高校受験や大学受験における小論文は、自分の意見や考えを論理的かつ説得力のある形で文章にまとめる力が求められる試験です。しかし、どれだけ優れた内容を書いても、文法や表現に誤りがあれば評価は下がってしまいます。本記事では、小論文を書く際に特に注意すべき文法と表現のポイントについて詳しく解説します。
1. 小論文で求められる「正確な日本語」とは?
小論文では、正確でわかりやすい日本語が求められます。これは単に文法的な誤りがないというだけでなく、以下のような要素を含みます。
① 文法的に正しいこと
主語と述語が対応しているか、助詞や助動詞の使い方が正しいかといった基本的な文法ルールが守られていること。
② 誤解を生まない表現
曖昧な言い回しや誤解を招く可能性のある表現を避け、相手に明確に伝わる文章を書くこと。
③ 丁寧で適切な語彙
小論文ではカジュアルな表現や口語体ではなく、適切な敬語や文章体を使用することが必要です。
2. 文法のよくある間違い
まずは、小論文でありがちな文法上のミスについて具体的に見ていきましょう。
① 主語と述語の不一致
主語と述語が文法的に対応していない文章は非常に多いです。たとえば:
- 誤り: 私の趣味は走ることが好きです。
- 修正: 私の趣味は走ることです。
このように、主語と述語が対応していない文章は論理的な文章に見えず、採点者にマイナスの印象を与えてしまいます。
② 助詞の誤用
助詞の使い方が正しくないと、意味が伝わりにくくなります。
- 誤り: 私は兄がサッカーをするのを見ました。
- 修正: 私は兄がサッカーをしているのを見ました。
また、「~に対して」「~について」「~として」などの表現は似ていてもニュアンスが異なるため、注意が必要です。
③ 文の途中での視点の混乱
一つの文章の中で視点が混乱していると、文章の整合性が損なわれます。
- 誤り: この法律は子どもに影響を与え、彼らの権利が侵害される可能性が高いと考えられる。
- 修正: この法律は子どもに影響を与え、その結果、彼らの権利が侵害される可能性が高いと考えられる。
一つの文章の中で視点を統一し、論理の流れを明確にすることが大切です。
3. 表現上の注意点
文法以外にも、表現において注意すべき点がいくつかあります。
① 曖昧な表現を避ける
小論文では具体的で明確な表現を心がけましょう。「多くの」「いろいろな」「さまざまな」といった曖昧な表現はできるだけ避け、具体的な数値や事例を挙げるようにしましょう。
- 曖昧な表現: この政策にはいろいろなメリットがある。
- 具体的な表現: この政策には、子育て世帯の経済的負担を軽減するというメリットがある。
② 主観的すぎる表現を避ける
小論文では「~と思う」「~だと感じる」などの主観的な表現を控え、客観的な表現を心がけます。
- 主観的な表現: 私はこの問題は深刻だと思う。
- 客観的な表現: この問題は、人口減少に直結するという点で深刻である。
③ 繰り返し表現を避ける
同じ単語やフレーズを何度も繰り返すと、読み手に単調な印象を与えます。同義語や別の表現に置き換える工夫をしましょう。
- 繰り返し表現: この問題の解決策は多くの課題がある。この問題に取り組むためには時間がかかる。
- 修正: この問題の解決策には多くの課題がある。また、取り組むためには長期的な視点が必要である。
④ 文の長さに注意する
文が長すぎると意味が伝わりにくくなります。一文を適切な長さに区切り、読みやすさを意識しましょう。
- 長すぎる文: 日本の高齢化が進む中で、労働力人口が減少していることが問題視されており、その解決策として移民の受け入れが議論されているが、文化的な違いから社会的な摩擦が生じる可能性も指摘されている。
- 修正: 日本の高齢化が進む中で、労働力人口の減少が問題視されている。その解決策として移民の受け入れが議論されている。しかし、文化的な違いによる社会的摩擦の可能性も指摘されている。
4. 表現力を高めるための練習方法
① 模範解答を読む
過去の小論文の模範解答を読み、正しい文法や適切な表現を学びましょう。特に高評価を得た答案は、表現のバリエーションや論理の展開が参考になります。
② 書いた文章を音読する
自分の書いた文章を音読してみると、不自然な箇所や文法ミスに気づきやすくなります。
③ 第三者に添削してもらう
家族やオンライン家庭教師に文章を添削してもらうことで、自分では気づけないミスを発見できます。
5. 練習問題
以下の例文には文法や表現の誤りがあります。それを正しい形に修正してみましょう。
問題
- 私が考える少子化問題は、日本の未来にとって大きな課題です。
- この法律は若者に影響を与え、それに対して賛成の意見も多い。
- AI技術の進歩はすごく速いので、これからどうなるか分からない。
解答例
- 私は少子化問題が日本の未来にとって大きな課題であると考えます。
- この法律は若者に影響を与え、それに対して賛成する意見も多く見られます。
- AI技術の進歩は非常に速いため、今後の展開は予測が難しいです。
6. まとめ
小論文で高評価を得るためには、文法的な正確さや適切な表現が欠かせません。主語と述語の一致や助詞の使い方などの基本を押さえるとともに、具体的で明確な表現を心がけましょう。また、繰り返し練習することで表現力を磨き、自分の意見をより説得力のある形で伝えることができるようになります。
小論文は練習次第で確実に上達します。この記事で学んだポイントを活用し、自分の文章力をさらに高めてください!
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