大学入試の小論文では、社会の動きや現代の課題をテーマにした問題が多く見られます。その中でも、「経済」や「ビジネス」に関するテーマは、特に経済系・商学系の学部を志望する受験生にとって避けて通れないジャンルです。
ただ、経済やビジネスという言葉を聞くと、「難しそう」「自分には関係なさそう」と感じる高校生も少なくないはずです。この記事では、そうした不安を少しでも解消できるように、経済やビジネスに関する小論文への向き合い方や、日頃からできる準備の方法をわかりやすく紹介していきます。
1. 経済・ビジネス分野の小論文で見られる評価ポイント
まず知っておきたいのは、入試の小論文で求められているのは、「難しい専門知識」ではないということです。大切なのは、社会で起きている出来事に対して、自分なりの視点を持ち、筋道を立てて意見を述べる力です。
特に次のような力が問われます。
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今の社会に関心を持っているかどうか
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出来事の原因や結果を考えられる力
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具体的な例やデータを根拠として使えるか
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一つの視点だけでなく、広い視野で物事を捉えられるか
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主張をわかりやすく構成して伝えられるか
つまり、新聞を読んで感じたことや、ニュースで見た話題に対する疑問や意見が、そのまま小論文につながっていくのです。
2. 出題されやすいテーマ例とその背景
では、実際にどんなテーマが出されやすいのかを具体的に見てみましょう。以下のような話題が、近年の入試ではよく取り上げられています。
◾ キャッシュレス決済の普及と課題
→ 電子マネーやQRコード決済が進む一方で、使いにくさや情報管理のリスクといった問題も。
◾ 働き方改革と社会の変化
→ 働く時間や場所が多様化する中で、企業の生産性や労働者の生活への影響をどう捉えるか。
◾ 少子高齢化と経済の行方
→ 労働力の減少や経済活動の縮小が懸念される中で、どんな対策が考えられるのか。
◾ SDGsと企業の社会的責任
→ 環境問題や人権への配慮など、企業の行動が社会にどのような影響を与えるのか。
これらのテーマは、どれも日常の中でニュースとして見聞きする機会が多いものばかりです。つまり、「特別な勉強をしなければならない」というよりは、「普段の情報への向き合い方」が大切だということですね。
3. 経済知識の身につけ方 ― 無理なく自然に取り入れよう
「経済とかビジネスなんて勉強したことがない」という人も心配はいりません。高校生でも理解しやすい情報源を活用すれば、基礎的な知識は自然と身につきます。
▼ おすすめの入門書・メディア
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『14歳からのお金の話』(池上彰)
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『経済ってそういうことだったのか会議』(佐藤雅彦)
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NHKのニュース番組(クローズアップ現代など)
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Yahoo!ニュースのビジネス記事
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日経Teen(高校生向けの経済記事が読めるサイト)
こういった情報源をもとに、「これってどういう意味だろう?」「自分ならどうするだろう?」と考えることが、小論文での思考力の土台になります。特に、身近なテーマから入ると、理解もしやすく楽しく学べます。
4. 説得力ある小論文の書き方:PREP法を使ってみよう
小論文は、「いかに上手に主張するか」がカギとなります。そこで役立つのが「PREP法」という基本の文章構成です。
【PREP法とは】
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P(Point):自分の意見・結論を先に述べる
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R(Reason):その理由を説明する
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E(Example):具体的な例やデータで補強する
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P(Point):再び結論を示して締めくくる
▼ 例:キャッシュレス社会について
私は、キャッシュレス化を積極的に進めるべきだと考えています。(P) なぜなら、現金を使わないことで衛生面の改善や業務の効率化が期待できるからです。(R) 例えば、韓国ではキャッシュレスの比率が非常に高く、脱税防止や支払いのスピード化が進んでいます。(E) こうした点からも、日本もキャッシュレス社会に向けた環境づくりを進めるべきだと私は思います。(P)このように、話の流れが明確になるので、読む側にとっても理解しやすく、評価されやすい文章になります。
5. 日常的にできるトレーニング方法
小論文は、少しずつ練習を積み重ねることで確実に上達します。次のような取り組みがおすすめです。
◾ ニュースを見たあとに「自分の考え」を言葉にする
見聞きしたニュースに対して、「それってどういう意味?」「自分ならどう思う?」と問いかけてみましょう。
◾ 短めの意見文を書いてみる
最初は100~200字程度でもOKです。「ニュースに対する自分の考え」を書く練習から始めてみましょう。
◾ 添削を受ける
書いた文章を先生や家庭教師に見てもらい、構成や表現についてアドバイスをもらうことで、より伝わる文章に近づけます。
6. 保護者の方ができるサポート
保護者の方にとっても、経済やビジネスのテーマは日常的な関心事かと思います。お子さんの小論文対策においても、ちょっとした関わりが大きな支えになります。
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一緒にニュース番組を見る
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話題になったニュースについて「どう思う?」と聞いてみる
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書いた小論文を読んで、「分かりやすかったよ」「なるほどと思った」と感想を伝える
こうした日常のコミュニケーションが、考える力や表現力を育てるうえでとても大きな効果を持ちます。
まとめ
経済やビジネスをテーマにした小論文は、一見難しそうに思えても、実は身の回りの話題と深くつながっています。特別な知識よりも、「自分の頭で考えて、わかりやすく伝える力」が何より大切です。
日々のニュースへの関心、少しの知識の積み重ね、自分なりの視点を持つこと。これらを意識するだけでも、小論文の力はぐんと伸びていきます。焦らず、少しずつ自分のペースで取り組んでいきましょう。
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