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Cafetalk Tutor's Column

Yukiko.T 講師のコラム

여우비[ヨウビ]

2021年5月14日

 今年は梅雨入りが早い傾向にあるとのこと。私の暮らす九州北部でもすでに高温多湿の日が多くなり、梅雨の気配をひしひしと感じる今日この頃です。
 さて、皆さんは「여우비[ヨウビ](キツネ雨)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。だいぶ昔のドラマですが、『여름향기[ヨルミャンギ](夏の香り)』にも物語の重要なキーワードとして登場しています。「여우비[ヨウビ]」とは、天気雨のことです。韓国では、天気雨が降ることを「여우가 시집가다[ヨウガシジプカダ](キツネが嫁入りする)」と表現します。奇しくも、日本の「キツネの嫁入り」という表現と合致しますね。ちなみに、韓国で天気雨を表す言葉には別バージョンがあり、「호랑이가 장가가다[ホランイガジャンガガダ](トラが婿入りする)」と言う人もいますよ!ひょっとしたら、トラとキツネのカップルなのかも知れませんよね~^^
 ところで、「장가가다[ジャンガガダ]시집가다[シジプカダ]」は、日常生活でも「結婚する」という意味で当たり前に使われています。「장가[ジャンガ]」とは妻の実家、「시집[シジプ]」とは夫の実家を意味します。つまり、男性が結婚することを「妻の実家に行く」、女性が結婚することを「夫の実家に行く」と表現している訳です。それでは、なぜこのように表現されているのでしょうか。これらの語源は、はるか三国時代の辺りまでさかのぼります。かつての高句麗は母系社会だったと言われており、婚姻するとまずは夫が妻の実家に入って暮らしました。今で言う「マスオさん」だったのです。そして1人目の子供が生まれたら、今度は夫の実家に移り住みました。そのため、男性の結婚を「妻の実家に行く」、女性の結婚を「夫の実家に行く」と表現するようになったんですね。それにしても、大昔は母系社会だったのに、どのような経緯でバリバリの父系社会へと変化したのか、とっても不思議です……。

 

 

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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