。
曲の中で現れるピッチカートは圧巻でした。

虹色のしずくが一滴、筆から垂れたような美しい音が曲全体を印象付けていました。



日本の音を水彩画とするとイギリスは色がはっきりしているアクリルでしょうか。

たまに小さいアクセントをつける他は
音を押したり、安定させるために待つ事は
少なく、むしろメロディーを気持ちよく
流して軽やかに弾いていたことが
多かったと思います。音大での先生の
褒め言葉も


クール、スタイリッシュ!


(いき)に演奏する事が求められて
いました。

 

 

リズムの取り方も各国で違いがあるよう
です。
 

イギリスで音大を卒業した後の
ドイツでの話なのですが、ドレスデンの
音大の受験準備期間にその音大の
学生オケに参加する事になりました。
学生も忙しくピンチヒッターで
お手伝い程度でと言う事だったので
ありがたく引き受けさせていただきました。

その頃はドイツの弾き方の知識は
ゼロだったのでイギリス式に
16音符を軽く
弾いてしまい、どうしてもオーケストラの
中で一人、先を走ってしまい苦労して
いました。

違いを教えてくれたのはやはり先述の
ウーリッヒ先生でした。
16音符の連続
いわゆる刻みですが、
4つの16音符の
最初の音と
4つ目の最後の音をほんの少し
長めに弾くと、長い刻みでもリズムが崩れる
事がなく両足がしっかりした橋のように
安定して聞こえます。ドイツの音の重い
くらいの安定感の秘密が一つ分かったような
気がしました。

ドイツ語の文法も、助動詞や分離動詞など、
大切な言葉がはじめの方と最後に来る
わく構造が多く、言葉と音楽というのは
似るものなのかなと思ったりする
この頃です。


さて、初コラム楽しんで頂けたでしょうか。
読みにくい、つまらない等も辛口なご意見も
含めて大歓迎です。

ベルリンはコロナが少し落ち着き
町にも活気が戻ってきましたが、コンサート
再開までは、まだ時間がかかるようです。 

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