私は大学の授業でもCafetalkのレッスンでもPowerPointのスライドを使って授業をすることが多いです。大学では1コマの授業で、多い時には50枚以上のスライドを使うこともあります。一度作っておけば、手直ししながら何度も使えるのですが、手直しだけでも毎回1時間~2時間ぐらいはかかっています。
そこで最近、授業用のスライド作りをChatGPTで効率よくできないか試みています。まだまだ試行錯誤中ではありますが、私がこれまでに試したChatGPTを使ったスライド作成方法を共有したいと思います。特に準備に時間がかかる日本語の文型導入の授業用のスライドを作ることを想定します。なお、今回は有料版ChatGPT-4oを使ったスライド作成を紹介します。例文作成だけなら無料版でも十分にできますが、私は画像生成がどうしても必要なので、現在は有料版を使用しています。
日本語の文型導入の授業では、テキストやスケジュールにしたがって、その日に導入すべき文型が決まっています。例として、JLPTのN1で出題される「~ようにも~ない」を取り上げたいと思います。
まず、ChatGPTのテキスト生成機能を使って、「~ようにも~ない」の例文を作成してもらいます。その際、ChatGPTにどのような指示を出すか(この指示のことを「プロンプト」と言います)が重要なのですが、以下のように①例文の数、②一文の文字数、③意味を指定するとうまく行きやすいです。単に「~ようにも~ない」という文を作ってくださいと指示を出すと、一文が短すぎて状況がわからない例文が出てきたり、「合格するように思えない」など意図しない意味の例文を生成する場合もあります。
<例文作成のプロンプト>
「~ようにも~ない」という文を5つ作成してください。文字数は60文字程度で、「したくても方法がなくてできない」という意味の文を作ってください。
<ChatGPTの回答>
1. 大雪で電車が止まってしまい、帰ろうにも帰れない状況だ。
2. 体調が悪くて起き上がろうにも、力が入らず動けない。
3. 重要な書類を失くしてしまい、探そうにもどこを探せばいいか分からない。
4. スマホのバッテリーが切れて、連絡しようにも連絡できない。
5. 階段が壊れてしまい、上がろうにも上がれない状態だ。
このようにChatGPTに生成してもらった例文の中で導入に良さそうな例文を選んで、次にその例文が使われる状況を表す画像生成を行います。画像生成は現状、有料版ChatGPT-4oでしか利用できません。
<画像生成のプロンプト>
次のような画像を作成してください。大雪で電車が遅延しています。サラリーマン風の男性が困った様子でホームに立っています。会社に電話したいのですがスマホの充電が切れています。サイズは1200×630ピクセルでPNG形式で作ってください。
上のスライドの画像がこのプロンプトを使って生成した画像です。スマホの充電が切れていることを一つの画像で表現することが難しかったので、もう一つ別に画像を生成しました。
人物が外国人風で駅のホームも何となく外国っぽいですが、ChatGPTは海外の企業のサービスなので仕方がないかなと思います。「日本の~」という指示を加えると、海外の人がイメージする日本になってしまってかえって違和感のある画像になることが多いので、そのような指示はしないようにしています。
画像生成ができたら、スライドに挿入して文字を書いて完成です。私はいつも導入と同時に練習をさせたいので、助詞や動詞はあえて空欄にして示します。このようなスライドを一つの文型導入に2~3枚は作ります。
これまではGoogle画像検索で無料イラストを探して、複数のイラストを組み合わせて状況を表現していましたが、ChatGPTを使えば一回の指示で想定した状況の画像を生成してくれます。画像生成にかかる時間は10~30秒ぐらいです。
プロンプトの書き方などまだ使い慣れていないところもありますが、それでも1枚のスライド作成にかかる時間は10分の1ぐらいになったのではないかと思っています。
授業の準備を負担に感じていらっしゃる講師の皆様に少しでも参考になれば幸いです。
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