大学入試の国語において、古文は現代文・漢文と並ぶ重要な柱の一つです。しかし、古文に苦手意識を持つ受験生は少なくありません。その理由の多くは、「なんとなく意味が取れない」「単語を覚えても読める気がしない」「そもそも出題される問題のパターンがよくわからない」といった漠然とした不安です。
この記事では、古文の全体像を俯瞰し、どこに力を入れるべきか、どんな順番で勉強を進めるべきかを整理します。勉強にメリハリがつき、限られた時間の中で確実に得点につなげるための戦略を明確にしていきましょう。
1. 大学入試古文とは何か?
まず押さえておきたいのは、大学入試で出題される古文は「日本語」であるということ。確かに現代の日本語とは語彙や文法が異なりますが、構造を理解し、慣れてしまえば現代文以上に「型にはめて」読むことができるという特長があります。
出題の基本は、古文本文+設問という形で、内容理解・語彙・文法・敬語・文学史などが問われます。特に国公立二次や私大では、選択問題だけでなく、記述問題や文法の細かい知識を問う問題も見られます。
2. 古文の得点を安定させるための3本柱
古文の学力を支えるのは、次の3つの力です。
(1)古文単語の語彙力
現代語と意味が異なる「古語」が多く登場するため、単語の意味を正確に把握していないと、そもそも文が読めません。特に重要なのは、「重要単語300語」。この300語を確実に押さえることで、入試で出る古文の80%以上は意味が取れるようになります。
コツ:単語帳を“声に出して”“短期間で繰り返す”こと。
一周に時間をかけすぎず、1~2週間で回すスピード感を意識しましょう。
(2)古典文法の理解
古文には独特の文法体系があります。特に重要なのは、助動詞・助詞・敬語の3つ。この3分野を押さえることで、文の構造がわかるようになります。
コツ:文法は「覚える」→「使う」→「読解に活かす」の3ステップで。
暗記だけで終わらず、問題演習や本文で実際に文法を読み取る練習を重ねることで、「文法が意味を支える」ことを実感できるようになります。
(3)読解力(設問対応力)
単語と文法をある程度身につけたら、実際の入試問題に触れて「本文から正しく情報を読み取る」訓練をします。設問は決して意地悪なことを聞いているわけではなく、設問の意図を理解し、本文の根拠を見つける力が求められています。
コツ:解いた後の「本文精読」と「設問の検証」が最重要。
本文を一度読んだ後に、「自分はどこが読めていて、どこが読めていなかったか」を振り返ることが、読解力アップに直結します。
3. 古文の学習を引き立てる戦略的ステップ
古文を勉強する順序もまた、成果に大きく影響します。以下のような段階を踏むことで、迷わず進めることができます。
ステップ①:単語・文法を先に固める
まずは「意味が取れる」ようになることが大前提です。語彙と文法の基礎ができていない段階で長文に取り組んでも、時間ばかりかかって成果は見えにくくなります。
目安:高2冬~高3春までに基礎固めを完了するのが理想。
ステップ②:基本レベルの読解演習に取り組む
センター試験(現・共通テスト)過去問や、標準的な問題集を使って、「文を読んで設問に答える」流れを習得します。この段階で、助動詞や敬語の知識を活かして読解に結びつける練習をします。
目安:高3春~夏にかけて、共通テストレベルをしっかりこなす。
ステップ③:志望校レベルの演習に進む
ある程度読めるようになったら、自分の志望校に合わせた過去問や応用問題に取り組みます。この時期には、文学史や作品背景なども含めた幅広い知識が求められます。
目安:高3夏~秋にかけて、志望校対策を開始。
4. 古文学習を支える具体的教材と学習法
以下は、古文の全体像を固めるための代表的な教材と学習法です。
5. 成績が伸びない原因とその処方箋
古文の学習で伸び悩む生徒に共通するパターンとして、
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単語の定着が甘い(音読なし・反復不足)
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文法が「暗記だけ」で終わっている(使えていない)
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本文を読み流している(精読していない)
といった問題が見られます。
逆に言えば、これらを意識して改善するだけで、得点力は一気に伸びます。
6. 古文は「積み上げ型」。だからこそ早めのスタートを
古文は、やればやるほど読めるようになる「積み上げ型」の科目です。逆に、苦手意識を持って後回しにすると、高3秋以降に急激に伸ばすのは難しくなります。
最初は読めなくて当たり前。けれども、単語と文法をきちんと積み上げていけば、必ず安定した読解力に繋がります。
まとめ|「読める古文」へと戦略的に変えていこう
古文は感覚やセンスではなく、戦略と手順で読めるようになる教科です。
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まずは単語と文法で土台を作る
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次に読解で設問対応力を養う
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最後に志望校レベルの問題で仕上げる
この3ステップを意識することで、受験直前期には古文が「得点源」になっている自分に気づくはずです。
今この瞬間からでも遅くありません。戦略的に取り組んで、確かな得点力を手に入れてください。
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