小論文は、受験において自分の思考力や表現力をアピールする重要な科目です。その中でも「序論」は、読み手に最初の印象を与える重要な部分です。序論がしっかりしていると、主張が明確になり、読み手を引き込む文章を作ることができます。本記事では、読み手を魅了する序論を書くための方法を具体的に解説します。

序論は、小論文全体の「入り口」となる部分です。序論で目指すべきことは以下の3点です。

1. テーマを提示する

序論では、何について述べるのかを明確に示す必要があります。テーマがぼんやりしていると、読み手はその後の展開を理解しにくくなります。

2. 主張（結論）の方向性を示す

小論文では、序論で自分の主張や結論を方向づけることが大切です。序論に主張を含めることで、読み手は議論の進む方向性を理解しやすくなります。

3. 読み手の興味を引きつける

序論が面白ければ、その後の内容にも期待が高まります。逆に、序論が平凡だと読み手の興味を失いかねません。

効果的な序論を書くには、以下の3つのステップで構成を作るのがおすすめです。

1. 背景や問題提起を述べる

まずは、テーマに関連する背景情報や問題意識を提示します。ここで読み手に「なるほど、これは考える価値があるテーマだ」と思わせることが重要です。

背景や問題提起の例

• テーマ：AI技術の発展と社会
  「近年、AI技術の発展が著しく、さまざまな分野で活用が進んでいます。しかし、この技術進歩が私たちの生活にどのような影響を与えるのかについては、賛否が分かれています。」
• テーマ：地方創生
  「日本の人口減少と少子高齢化が進む中、地方都市の衰退が大きな課題となっています。地方創生は国の政策の一つとして注目されていますが、その具体的な方向性については十分に議論されているとは言えません。」

2. 主張を明確に述べる

次に、自分の意見や結論の方向性を示します。序論に主張を含めることで、読み手は小論文全体の目的を理解しやすくなります。

主張の例

• 「私はAI技術は生活をより便利にする一方で、新たな倫理的問題も生むため、慎重な規制が必要だと考えます。」
• 「地方創生を成功させるためには、地方自治体と市民が一体となった独自の取り組みが必要だと考えます。」

3. 具体例や統計で補足する

最後に、主張や背景を補足する具体的な事例やデータを簡単に述べます。これにより、文章に説得力が生まれます。

補足の例

• 「例えば、AIが医療分野で活用されるケースでは、診断の精度が向上する一方で、患者データのプライバシー保護が課題となっています。」
• 「内閣府の統計によると、地方人口の減少率は都市部と比べて約3倍に達しており、この傾向は今後も続くと予測されています。」

効果的な序論を書くための具体的なポイントを挙げていきます。

1. 簡潔にまとめる

序論は小論文全体の10～15％程度にまとめるのが理想です。冗長な序論は、主文や結論に割くべきスペースを削り、文章全体のバランスを崩してしまいます。

悪い例

• 「AI技術の発展は本当にすごいです。それによって、私たちの生活がどれほど変わったか、考えてみてください。」
• → 意味が曖昧で具体性に欠ける。

良い例

• 「AI技術の発展は、私たちの生活に革新をもたらす一方で、倫理的な課題も浮き彫りにしています。このような状況で、AIをどのように規制し、活用すべきかを議論することは非常に重要です。」
• → 明確で簡潔な表現。

2. 曖昧な言葉を避ける

「多分」「おそらく」「様々」などの曖昧な言葉は避け、具体的な表現を心がけましょう。

悪い例

• 「多分、地方創生は大事だと思います。」
• → 読み手に不安を与える表現。

良い例

• 「地方創生を成功させるためには、地域の独自性を活かした取り組みが求められます。」
• → 説得力が増す。

3. キャッチーなフレーズを入れる

読み手の関心を引くために、序論にキャッチーなフレーズや問いかけを入れるのも効果的です。

例

• 「AIが医師を代替する未来は、本当に理想的と言えるのでしょうか？」
• 「地方都市の未来は、どのように変わっていくべきなのでしょうか？」

4. データや引用を活用する

信頼性を高めるために、公式データや権威ある人物の言葉を引用するのも有効です。

例

• 「内閣府の統計によると、地方都市の人口減少は2010年代以降加速しており、今後もこの傾向が続くと予測されています。」
• 「孔子の言葉に『己の欲せざる所を人に施すなかれ』とありますが、この教訓は現代にも通じるものがあります。」

序論を書く際に陥りがちな失敗例とその対策を紹介します。

1. 結論を曖昧にする

主張が曖昧だと、小論文全体の論理が崩れます。

• 悪い例: 「AIは便利だと思います。でも、いろいろな問題もあります。」
• → 解決策: 明確な主張を述べる。

2. 背景を長くしすぎる

背景説明が長すぎると、読み手が主張にたどり着く前に飽きてしまいます。

• 悪い例: 「AIは人工知能のことで、最近は多くの分野で使われています。AIとは、Artificial Intelligenceの略です。」
• → 解決策: 必要な情報だけを簡潔に述べる。

3. 主張が過激すぎる

極端な意見や断定的すぎる主張は避けましょう。バランスの取れた視点が重要です。

1. テーマを設定する
   模擬試験や過去問からテーマを選びます。
2. 背景情報を集める
   参考書やネット記事を利用してテーマに関する知識を深めます。
3. 主張を考える
   自分の意見を明確にし、それをどう展開するかを考えます。
4. 短い序論を書いてみる
   100～150文字程度で序論を作成し、第三者に見てもらいましょう。

小論文の序論は、読み手を引き込むための重要なパートです。「背景の提示」「主張の明確化」「具体例やデータの補足」の3つを柱に、簡潔で説得力のある序論を書きましょう。また、練習を重ねることで、序論の構成力が向上します。

序論を磨くことは、小論文全体の質を高める第一歩です。ぜひ本記事の内容を参考に、魅力的な序論を書けるようになりましょう！