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多国籍企業の社内ルール作り

Shibashiba

社内ルールといっても、明文化されているものもあれば「常識の範囲」とか「暗黙の了解」というものもあります。

明文化されていれば簡単なのですが、「常識」とか「暗黙」だと、育ってきた環境や性格、考え方によってあいまいになります。

同じ文化を持った人々だけの集団であれば、あいまいといっても大きくずれることは稀でしょう。
しかし、さまざまに異なる文化を持った人々が一緒に集まって何かをするとなると、話は別です。些細な違いが溜まりにたまって大きなストレスとなることもあるようです。

フランスの多国籍企業で

これからご紹介するのは、フランス人の先輩が関わった多国籍企業の事例です。

その前に、前回のコラムで書きましたが、フランスでは相手がある程度話したら、途中で口をはさんでもいいという習慣があることを押さえておいてください。

欧米の中もいろいろ

ヨーロッパの中にもさまざまな異なる習慣、文化があります。「欧米」とひとくくりに言うことは難しいのです。
フランスでは話に割り込んでOKですが、そんなことはとんでもなく無作法だと教わってきた欧米人もいます。

彼らから見ると、フランス人はどいつもこいつも勝手なヤツばっかりだということになります。

フランス人から見ると、なんで意見を言おうとしただけで怒るの?あいつら話し合うこともできないのか?!ということになります。

こうして日々の小さなフラストレーションが溜まっていくと、それが憎しみに変わります…

こうなると、もう口をきくこともありません。
当然、作業効率は下がり、離職率は上がる一方となります。

フランスにある会社だからフランスのやり方を通す、とはかぎらない


調停役となった知人が提案したのは実に単純明瞭。会社内だけのルールを作ってしまうということでした。

ここがフランスであろうが、その企業がもともとアメリカ生まれだろうが、そんなことはどーでもいいのです。

とにかく、今そこにいる人々が一緒に仕事を進められることが喫緊の課題です。

そこは、もしかするとフランスでもアメリカでもないかもしれません。
仕事の現場は、みんなでこれから作っていく開拓地
のようなものです。

古いルールは通用しないと思ったほうがいいでしょう。

例えば、ミーティングで「人の話に口をはさむ」問題にしても、正しいか間違っているかを議論するのは無意味です。
社内ではどちらにするか、ルールとして決めてしまえばいいのです。

一歩会社の外に出たら、そこはフランスです。
家に帰ればアメリカかもしれないし、ドイツかもしれないし、ベトナムかもしれないし、日本かもしれません。
しかし、社内は「多国籍」という開拓地です。みんなでルールを決めていく場です。

ルールは本人たちが決める


重要なのは、当事者たちがルールを決めるということです。それは多数決かもしれませんし、話し合いかもしれません。
いずれにしても、押し付けられたルールには恨みが残ります。守ろうというモチベーションも生まれません。

組織で一緒に仕事をする人たちというのは、一時的な訪問者でもなければ、一生そこにいる移民でもないという場合が多いでしょう。

 

譬えていえば、国際宇宙ステーションで働く宇宙飛行士。
未知の環境で一定期間、本気で協力し合い、成果を上げてサバイバルする仲間だということです。

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