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【大学入試古文】主語が見えれば世界が変わる!「敬語」を使った最強の主語判別テクニック

AZUKI

 

「古文を読んでいると、いつの間にか誰が誰に話しているのか分からなくなる」 「登場人物が多すぎて、動作の主語が入れ替わったことに気づけない」

大学入試古文において、受験生がぶつかる最大の壁は「主語の省略」です。現代語であれば「彼は〜した」と明示される主語が、古文では当たり前のように消え去ります。その結果、物語の筋書きを見失い、内容一致問題で手痛い失点を喫してしまう……。

しかし、安心してください。古文の世界には、省略された主語を特定するための「絶対的な目印」が隠されています。それが「敬語」です。

敬語は単なる暗記項目ではありません。動作の主(主語)と、その動作を受ける相手(客体)を指し示す「方向探知機」なのです。この記事では、敬語を駆使して主語を100%の精度で判別するための戦略的読解法を徹底解説します。


1. なぜ「敬語」が主語特定の鍵になるのか

古文における敬語は、現代語よりもはるかに厳格なシステムに基づいています。作者は、敬語の「種類」と「レベル」を使い分けることで、主語をわざわざ書かなくても誰の動作かを読者に伝えているのです。

敬語は「身分証明書」

「給ふ(たまふ)」という尊敬語が使われていれば、その動作の主は「敬われるべき高貴な人物」です。逆に、敬語が一切使われていなければ、その主語は侍女や部下などの身分の低い人物、あるいは作者自身である可能性が高まります。

動作の「矢印」を可視化する

敬語を理解することは、文の中に「矢印」を引く作業です。

  • 尊敬語: 動作の主を「上げる」矢印

  • 謙譲語: 動作の受け手を「上げる(動作の主をへりくだらせる)」矢印 この矢印の向きさえ分かれば、主語と目的語は自動的に確定します。


2. 実践!敬語の種類から主語を割り出す3つのルール

それでは、具体的にどのように敬語を「主語判別」に活用するのか、3つの鉄則を紹介します。

① 「尊敬語」があれば主語は貴人

傍線部の動詞に「給ふ」「おはす」「のたまふ」などの尊敬語が付いていたら、その動作の主(主語)は必ず「身分が高い人」です。

  • 読解のコツ: リード文(前書き)や注釈で登場人物の身分を確認しておきましょう。「帝」「中納言」「姫君」など、誰が敬語の対象になり得る人物かを事前にリストアップしておくことで、尊敬語を見た瞬間に主語を特定できます。

② 「謙譲語」は「誰に」対する敬意かを見る

「聞こゆ」「参る」「奉る(たてまつる)」などの謙譲語は、動作の主(主語)ではなく、その動作を受ける「相手(客体)」を敬う言葉です。

  • 読解のコツ: 「聞こゆ(申し上げる)」とあれば、主語は「下の人(または同等の人)」であり、話しかけられている相手が「上の人」です。謙譲語を見つけたら、「この恩恵を受けている(敬われている)のは誰か?」を考えることで、逆説的に主語が見えてきます。

③ 「二重尊敬(最高敬語)」はターゲットを絞り込む

「せ給ふ」「させ給ふ」といった二重尊敬(最高敬語)が使われている場合、主語はさらに限定されます。

  • ターゲット: 基本的には「帝(天皇)」や「中宮(皇后)」、あるいはそれに準ずる超高貴な人物(上皇など)に限られます。文章の中に帝が登場しているなら、二重尊敬が付いた動作の主語は100%帝です。


3. 「絶対公式」:会話文と地の文での使い分け

敬語による主語判別を完璧にするには、「誰から誰への敬意か」という視点が不可欠です。

地の文(ナレーション部分)

  • 敬意の方向: すべて「作者から、動作の主(または客体)へ」の敬意です。

  • 判別法: 作者が誰を敬っているかを考えれば、自ずと主語が決まります。

会話文の中

  • 敬意の方向: 「話し手から、聞き手(または話題の人物)へ」の敬意です。

  • 判別法: 会話の中で「給ふ」が使われていれば、それは話し手が目の前の相手、あるいは話題に出ている貴人を敬っている証拠です。


4. 盲点!「自敬表現」と「絶対敬語」の注意点

プロの入試問題には、受験生を惑わす例外的な表現も含まれます。

  • 自敬表現(じけいひょうげん): 天皇などが自分の動作に敬語を使うケースです。日記文学などで見られますが、「自分が自分を敬う」という特殊な状況を理解していないと、主語を他人に取り違えてしまいます。

  • 絶対敬語: 特定の単語(例:内裏に「参る」など)が、文脈に関わらず固定の敬語として使われる場合があります。これらは「型」として暗記しておくことで、読み間違いを未然に防げます。


5. 保護者の方へ:古文の成績は「論理的思考」で決まります

お子様が古文を「センスや感性の科目」だと思い込んでいるなら、それは非常に危険なサインです。

保護者の方に知っておいていただきたいのは、古文は「敬語というプログラム」で動く、極めて論理的な言語であるということです。単語や文法をバラバラに覚えるのではなく、「敬語というルールを使って主語を特定するパズル」として捉え直すことで、暗記の苦痛は「解ける楽しさ」へと変わります。

もしお子様が古文で苦戦しているなら、「誰が誰に敬語を使っているか、矢印を引いてごらん」とアドバイスしてあげてください。その一言が、暗号を解き明かす大きなヒントになります。


6. まとめ:敬語をマスターすれば古文は「サービス問題」になる

古文の主語判別は、当てずっぽうで行うものではありません。

  1. 尊敬語を見たら、主語を「貴人リスト」から探す。

  2. 謙譲語を見たら、動作の「受け手」を特定し、主語を逆算する。

  3. 最高敬語(二重尊敬)があれば、主語を帝クラスに固定する。

この「敬語ナビゲーション」が身につけば、どんなに長い文章でも、登場人物が入り乱れる複雑な場面でも、あなたは迷うことなくゴール(正解)に辿り着くことができます。


私の個別指導では、ノートアプリの画面を共有しながら、一文ごとに「敬語の矢印」を書き込み、主語が入れ替わる瞬間をリアルタイムで可視化するトレーニングを行っています。

「いつも登場人物の関係性がわからなくなる」という悩みを持っていませんか?まずは、あなたが一番苦労した『源氏物語』や『枕草子』の一節を一緒に読んでみましょう。敬語の矢印を一本引くだけで、物語の景色が鮮やかに変わるはずです。

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This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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