Thumbnail Image

【大学入試古文】和歌の解釈のコツと頻出テクニック

AZUKI

 

 

大学入試の古文で、特に多くの受験生が苦手意識を持つのが「和歌」です。本文中に唐突に現れることも多く、現代文の読解とは異なるルールで理解する必要があるため、戸惑いやすい分野です。

和歌は単なる短い詩のように見えますが、実際には古文本文の心情や場面を凝縮して表現した「重要な情報源」です。和歌を正しく読み取れれば、本文の理解や設問対応が格段にしやすくなります。

そこで今回は、大学入試古文の和歌の解釈に役立つコツと、試験でよく出る頻出テクニックを紹介します。


1.和歌の基本的な構造を理解する

和歌は通常、5・7・5・7・7の三十一音で構成されています。形式的には短歌ですが、入試では形式よりも意味の理解が重視されます。

和歌を読む際は、以下の点を押さえることが大切です。

(1)主題・情景を把握する

和歌は、登場人物の心情や季節・場所などの情景を描くことが多いです。まずは「誰の気持ちが詠まれているか」「どんな場面か」をざっくりつかむことが第一歩です。

例:
「春の夜の 夢の浮橋 とだえして 峰にわかるる 横雲の空」

  • 情景:春の夜、夢の中で浮橋が途切れる

  • 主題:夢の儚さ、または現実と夢の境界

(2)季語や自然描写に注目する

多くの和歌には季節を表す語(季語)が含まれます。季語を理解することで、詠まれた情景や気持ちのニュアンスをつかみやすくなります。

  • 春:桜、梅、春雨

  • 夏:蛍、夕立、青葉

  • 秋:月、紅葉、霜

  • 冬:雪、氷、寒月

季語を見つけたら、まず「季節=和歌の雰囲気」をイメージしましょう。


2.和歌を解釈するための具体的ステップ

ステップ1:表現を分解して読む

和歌は凝縮された表現が多いため、まず意味ごとに分解して読んでみます。

例:
「風吹けば 沖つ白波 たつた山 夜半にや君が ひとり越ゆらむ」

分解すると:

  1. 風吹く

  2. 沖に白波が立つ

  3. 竜田山(たつたやま)

  4. 夜中に、君は一人で越えているのだろうか

この分解作業で、情景と心情を段階的に理解できます。

ステップ2:主語を補う

古文の和歌では主語が省略されることが多く、本文や前後の文章から補う必要があります。

  • 「君が」は本文の男性を指す

  • 「わが」は詠んだ女性の気持ちを表す

主語を補うと、和歌が「誰の気持ちなのか」「誰に向けた言葉なのか」が明確になります。

ステップ3:掛詞や枕詞を意識する

和歌では言葉遊び(掛詞)や決まった前置き(枕詞)がよく使われます。これを意識すると、本文の心情理解に役立ちます。

  • 枕詞:特定の語を導く前置き表現
    例:「あしひきの」→山・木にかかる

  • 掛詞:同音異義語で意味を二重にする
    例:「花」=桜の花/人生の盛り


3.頻出テクニック:短時間で意味を取るコツ

(1)句切れで読む

和歌は5・7・5・7・7に区切られています。音数に従って「意味のかたまりごと」に読むと、理解がスムーズになります。

(2)重要語に印をつける

入試では、「心情」「比喩」「対比」が問われやすいです。

  • 「恋」「惜しむ」「恨む」などの感情語

  • 「紅葉」「桜」など自然描写

  • 「や」「か」「ぞ」など強調助詞

重要語を見つけて線を引くと、短時間で意味を取れるようになります。

(3)本文と和歌をつなげる

和歌だけで解釈するのではなく、本文の状況と照らし合わせます。誰の立場で詠まれているか、場面はいつかを意識すると正解率が上がります。


4.よくある入試の設問パターン

  1. 内容説明型

  • 和歌の意味や心情を本文と照らして答える

  • 例:「作者の気持ちは何か」「誰の行動が描かれているか」

  1. 表現技法型

  • 掛詞・枕詞・比喩などの技法を指摘させる

  • 例:「掛詞はどの語か」「比喩で表される対象は何か」

  1. 本文との関係型

  • 和歌が本文の展開や心情をどう補足しているか

  • 例:「和歌から読み取れる人物の心情は」

頻出パターンを押さえると、解答の精度が高まります。


5.家庭での学習に役立つ練習法

(1)短い和歌を毎日読む

毎日1〜2首の和歌を読み、情景・主語・心情をメモするだけでも理解力が伸びます。

(2)音読してリズムを覚える

和歌はリズムが意味理解を助けます。声に出すことで句切れや感情の流れが体感できます。

(3)本文との照合を習慣化する

和歌の意味を本文の場面と対応させる練習を繰り返すと、入試問題でも迷わなくなります。


6.家庭教師の活用ポイント

和歌の解釈は独学でも可能ですが、短期間で安定して得点源にするには指導者のサポートが有効です。家庭教師なら、

  • 生徒の読解力に合わせた解釈の指導

  • 頻出表現や助詞の使い方の整理

  • 入試問題形式に沿った実践演習

を個別に行えます。苦手な生徒も、和歌の読解に自信を持つことができます。


まとめ

大学入試古文における和歌の解釈には、以下のポイントが重要です。

  1. 主題・情景を押さえる

  2. 句切れごとに意味を整理する

  3. 主語・掛詞・枕詞を補う

  4. 重要語に注目する

  5. 本文との関係で解釈する

これらを意識して練習すれば、短時間で正確に和歌の意味をつかめるようになります。

和歌は短いながらも古文理解の鍵となる部分です。毎日の練習と、必要に応じた家庭教師のサポートを組み合わせることで、入試本番でも迷わず得点できる力を身につけられます。

Added to Saved

This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

Comments (0)

Login to Comment Log in »
Recommend ribbon

from:

in:

Lesson Categories

Language Fluency

Japanese   Native
English   Just a few words

AZUKI's Most Popular Columns

  • 古文の敬語を簡単に理解するための3つのステップ

      古文の中でも特に多くの生徒が苦手とするのが「敬語」です。敬語は、古文を理解する上で重要な要素であり、敬語を正確に把握することは、登場人物の人間関係や物語の背景を理解するために不可欠で...

    AZUKI

    AZUKI

    0
    1384
    Oct 23, 2024
  • 古文単語の暗記法

    古文単語の暗記は、高校受験や大学受験の古文対策において重要なステップです。しかし、ただ単語をひたすら暗記するだけでは効率が悪く、忘れてしまいやすいこともあります。今回は、古文単語を効率的に覚えるため...

    AZUKI

    AZUKI

    0
    1337
    Oct 16, 2024
  • 漢文の基礎を1週間でマスターするコツ

     漢文は、日本の古典文学や歴史を理解するために重要な分野です。しかし、難解な文法や語彙が多く、学習に対する苦手意識を持つ生徒も少なくありません。そこで、本記事では、漢文の基礎を1週間でマスターするた...

    AZUKI

    AZUKI

    0
    1315
    Oct 21, 2024
  • 大学受験に出やすい小論文テーマの傾向と対策

      小論文の書き方 2024.11.14 大学受験において、小論文は多くの大学で採用される重要な試験科目です。特に難関大学では、学力試験だけでなく、考え方や論理的な表現力、社会的な知識...

    AZUKI

    AZUKI

    0
    1157
    Nov 15, 2024
« Back to List of Tutor's Column
Got a question? Click to Chat