養生訓(原文)
甚(はなはだ)腥(なまぐさ)く脂(あぶら)多き魚(うお)食ふべからず。魚のわたは油多し。食べからず。なしもの,ことにつかえやすし。痰を生ず。さし身、鱠(なます)は人により斟酌(すんしゃく)すべし。酢(す)過(すぎ)たるをいむ。虚冷(きょれい)の人は、あたゝめ食(くらう)ふべし。
鮓(すし)は老人・病人食(くら)ふべからず、消化しがたし。殊(こと)に未熟の時、又熟(じゅく)し過(すぎ)て日をへたる、食ふべからず。ゑ(え)びの鮓毒あり。うなぎの鮓(すし)消化しがたし。皆食ふべからず。大(おおい)なる鳥の皮、魚の皮のあつきは、かたくして油多し。食ふべからず。消しがたし。
意訳
生臭く脂身の多い魚は、食べない方がよいでしょう。魚の内臓は脂肪が多いです。塩辛は消化が悪く痰が出ます。大きい鳥の皮や魚の皮が厚いものは消化が悪いです。
気づき
なしもの「鱁鮧 」とは、塩辛 (しおから) または、魚醤 (うおひしお) の事を指すものと思われます。また、なます「膾・鱠」とは、薄く細く切った生の魚肉を酢に浸した食品を指すようです。