カウンセリングを生活の一部に。
カウンセラーのayakoです。
みなさんいかがお過ごしですか。
今日は「最近読んだおすすめの本」のお話です。
最近読んだおすすめの本を、今日は紹介させていただきたいんですけれども、皆さん、「8050問題」、ご存知でしょうか。
私は教育関係の方がされている音声配信で、現代のニュースなどを取り上げてお話しされていた回で、この「8050問題」という言葉を聞きました。
その中で、これに関する林真理子さんの小説があると紹介されていて、「林真理子 8050」と検索して見つけて読んだのがきっかけです。
今日ご紹介したい本というのが、林真理子さんの『小説8050』です。
こちらはフィクションになるんですけれども、今の社会が抱えている深刻な課題「8050問題」を題材にしています。
この8050問題というのは、80代の親が、50代の引きこもりの子どもの生活を支えているという、日本の高齢化社会と長期にわたる引きこもり問題が重なって起きている、非常に深刻な社会問題のことです。
「80」は高齢の親、「50」は長く引きこもっている子どもを指していて、そこから「8050問題」と名づけられたようですね。
この本についてなんですが、私、読み始めると止まらなくなって、1日で一気に読み終えてしまいました。
深刻な社会問題が描かれているのですが、どんどん林真理子さんのスリルある物語に引き込まれていった、というのが率直な感想です。
読んでいて、正直苦しい気持ちになる場面も多かったです。
中心人物として描かれているのは、お父さん。職業は歯医者さんです。
そして、その息子が7年以上不登校の状態にあります。
不登校のきっかけは、学校でのいじめです。
しかし7年間も部屋に引きこもっていて、外とのつながりを一切持たない状態が続いたことで、大人になってから受ける影響が本当に大きいのだと痛感しました。
小説の中では、たしかにいじめが不登校のきっかけとして描かれているのですが、読んでいると「それだけが理由ではないのでは?」とも感じました。
「不登校」という言葉を聞くと、つい「学校に行かない=学校が原因」と考えてしまいがちです。
でも、本当の根本的な理由は学校ではなく、家庭環境にある場合もあるのではないかと、私はこの本を読みながら思いました。
少しネタバレになってしまうかもしれませんが、この家族の背景として、お父さんは歯科医、息子は医師を目指して有名な中学校に合格。いわゆる優等生です。
そして、姉はさらに成績優秀で、有名大学へ進学し、お母さんは専業主婦で家庭を守っている。
一見すると、理想的な家族に見えます。
でも、物語が進むにつれて、そうではない一面が浮き彫りになります。
ここからは少し私の想像も含まれますが、お父さんとお母さんの関係は、本当の意味ではうまくいっていなかったのではないかと感じました。
最終的には、両親は離婚に至ります。
そういった家庭環境の中で育った子どもは、やはり何かしらの影響を受けていると思います。
両親が不仲であっても、それを子どもに見せないようにしようと努力していても、子どもは敏感なので、ちょっとした会話や態度から何かを察するものですよね。
そういう中で、心が不安定な状態で学校に通い、さらに学校で大きな出来事(この場合はいじめ)があると、外との関わりを絶ってしまうということも起きうるのだと思いました。
そういった経験をしている子どもたちって、私たちが思っている以上に多いのではないでしょうか。
現在、不登校を経験している子どもたちは全国に多くいますが、学校だけに焦点を当てて、「教育のあり方」だけを議論するのではなく、
本来安心できるはずの居場所、「家庭」についても深く見つめる必要があるのではないかと、改めて考えさせられた小説でした。
ストーリーは社会問題をベースにしながらも、読んでいるとハラハラする展開が多く、読み応えのある作品です。
今の時代を知るうえで、きっと学びや気づきが得られる一冊だと思います。
特に、不登校の子どもたちと関わっている方や、家庭環境に関する支援に関わる方には、ぜひ一度読んでみてほしいなと感じました。
今日は「最近読んだおすすめの本」のお話でした。
では、またお会いしましょう。
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