「塾とは別の可能性」
こんにちは。講師のbananafishです。
第9回以降では、実際の生徒をモデルに、塾というシステムをよりよく活用するヒントについて、展開するつもりでしたが、思うところがあり路線変更することにしました。
まずは、第4回のコラムで着目した、「学習塾の費用と家計のバランス」についての番外編として、改めて、教育費用について少しだけ具体的な数字で全体像を確かめておきましょう。
塾通いを検討するご家庭の内、多くを占めるのが、「子どものための投資は惜しみなくないけれど、できれば抑えたい」という段階の経済力を持つご家庭であるといえます。塾に通わない選択は、本当に子どものための「投資を惜しんでいる」といえるのでしょうか?それとも、子どものために「別の可能性を選択している」と考えることはできないのでしょうか?
「別の可能性を選択している」と考える準備として、改めて教育費用の概算を見てみましょう。
「塾とは別の可能性」
お子さん一人当たりの教育費の目安の一つに、1000万円というのが一般的に浸透している金額だと思います。子どもを育てないという選択をしている私でさえも、なんとなく知っている一般的な数字だと思います。しかし、妥当な数字であるといえるのでしょうか?
1000万円の内訳を覗いてみましょう。
保険屋さんの資料がわかりやすかったので、シェアします。
https://www.orixlife.co.jp/guide/navi/education.html
ざっくりまとめると、幼稚園から大学まで、公立に通うのであれば、870万くらい。ずっと私立に通うのであれば、2300万から、医療系を目指すのであれば、4000万円あっても足りないという感じです。
この数字は、あくまでも、学校教育に関する費用であって、お稽古事や学習塾の費用は入っていないので、お稽古事や学習塾の費用を考慮してみます。
お稽古事の種類や、学習塾では小学校低学年から大学受験生まで、単価を統一できるものではありませんが、週1回、1種類のお稽古事、あるいは学習塾の授業1教科の単価を2500円とみなして単純計算するだけで、全体像は見えてきます。
小学校4年生から大学受験まで、週1回通った場合
2500円x週1回x月4週x年12カ月x9年間=108万円
小学校4年生から大学受験まで、週3回通った場合
2500円x週3回x月4週x年12カ月x9年間=324万円
実質、経済力の問題はさておき、お稽古事にも、学習塾にも一切行かない選択をあえてするご家庭は、ほとんどないと思われます。幼稚園から小学校低学年の間にも、週2~3回のお稽古事をしているお子さんが主流です。
特殊なお稽古事や、学習塾では高学年になるにつれ、単価が上がります。更に、入会金などの初期費用、楽器やユニフォーム、教材費などといった実質的な諸経費が別途必要となります。
乱暴なまでに、単純計算しただけでも、教育費の目安として1000万というのは、かなり制限された内容で、一般的なご家庭で覚悟すべき出費とはかけはなれているということを、改めておわかりいただけたと思います。
公的補助や教育ローンなどのサポートも活用できるものは活用すべきです。しかし、最大限に活用したところで、家計バランスを考える上では、あくまでもサポートであり、無理のない計画であるとは言い切れません。
無理のある計画は、結果として全体にマイナスの影響を与えます。家計だけでなく、お子さんの将来にもマイナスの影響を与える可能性のある計画を見直し、プラスの影響を与える計画へと方向転換してみませんか?
ということで、教育費用を抑える努力は、子どものための「投資を惜しんでいる」のではなく、子どものために「別の可能性を選択している」と考える準備が出来てきたのではないでしょうか?
「塾とは別の可能性」
では、子どものための「別の可能性」とは一体、どんな可能性なのでしょうか?
学習塾の目的は、学校教育というシステムの中で成功することです。学校教育を優位な状態で卒業し、できるだけ優位な状態で社会に出ることが最終ゴールです。そのゴールは、人生の中のほんのスタート地点です。
「塾に通わない」選択をすることで、「身に付けることができる技術」とは、その人生のスタート地点から、幸せに生きていく技術ではないでしょうか?
次回以降、「塾に通わない」選択をすることで、「身に付けることができる技術」とは何かについて、学習指導要領改訂に伴う、教育現場の変化とともに検証していこうと思っています。
では、次回もお楽しみに!