日本語・韓国語講師の Hayoung_Eiko です ^ ^
五月の空に、鯉のぼりが泳いでいるのを見て、
思わず足を止めてしまいました。
風を受けて、
黒、赤、青、緑、黄色……
いくつもの色が、ゆっくり揺れています。
子どものころは、
ただ「きれいだな」と見上げていた景色でした。
でも今は、
その色のひとつひとつに、
誰かの願いが重なっているように感じられます。
鯉のぼりは、5月5日の「こどもの日」に飾られる、
日本の伝統的な風習のひとつです。
そのはじまりは、武家社会にさかのぼります。
男の子が生まれると、
旗やのぼりを立てて、成長を願う。
そんな風習がありました。
そこに、中国の「登竜門」の伝説が重なります。
流れの激しい滝を登りきった鯉が、龍になる。
その姿に、
困難を乗り越えて成長してほしいという願いが託され、
やがて「鯉」という形へと変わっていき
その象徴は、武士の世界から庶民へと広がっていきました。
鎧や武具を持てなかった人々は、
それを紙や木で表し、家に飾るようになりました。
やがてそれは、五月人形として家の中へ。
そして鯉のぼりは、
空に掲げる飾りとして残っていきました。
内と外。
願いのかたちも、少しずつ分かれていきました。
今では、黒、赤、青、緑など、
さまざまな色の鯉のぼりが並びます。
けれど、最初は二色だけだったとも言われています。
やがて赤が加わり、
さらに子どもを表す色が増えていく。
黒は父、赤は母、青は子ども。
そうして、
ひとつの象徴だったものが、
家族の姿を映すものへと変わっていきました。
最初から、すべての色があったわけではない。
あとから加わるものがあり、
あとから見えるようになるものがある。
その重なり方は、どこか言葉にも似ています。
言葉をひとつ重ねるたびに、
見えていなかった気持ちの輪郭が、
少しずつ浮かび上がってきます。
こどもの日は、
子どもの健やかな成長を願う日です。
ただ大きくなることだけではなくて
どんな流れの中にいても、
自分の力で前に進んでいけますように
そして、
その子がその子らしい色を持ったまま、
のびのびと生きていけますように
という願い。
五月の空を見上げると、
風の中で揺れているのは、
色だけではないのかもしれません。
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