バイオリンを弾き始めて間もない頃の楽譜を眺めていると、まるで昔のアルバムを見ているかのような、懐かしい気持ちになります。
当時は母親が必ずレッスンに付き添い、先生に教わったことを事細かに記録してくれていました。
母の字で書き込まれた楽譜を見ていると、難しかったこと、思うように弾けなかったこと、本番での出来事など…いろいろと思い出されます。
不思議なもので、20年経った今見返しても改めて学ぶことがあったり、今になってようやく自分の中にすんなりと入ってくるということもあるのです。
先生の言葉に限らず、演奏を聴いて感じたこと、友人との会話、本で読んだこと、日常生活の中で感じたことなど…
私たちが経験する多くのことが、瞬間的に感じられることのみにとどまらず、十分な時間をかけて咀嚼してはじめて自分の骨身に染みることも孕んでいるのだろうと思います。
20年前の楽譜は、まだまだ多くのことを私に伝えてくれています。