動詞+「た」は、すべて過去？

2021年9月28日

日本語を勉強している生徒の多くは、（動詞+た）を過去形と思っています。　

１週間前、お菓子を買いました。

２日前、試合に勝ちました。

昨日、一晩中財布を探しました。でもありませんでした。

これらは、過去を表す言葉が最初に付いています。

だから過去（形）です。

では下の文はどうでしょう。

八百屋に買物に行きます。お店の人が叫んでいます。

「買った、買った～～。さぁ～、今日は安いよ～、買った～」

これ、お客さんはまだ何も買っていません。

買っていないのに「買った」

これは、お客が買いたいと言う気持ちを、お店の人が誘発（ゆうはつ）するための言

葉です。

お店の人が、お客の気持ちになって言う言葉と考えると分かり易くなります。

サッカーの試合をしています。サッカーの試合時間は、９０分ですね。

１対０で、自分が応援するチームが勝っています。

まだ試合は終わっていません。

８５分になりました。味方のチームが追い込まれています。

防戦一方（ぼうせんいっぽう）です。

でも、９０分になりました。

試合が終わりました。

勝ちました。

この時、みんな言います。叫びます。「勝った～。やった～。」

この「勝った～、やった～」は過去（形）ではありません

（「完了」と言う先生はいるかもしれませんが。）

探し物をしています。

これから買い物に行きます。

でも財布がありません。

もう３０分財布を探しています。

なかなか見つかりません。

あと５分探して財布がなかったら、今日は、買物をあきらめよう。

その２分後、財布がありました。見つかりました。

「あった～。財布、あった～」

これ、過去ではありません。

ここは、大学です。

先生が言います。

今日は９月１６日です。１週間後の９月２３日試験をします。

授業が終わりました。

生徒Ａが先生に言います。

先生、９月２３日は、秋分の日で祝日ですから学校休みですよ。

それを聞いた先生は言います。

「そうだ、９月２３日は休みだった。」

今日は９月１６日。

９月２３日は、９月１６日より後です。

でも「９月２３日は休みだった」

これ、過去ではありません。

非過去です。

外国人への日本語教育の世界では、これを「非過去」と表現します。

普通の日本人は「非過去」と言う言葉を知りません。使いません。

大事な事

「動詞+た」は、過去でない場合もあります。（すくないですが）

みなさんは、非過去と言う言葉を覚える必要はありません。

あねがわ　でした。

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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anegawa 講師のコラム