3月25日から、今年の7月のJLPTの申込受付が始まりました。
初めてこの試験を受ける方々のために、この試験について紹介したいと思います。
上の級からN1からN5まであり、大学進学はN1、専門学校進学はN2が目安とされています。
そして注意することとしては、この試験が「絶対評価」ということです。
この試験は「文字語彙」「文法」「読解」「聴解」の各分野に分かれており、合格するにはそれぞれの分野で必ず19点以上、全分野合計でN5は80点、N4とN2は90点、N3は95点、100点以上の得点が必須です。
1分野でも18点以下だったら不合格になってしまうという点で、厳しい一面となっています。
そして、全分野で合計点が最低76点だったとしても、合格ラインまでまだ点数が必要なのです。
これで合格までもまた1つ、ハードルが存在するわけです。
https://www.jlpt.jp/guideline/results.html
では、分野ごとにどんな形式で出題されるのでしょうか。
各級ごとにまたがって共通するものもありますので、ひとまとめに説明していきます。
(2018年度発行の公式問題集第二集を基準としています)
【文字語彙】
・漢字読み&表記(N1は表記問題がなし)
漢字は日本語学習の宿命と言えるでしょう。
ただ、筆者の感覚としては出題傾向として、いわゆる「音読み」「訓読み」が多く出題され、それ以外の「重箱読み」「湯桶読み」「当て字」の問題は少なめですね。残りの3者の読み方の語彙はそのまま覚えたほうが手っ取り早いかもしれません。
・文脈規定
単文の空所に入れる単語を選びます。
前後の文法構成から、正しいものを区別することが多いですね。
・言い換え類義
単文の下線の語彙と、同じ意味のものを選びます。
・用法
4つの文に共通して同じ語彙が下線を引かれた状態で出され、この4つの中から正しい使われ方の文を選びます。
残りの3つは時間の許す限り、正しい使い方に変えていったほうが、知識を定着させるにはもってこいかもしれません。
・語形成(N2のみ)
主に漢字語彙で、派生語・複合語の作り方の問題です。
日本人でも何気なく使っている単語の前後に一文字を追加すれば、どのような意味となるかを考えてみると、その使い方がわかってくると思われます。
【文法】
・文の文法1(空所補充)
文法問題で、単文の空所に合うものを入れる、というものです。
助詞、動詞の時制や活用など、文法項目を理解しているかを問う問題が目立ちますね。
・文の文法2(文の組み立て)
単文で、自然な順序に並び替え、★印の所に入るものを選ぶというものです。
これは該当文法が選択肢のどこにあるのか、それで決まります。
・文章の文法
文章の空所に入れるものを選ぶものです。これも前後の関係を見れば、把握できるものが大多数です。
【読解】
一番苦手意識のある人が多そうですが、設問を最初に読み、1段落につき1問、設問があるパターンが大多数です。
また、文章の最初と最後に概要が書かれていることが多く、それが設問回答への近道となることもあります。(日本語に限らず、TOEICなどの外国語の読解試験でも同様です)
「そうは言っても、漢字がわからない…」という人も多いでしょう。
読解問題では漢字の読み方よりも、意味を知っていたほうが設問回答には役に立ちます。
どうしても読み方がわからなければ、意味だけ想像して、先に進めるのが試験時間の効率的な使い方になります。
・短文
200字ほどの問題文があり、設問は1つ。
ツイートを1つするのには140字なので、それの延長上だと思えば少しは楽?
・中文
1ページに500字ほどの問題があり、設問は3つまで。
・長文
1000字ほどの問題文が1ページ、設問が4つまで。
・情報検索
お知らせや説明などの文章を読み、設問に回答。
【聴解】
・課題理解
4つの選択肢のみが問題用紙に印刷された状態で、最初に設問が流れ、それから会話文が一度だけ流れます。
そして最後にもう一度、設問が流れるので、選択肢の中から正しい答えを選ぶ形式です。
最初に流れる設問をメモしておいて、それから会話を聞きながら考えるのが最も素早い回答への近道と言えるでしょう。また、設問の中に出てくる疑問詞―なぜ、何、いつ、どこ、いくら、だれ―に注目するのも手です。
これで時間に余裕ができれば、次の問題の選択肢も先回りして読むことができますからね。
なお問題によっては、絵の選択肢を選ぶものもあります。
・ポイント理解
課題理解と同じく、4つの選択肢が問題用紙に書かれています。そして、最初に設問が流れ、続いて会話文、もう一度設問という流れです。
こちらも設問では課題理解と同じく、疑問詞に注目することが求められます。
・概要理解
課題理解やポイント理解と異なり、問題用紙には何も印刷されていない状態で、最初にアナウンスなどの単独発話が流れます。そして、最後に設問と選択肢が流れ、正しいものを選ぶというわけです。
全て聞き取らなければならないうえに、最初に設問が流れないためにどこに着目すればいいのかがわからないという意味で、一度にハードルが上がったと感じる人もいることでしょう。
対策としては、その単独発話のうち、大まかな特徴についてメモを取ることがおすすめです。そして、最後に設問と選択肢が流れたら、そこでそのメモが役に立つはずです。
・発話表現(N5~N3のみ)
ある状況を描いた絵で、絵の中の人がどのような発話をするかを問う問題です。
文法関連の問題だけでなく、挨拶表現を問うものもあります。
・即時応答
相手の言ったことに対する答え方として、自然なものを選ぶというものです。
こちらも文法―筆者の感覚では、授受表現が多いです―のほか、挨拶表現も出題されます。
・統合理解(N1、N2のみ)
長めの会話やアナウンスを聞いた後、概要理解と同じく、設問と選択肢が全て音声で流れます。
問題の難易度としてはこのセクションが最も高く、放送と会話が1つの問題文になっている場合もあります。
そのため、この問題もメモを取っておくのがおすすめです。
以上、試験問題についての詳細でした。
これから受験を考えていらっしゃる方に、ご参考になれば幸いです。
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