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【小論文】文章をシンプルにまとめるためのテクニック~読みやすく、伝わる文章にするコツ~

AZUKI

 

小論文が苦手な受験生の多くがつまずくポイントの一つに、「文章がごちゃごちゃしてしまう」「何を言いたいのか自分でも分からなくなる」といった悩みがあります。

実は、小論文は「上手に書こう」と思えば思うほど、文章が複雑になりがちです。難しい表現を使おうとするあまり、かえって読みづらい文章になってしまうことも少なくありません。

そこで今回は、小論文を書く際に文章をシンプルにまとめるためのテクニックを紹介します。読みやすく、伝わりやすい文章にすることができれば、内容の説得力もぐっと増します。高校入試・大学入試の小論文対策にぜひ役立ててください。


1.「一文一義」を意識しよう

小論文でまず意識したいのが、「一文一義(いちぶんいちぎ)」です。
これは「1つの文には、1つの意味(主張)だけを書く」というルールです。

たとえば、次のような文章を見てみましょう。

悪い例:

私は部活動でキャプテンを務め、人間関係に悩みながらも努力し、部をまとめて大会で優勝することができたので、努力は報われるものだと思うし、リーダーシップの大切さを学ぶことができました。

この文は、言いたいことがたくさん詰め込まれていて、読みにくくなっています。
「キャプテンを務めたこと」「悩みながら努力したこと」「優勝したこと」「努力は報われると思うこと」「リーダーシップを学んだこと」と、1文に5つ以上の内容が入っています。

良い例:

私は部活動でキャプテンを務めました。
人間関係に悩むこともありましたが、粘り強く努力を重ねました。
その結果、大会で優勝することができました。
この経験から、努力は報われるという実感を得ると同時に、リーダーシップの重要性を学びました。

このように文を分けることで、内容がはっきり伝わり、読み手にとっても理解しやすくなります。
小論文では、「わかりやすさ=評価の高さ」に直結するので、「一文一義」を意識するだけで文章の質が大きく変わります。


2.「主語と述語の関係」を明確に

文章をシンプルにまとめるうえで、主語と述語の関係が不明確だと、読みにくくなります。

悪い例:

このような経験を通して、自分の成長につながったと思う。

この文の主語が曖昧で、「誰が?」が分かりにくくなっています。文脈によっては、「誰の経験?」と誤解されてしまう可能性もあります。

良い例:

私は、このような経験を通して、自分自身の成長を実感しました。

主語をはっきりさせ、「誰が、何をしたのか」が明確になるだけで、ぐっと読みやすい文章になります。

とくに小論文では「論理的な文章構成」が求められるため、主語と述語の対応は丁寧に確認しましょう。書いた文章を音読して、「誰が何をしたのか」がすぐに分かるかどうかをチェックする習慣をつけるのがおすすめです。


3.抽象的な言葉は具体化する

小論文では「抽象的な言葉」を使いすぎると、内容がぼやけてしまいます。読んでいる人に伝わりづらくなるため、できるだけ具体的な表現を心がけましょう。

悪い例:

私は困難を乗り越え、多くのことを学びました。

この一文では、「困難」や「多くのこと」という表現があいまいです。

良い例:

私は部活動での人間関係のトラブルという困難を、話し合いを重ねることで乗り越えました。
この経験を通じて、対話の大切さや相手の立場に立って考える力を身につけることができました。

このように、具体的なエピソードや行動を添えることで、読み手はイメージしやすくなります。

抽象→具体の変換は、小論文の説得力を大きく左右するポイントです。


4.接続語は最低限にする

小論文の添削をしていてよく見られるのが、「だから」「そして」「しかし」などの接続語を多用してしまうパターンです。

もちろん、接続語は文と文をつなぐために大切ですが、多すぎると逆に読みにくくなります。

悪い例:

私はこのような考えを持っています。そして、それは多くの人に共通することだと思います。だから、私はこの意見を大切にしたいと考えています。

良い例:

私はこのような考えを持っています。それは多くの人にも共通する部分があると感じるからです。この意見を、今後も大切にしていきたいと思います。

「そして」「だから」のような接続語を使わなくても、文脈で自然に流れるようにすれば、よりすっきりとした印象になります。

文章がごちゃごちゃしてきたと感じたら、一度接続語を減らしてみるのも効果的です。


5.書いたあとの「推敲」が最重要

最後に、どんなに上手な人でも、最初から完璧な文章は書けません。
書き終えた後に文章を見直す「推敲(すいこう)」こそが、小論文の質を決める最重要ポイントです。

推敲のときに見るべきポイントは以下のとおりです。

  • 一文が長すぎないか(40~60字が目安)

  • 主語と述語が対応しているか

  • 内容に無駄・重複がないか

  • 論理のつながりに飛躍がないか

  • 曖昧な表現をしていないか

書いたら、必ず声に出して読み返しましょう。読みづらさや論理のズレは、音読することで発見しやすくなります。

また、自分一人での見直しが難しい場合は、第三者(先生やオンライン指導者など)に見てもらうのも効果的です。プロの視点でアドバイスをもらうことで、短期間で劇的に文章力が伸びることもあります。


まとめ:シンプルに書くことが、合格への近道

小論文で評価されるのは、「知識量」や「難しい言葉の使用」ではありません。
自分の考えを、読み手に伝わるように、筋道立てて書けているかどうかがポイントです。

今回ご紹介したテクニックをもう一度まとめておきます。

  • 一文一義を意識する

  • 主語と述語の関係を明確にする

  • 抽象的な言葉は具体化する

  • 接続語は最低限にする

  • 推敲を徹底する

これらを意識すれば、誰でも「シンプルで伝わる小論文」が書けるようになります。

入試に向けて「どう書けばいいのかわからない」「自分の文章に自信が持てない」と悩んでいる方は、まずはシンプルさを大切にすることから始めてみてください。

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The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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小論文添削レッスン

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