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【古文・漢文】知らない単語にも対応!文脈から意味を読み解くコツ

AZUKI

 

 

こんにちは!
当ブログでは、高校生とその保護者の方に向けて、受験勉強をより効果的に進めるための学習法をご紹介しています。

今回は、「古文で知らない単語に出会ったとき、どう対処するのか?」というテーマです。単語帳に載っていない言葉でも、文章の流れから意味をつかむ力があれば、スムーズに読み進めることができます。

古文読解においてとても重要な“文脈力”。今回はその磨き方を、具体例を交えてわかりやすくお伝えしていきます!


なぜ「文脈で意味をつかむ力」が大事なのか?

古文を読んでいて、「あれ、この単語知らないな…」という経験は誰にでもあると思います。単語を覚えても覚えても、試験では見慣れない語が出てくる。それが古文です。

だからこそ、知らない単語に出会ったときに立ち止まらず、前後の文から意味を想像しながら読む力が求められます。

入試では、「単語の意味をそのまま答えなさい」というより、「この語はこの場面でどういう意味合いか?」という問いの方が多いのが現実です。つまり、“暗記した知識”より“その場で考える力”が重視されているわけですね。


ステップ1:前後の状況を丁寧に読み取ろう

まずは基本の「前後関係の確認」。一つの単語にこだわるよりも、全体のストーリーの流れに目を向けましょう。

例文:

女の、いといたう泣きたるを、男、いとほしがりて、「今はさるべきことならず」とて…

「いとほしがりて」という語が不明だとしても、その前に「女性がひどく泣いている」とあります。そして後ろには、「今はそうすべきことではない」と男が言っています。

この場面から、男が女の様子を気の毒に思い、なだめようとしている様子が見えてきます。つまり、「いとほしがる」=「かわいそうに思う・同情する」と自然に推測できます。

ワンポイント:

  • 人物の感情の動きに注目

  • 誰が、誰に、どんな反応をしているかを追うことがカギ


ステップ2:敬語と主語の関係を見極める

古文の特徴の一つが、「主語の省略」と「敬語の多用」です。これらを手がかりに、登場人物の関係や行動の意味を判断しましょう。

例文:

帝、后の御病を聞こし召して、あはれがらせ給ふ

「聞こし召す」や「〜給ふ」は尊敬語で、身分の高い人の行動に使われます。この文章では「帝」が主語で、「后(皇后)の病」を聞いた、という構成。

このとき「あはれがらせ給ふ」は、「天皇が皇后の病気をお気の毒に思われた」と解釈できます。「あはれがる」という言葉が、「同情する・しみじみと心を動かされる」意味であることがわかりますね。

ヒント:

  • 敬語を見て、誰の行動かを見極める

  • 尊敬語=目上の人物の動作


ステップ3:古文ならではの常識を味方につける

古文は、今とは違う価値観や生活文化の中で書かれています。そうした背景を知っていると、文章の意味を深く理解しやすくなります。

たとえば「袖をぬらす」と出てきたら、それは「涙を流す=泣いている」という表現であることが多いです。

例文:

袖ぬらしけるを、人見てわらふに、いとどかなし。

この場面では、誰かが泣いていて、それを他の人が見て笑っている。最後の「いとどかなし」は「ますます悲しい」という意味ですから、「袖ぬらす」は「泣く」という意味に取れるのが自然ですね。

知っておくと便利な古文常識:

  • 涙・袖=悲しみや恋心の象徴

  • 夜に通う=恋人関係(特に貴族男性が女性のもとへ通う)

  • 出家・夢・無常などの仏教的テーマは頻出


ステップ4:文章構造の「対比」や「逆接」を見逃すな!

古文には、「対比」や「逆接(でも、しかし)」を使って、意味の違いや強調を示す場面がよくあります。そういった構造に注目すれば、単語のニュアンスも見えてきます。

例文:

あまりに物しき人は、かへりてあぢきなく、なさけなきものにこそ見ゆれ。

この文では「物しき人」が否定的に語られています。「あぢきなし=つまらない」「なさけなし=思いやりがない」と続くので、「物しき」は「口数の多い、うるさい」といった意味であると予想できます。

文章の中の「評価の流れ」に注目すれば、知らない言葉の意味もだんだんと浮かび上がってきます。


ステップ5:選択肢から“逆算”するテクニック(入試対策)

共通テストや私立大の古文では、選択肢問題の中にヒントが隠れていることもあります。選択肢の言い換えや違和感のある語に注目し、意味を逆に探る方法も有効です。

例題:

「かたみに見交はす」の意味として最も適切なのはどれか?
①互いに見つめ合う
②一方が一方を見る
③手紙をやりとりする
④憎しみ合う

「かたみに」は「お互いに」、「見交はす」は「見る+交わす=やりとりする」という語構成から、①と③が候補に。文脈が恋愛や交流なら、③の「手紙のやりとり」が自然に感じられます。

こうした“言い換え選択肢”を上手に利用するのも、実力のひとつです。


まとめ:古文読解は「推測する力」が勝負を分ける!

古文を読むときに最も大切なのは、わからない単語に出会ったときに止まらず、考えながら読み進める姿勢です。

わからない=ダメ、ではありません。
「こういう流れなら、きっとこういう意味だろう」と仮説を立て、読解を進めていく。その繰り返しが、本物の読解力を育てます。

辞書がなくても意味を読み取れる力は、現代文や英語の読解にもつながります。だからこそ、古文でこの力をつけることには、大きな価値があるのです。


保護者の方へ

お子さまが古文を苦手に感じている場合、多くは「単語の暗記だけ」に頼っているケースが見られます。単語そのものよりも、「文全体をどう読むか」「状況をどう捉えるか」の方がはるかに重要です。

日々の学習を見守る中で、「登場人物はどう思っていたのかな?」「この後どうなるんだろうね?」といった問いかけをしてあげることで、読解力の底上げにつながります。


次回は、実際の入試問題を使って「文脈推測力」のトレーニング方法をお届けします。お楽しみに!


このリライト版では、表現や言い回しをより自然で柔らかく整えています。ご希望があれば、さらに口語調/敬体調の変更、画像の挿入、演習問題付き形式などにも対応できます!

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The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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