「古文って、なぜか読めない」
「現代文は読めるのに、古文になると急に意味がわからなくなる」
「授業を聞いても、訳す力がついている気がしない」
そんな声をよく聞きます。
古文は、高校で本格的に学び始めると突然難しく感じる教科のひとつです。文法や単語、文章の読み方など、すべてが“現代の日本語とは違う”ため、苦手意識を持ちやすいのも当然です。
しかし、古文は最初の一歩を間違えなければ、苦手教科から「得点源」に変えることができる分野でもあります。
本記事では、「古文が苦手」「どこから手をつけていいかわからない」という高校生やその保護者の方に向けて、古文学習の最初の一歩をしっかり引き立てるためのコツを具体的に紹介します。
1. 苦手意識の正体を知ろう
まず、なぜ古文が「苦手」だと感じるのかを分析してみましょう。
よくある苦手ポイント
-
見たことのない語句が多い(単語の意味がわからない)
-
助動詞や活用など、文法のルールが複雑
-
訳してみても意味が通らない
-
主語や目的語が省略されていて文の構造がわかりにくい
こうした原因を整理すると、古文が読みにくい理由は「知識不足」だけではなく、「現代文と読み方が違うことに気づいていない」点にもあるとわかります。
つまり、現代文と同じ読み方をしようとすると、古文は余計に読みにくくなってしまうのです。
2. 最初にやるべきことは「文法」でも「単語」でもない
「古文が読めるようになりたい!」と焦る気持ちから、いきなり助動詞や敬語、古文単語の暗記に走る人が多いですが、それは遠回りです。
最初にやるべきなのは、「古文はこう読む」という“読み方の型”を身につけること。
いくら単語や助動詞を覚えても、それをどう使うかがわからなければ意味がありません。
読み方の型とは?
以下のようなステップを意識して読み進めることが、古文を苦手から得意に変える第一歩です。
-
主語と述語を意識する
古文は主語が省略されることが多く、誰が何をしたのかが分かりづらい。だからこそ、文中の登場人物の動きに注意を向けて、主語が誰かを考える癖をつける。 -
文末の助動詞で時制や文の意味を捉える
たとえば「けり」は過去や詠嘆、「む」は意志や推量など、文末の助動詞によって文全体の意味が決まる。まずは文末を見て「この文は何を伝えたいのか」を掴む。 -
敬語が誰に向けられているかに注目する
敬語の相手=偉い人物=主語であることが多いので、人物関係を読み解くヒントになる。
3. 古文における「音読」の威力
苦手な人ほどやっていないけれど、効果が大きい勉強法が「音読」です。
古文は、目で読んで理解しようとすると難しい部分が多いですが、実は「声に出して読む」ことでスムーズに頭に入るようになります。
なぜ音読が効果的なのか?
-
古文はもともと“話し言葉”や“朗読される文学”として成立していたため、耳で聞いたときにリズムが合いやすい。
-
文法や語順の違いを体で覚えることができる。
-
単語や助動詞の活用も、繰り返し音読することで自然と身につく。
音読のコツ
-
一文ずつゆっくり、意味を意識しながら読む。
-
学校の教科書や簡単な古文文章(『竹取物語』『伊勢物語』など)を使う。
-
毎日5〜10分でも続けると、半年で大きな差になる。
4. 最低限おさえたい基礎知識はこれだけ
勉強を始めたばかりの段階で、すべての文法や単語を完璧にしようとするのはNGです。まずは「頻出」「よく出る」ものに絞って取り組むことが大切です。
最初に覚えたい助動詞5つ
-
ず(打消):意味「〜ない」
-
む(推量・意志):意味「〜だろう」「〜しよう」
-
けり(過去・詠嘆):意味「〜た」「〜ことだなあ」
-
たり(完了・存続):意味「〜ている」「〜た」
-
べし(推量・当然):意味「〜すべきだ」「〜だろう」
これらは共通テストや定期テストでも頻出。活用形と意味をセットで覚えておくと読解の手助けになります。
覚えておくべき古文単語の特徴
-
現代語と意味が違う単語に注意
例:「あはれ」=しみじみとした情趣、「おかし」=趣深い、おもしろい -
一語で意味が広い単語は文脈で判断
例:「心」=気持ち、考え、性格、思慮など
5. 苦手克服のための勉強法プラン(1日15分×2ヶ月)
「どうやって勉強を始めればいいか分からない」という人のために、具体的なプランを紹介します。
【1〜2週目】古文に慣れる+音読
-
教科書や簡単な文章を使って、1日5〜10分音読
-
同時に文末の助動詞と主語を意識して読む習慣をつける
【3〜4週目】単語と助動詞の基礎
-
古文単語帳で基本語彙100語をチェック(1日5〜10語)
-
よく出る助動詞の意味と活用を、表でまとめて確認
【5〜6週目】実践問題で理解を深める
-
短めの文章を1日1題読み、主語・述語・時制を分析
-
現代語訳と照らし合わせて「どこが読めなかったか」を振り返る
このように、「古文のルール」に少しずつ慣れていく段階を踏むことで、苦手意識が薄れていきます。
6. 保護者ができるサポートのヒント
古文の苦手克服は、長期戦です。家庭での小さな声かけが、大きな支えになります。
-
毎日10分の音読を見守る・一緒に聞く
-
模試やテスト前に「覚えた助動詞、言ってみて」と声をかける
-
古文の内容について「どんな話?」と聞いてあげる
理解の有無を確認するだけでなく、「内容を言葉にする」ことで記憶が深まる効果もあります。
まとめ:古文の第一歩は「読み方」と「音読」から
古文が苦手だと感じる人にこそ、最初に意識してほしいのは、文法や単語の詰め込みよりも「読み方の習得」と「毎日の音読」です。
-
古文は現代文と読み方が違うと気づくことが第一歩
-
主語・文末・敬語に注目して読む「型」を身につけよう
-
音読を習慣化することで、文章のリズムと文法を体で覚える
-
最初からすべてを覚えようとせず、「頻出」を絞って取り組む
古文は「コツさえつかめば伸びる」教科です。苦手意識を持っている今こそ、正しい一歩を踏み出すチャンスです。
回应 (0)