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遠回りも楽しもう!

Remi Inari

こんにちは!作曲家で音楽科講師のRemiです。
今年ももうすぐ8月ですね。みなさまいかがお過ごしでしょうか?
私はやや夏バテ気味です...頑張る生徒さんたちや、仕事仲間、家族のサポートから活力をもらって、試行錯誤中です。

そんな中、とても共感できる動画メッセージに出会いました。トランペット奏者のエリック宮城さんからのメッセージです。
https://youtu.be/PxhE0AmGTmI?si=43Wwthy3CFke3elZ

オンライン上で気軽に見られるレッスン動画等の取り扱いについて、とても丁寧で優しい言葉でアドバイスしてくださっています。詳しい内容については、私が下手に略してエリックさんの真意が伝わらなくなってしまうといけないので、直接エリックさんの動画(3分ほどです。)を見ていただければと思います。

以前から色んな生徒さんと関わらせていただく中で、「気をつけて欲しいな」と思っていたことにも言及してくださっていますし、何よりも、私自身もレッスンを提供する立場の一人として、どのように生徒さんに情報や技術を伝えていくかをより一層気をつけていかなければならないということを、改めて考えさせられます。

気軽で安い/無料の知識や情報が手に入るというのは、現代のとてもいいところですよね。私も運動不足解消のエクササイズ動画を見たり、料理のレシピや作り方を参考にしたり、英語のネイティブの発音や文法を検索したりと、毎日のように利用しています。

本当にたくさんの情報で溢れているので、取捨選択が重要ですが、人間というのはやはり耳触りの良いキャッチコピーに吸い込まれていくもの...しかも多くの人がそのキャッチコピーに吸い込まれ、とりあえず動画を視聴することで、視聴回数が増え、人気動画として、オススメで出て来やすくなったり、検索結果の上位に出て来やすくな理、さらに視聴回数が伸び、「たくさんの人が見ているということは”正しいモノ”」のようになってしまいますよね。

もちろん本当に素晴らしいものもたくさんあるのだと思いますが、誤解を生じやすいものも多くあるような気はします。

”誤解を生じやすいもの”に関しても、発信者に悪意があるとは限らず、本当に視聴者の役に立てばと思って作られた物の場合もあるのだと思います。ただ重要になってくるのは「人間はひとりひとり違う」ということを念頭に置いているかどうかですよね。

これはオンラインに限ったことではなく、身の回りの人、テレビや本、雑誌、新聞などが主な情報源だった時代からずっとそうだったと思うのですが、

わかりやすい例だと、「一週間で5kg痩せる方法!」というキャッチコピーがあれば、多くの人が飛びついてしまうと思いますが、それを実践した人の中でも、
・本当に一週間で5kg痩せる人
・全く痩せない人
・ちょっとしか痩せない人
・健康になる人
・健康に害が出てしまう人
さまざまなパターンに分かれると思います。また、同じ方法だったとしても、人それぞれの解釈や心身の特徴の違いによって、正しく実践できていたかも不明瞭です。
そして実はダイエットマシーンやサプリメントへの誘導だったり...

痩せるとか、太るとか、そういった人間誰でも体験することだと、その方法も自分に合っているとか合っていないとかに気がつきやすかったり、身の回りにいる人が気がついてくれる人がいる可能性も高いかもしれませんが、少し専門性のある音楽レッスンとなると、「個人差がある」ということに発信側も言及が足りなかったり、受け手も気が付かなくて盲信してしまったりすることがあります。

確かに、音楽レッスンのたびに「個人差があります!」と毎回、コメントするごとに注釈を入れるのは鬱陶しいかもしれませんが、レッスンを提供する側が「生徒さん一人一人の違い」についてしっかりと考慮しているかどうかはとても重要です。

私自身の担当科目が、作曲と音楽理論を並行したもの、楽器の演奏と音楽理論を並行したものなど、生徒さんのリクエストによって複合的なものであることがほとんどなので、一人一人の求めているもの、必要なものの違いや進捗状況が全く違うという前提のため、常にレッスンをオーダーメイドするような感じではありますが、それでも毎回「もっとこの生徒さんに合った伝え方や進め方はないかな」「もっと私が身につけておく知識や技術は何かな」と常に反省と研究の繰り返しです。生徒さんに講師として人間として成長させていただいているのだと思います。今回のエリックさんの動画を見て、ますます一人の音楽従事者としても、教える立場としてもますます気を引き締めて精進しなくてはと思いました。

