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【大学入試古文】古文単語の語源から覚える!意味の広がりと暗記術

AZUKI

 

「古文単語帳を一冊仕上げたはずなのに、模試の長文になると全然訳せない」

「一つの単語に意味がありすぎて、どれを選べばいいか分からない」

大学受験の古文対策で、多くの受験生が最初に突き当たる壁がこれです。古文単語の多くは、現代語と同じ形をしていながら全く違う意味を持っていたり、一つの言葉がプラスとマイナスの両方の意味(多義語)を含んでいたりします。

これらを力技で丸暗記しようとするのは、砂漠に水を撒くようなもの。すぐに忘れてしまうだけでなく、文脈判断でミスを連発する原因になります。

古文単語を「一生忘れない知識」に変え、初見の文章でも正しい意味を選び取れるようになるための最強の武器。それが**「語源(コアイメージ)」からの暗記術**です。この記事では、語源を知ることで広がる古文の世界と、具体的な暗記テクニックを徹底解説します。


1. 語源(コアイメージ)で覚えるべき3つの理由

なぜ、単語帳の右側に書いてある「現代語訳」を覚えるだけでは不十分なのでしょうか。語源からアプローチすることで、読解の次元が変わります。

① 「多義語」が一本の線でつながる

例えば「あはれなり」という単語。単語帳には「しみじみと趣深い」「愛しい」「気の毒だ」など、バラバラな意味が並んでいます。しかし、語源である「ああ(感嘆の声)」というコアイメージを知っていれば、**「心が動かされて、思わず声が漏れる状態」**という一つの本質から、すべての意味が派生していることが理解できます。

② 漢字のイメージを援用できる

古文単語はひらがなで表記されることが多いですが、漢字を当てはめると語源が明白になります。「かなし」を「愛し」と書くことを知っていれば、「悲しい(切ない)」だけでなく「(胸が締め付けられるほど)愛しい」という意味があることに納得がいきます。

③ 初見の文脈でも「ニュアンス」を外さない

入試では、単語帳に載っていないような訳し方が求められることもあります。そんな時、言葉の「核(語源)」を知っていれば、文脈に合わせて適切な日本語を紡ぎ出すことができます。


2. 語源で攻略する!最重要古文単語の実例

実際に、語源を知ることで劇的に覚えやすくなる頻出単語の例を見てみましょう。

「おどろく(驚く)」

  • 語源: ハッと気づく。

  • 広がり: 現代語の「びっくりする」も含まれますが、古文では「(ハッと)目を覚ます」という意味が頻出です。眠りから意識がパッと切り替わるイメージを掴んでおけば、入試で最も狙われるポイントを外しません。

「おぼつかなし(覚束なし)」

  • 語源: はっきりしない。

  • 広がり: 霧がかかって「ぼんやりしている」様子から、「不安だ(先が見えない)」「待ち遠しい(まだ見えない)」という意味に広がります。「はっきりしなくてモヤモヤする」という核さえ掴めば、文脈で使い分けが可能です。

「ありがたし(有り難し)」

  • 語源: 有ることが難しい。

  • 広がり: 存在すること自体が稀である、ということから「めったにない」、さらには「(めったにないほど)素晴らしい」という意味になります。


3. 実践!語源暗記術を定着させる3ステップ

語源を知るだけでなく、それを試験で使える形にするためのトレーニング法です。

ステップ1:単語帳の「解説文」を熟読する

単語帳の左側(訳)だけを見るのをやめましょう。右側の小さな文字で書かれた「由来」や「語源」のコラムにこそ、宝が眠っています。まずは「なぜこの意味になるのか」という理屈を頭に入れます。

ステップ2:漢字とセットで書き出す

「うつくし」を覚えるときは、隣に「愛し(うつくし)」とメモしてください。漢字の視覚的なイメージは、言葉の核を記憶に定着させる強力なフックになります。

ステップ3:例文の中で「イメージ」を膨らませる

単語単体ではなく、例文を音読しましょう。その際、「あはれなり」なら「夕焼けを見て心が震えている様子」を具体的にビジュアルとして思い浮かべます。**「言葉を画像として保存する」**感覚です。


4. 【表で比較】丸暗記 vs 語源暗記 の効率性の違い 項目 丸暗記(非効率) 語源暗記(高効率) 記憶の定着 すぐに忘れる。混合しやすい。 理由があるから忘れにくい。 未知の文脈 覚えた訳が合わないとパニック。 コアイメージから意味を推測できる。 学習の楽しさ 苦行としての作業。 日本語の変遷を知る発見がある。 読解精度 訳を当てはめるだけのパズル。 筆者の繊細な心情が理解できる。
5. 保護者の方へ:お子様の「古文嫌い」を解消するために

古文は「昔の日本語」です。英単語のように全く新しい言葉を覚えるのとは違い、実は私たちの今の感覚の根底に流れている言葉です。

もしお子様が「古文なんて意味がない」と言っていたら、**「昔は『悲しい』って言葉に『愛しい』って意味もあったんだって」**というような、言葉の裏側にあるエピソードを一つ教えてあげてください。

「言葉は生きている」という感覚を持つことが、無機質な暗記作業を、知的な探求へと変えるきっかけになります。

受験勉強としての古文単語は、300語から600語程度。正しいアプローチさえ知れば、短期間で大きなリターンが得られる、実は「最もコスパの良い」分野なのです。


6. まとめ:語源は古文読解の「羅針盤」になる

古文単語を語源から覚えることは、単なる暗記の工夫ではありません。文章の奥底に流れる「平安人の感性」を直接受け取るための準備です。

  1. 単語の「核(コアイメージ)」を理解し、多義語を整理する。

  2. 漢字を活用して、視覚的に意味を定着させる。

  3. 音読とイメージ化を組み合わせ、実戦的な反射神経を養う。

この勉強法に切り替えた瞬間、古文の長文は「記号の羅列」から、当時の人々の息遣いが聞こえる「物語」へと変わります。語源という最強の武器を手に、志望校の古文を攻略しましょう。

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