生徒さんにあたる立場のみなさんへの私からのメッセージとしては、様々な情報源や、色々な先生が色々違うことを言って混乱することもあるかと思いますが、
まず一つ目はどんな先生に対しても、自分が求めていることは何かをできるだけ具体的に伝える、何が自分に合っているかを自分で考えて、考えていることや気持ちを伝えるようにしてみて欲しいと思います。
先生には言いづらい、とか伝えづらい、とかあると思いますが、そもそも生徒さんの話をちゃんと聞けない先生というのはまず要注意人物ですし、それこそ、現代は色んな人が色々な媒体で教えていて色々なプロの意見やアイデアを気軽に入手できますから、「この先生に嫌われたらどうしよう、怒られたらどうしよう」とかは心配しすぎずに、伝えてみる。もし聞く耳を持ってもらえなかったら他の先生や専門家の意見を求めたり、あまりにも不快な場合にはそもそもの人間の相性みたいなものもあると思いますから、迷わずにレッスン環境を変えて良いと思います。

そして二つ目は、迷わずレッスン環境を変えると言ったばかりではあるのですが、息詰まった時、壁にぶつかった時に近道を探しすぎないで欲しいということです。
なにか物事にトライしている時には、必ず息詰まったり、壁にぶつかったり、思い通りにいかないことが出てきます。上手くいかないことが出てくるのはあなたが何かに向かって頑張って成長している証拠だと思います。
もちろん、上手くいかないと辛くて苦しいです。一生懸命に頑張っているからこそ、思い悩んで藁にもすがる思いだと、耳触りの良いキャッチコピーに吸い込まれやすくなります。
それでも結局、あなたが成長しようと努力する限りは、避けられない壁だったり、次の壁が出てきたりすると思います。前述した通り、自分に何が合っているかを考えるのはとても大事なのですが、悩みや行き詰まりが出てきたその度に、特効薬を処方してくれる人を探してくれるような気持ちで環境を変える(先生をかえる)等していると、まさにドクターショッピングのようになってしまいます。少なくとも音楽の場合は「素晴らしい先生に出会って自分の音楽人生が好転した」ということはあっても、特効薬でその後の悩みや、壁にぶつかることがなくなるということはおそらくありません。
壁にぶつかったら逃げずに自分の技術や経験や知識を蓄えて超えていくしかない時が必ずやってきます。逃げても逃げても逃げきれない問題にどこかで腹を括って挑むのか、とりあえず今は自分を守るために逃げておくのかはあなた次第ですが、「先生」はその伴走者なり、ツアーガイドのようなイメージでしょうか。遠回りに感じても、悩みや苦しみを共有して一緒に歩いたり走ったりしてくれる人である限りは、もうしばらく一緒に頑張ってみる・どうやったら頑張れるか相談してみるという前述した部分に戻ってきます。

セカンドオピニオンとドクターショッピングの違いのように、”自分に合った環境探し”と”逃げ”の境目をどこで判断するかは難しく、真面目な人ほど悩んだり、自分を責めたりしてしまうかもしれませんが、それも含めてなんとか相談相手を見つけてみて欲しいですし、私も専門は音楽に限られてしまいますが、一人でも多くの生徒さんにとって相談できる相手になれるように、努力していきたいと思います。これもまた一朝一夕で良い先生になれるのではなく、たくさんの生徒さんや音楽仲間の皆さんと時間を共有しながら、ひとつずつ成長していきたいです。
思い通りにいかないこと、悩みや、苦しみ、全部ひっくるめて生きること、学ぶこと、私の場合は音楽に従事することなのだと思います。
一緒に遠回りを楽しみましょう!!

写真は犬の散歩中に見えた夕焼けです。島在住なので、橋がある所まで遠回りしなければ島外には行けません...(それか船をゲットするか)遠回りな日常です。





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