コラムでは普段,家庭での声かけや,
私が大切にしている考え方について書いています。
ただ,今回は少し番外編として,
オンライン家庭教師として
日々感じていることを書いてみたいと思います。
オンラインで家庭教師をしていると,
「毎回のレッスンは,当たり前に次へ続くものではない」
と感じることがあります。
対面の家庭教師であれば,
契約や月謝,訪問日程があります。
そのため,
「今月で終了します」
「受験が終わったので一区切りです」
「しばらくお休みします」など,
たいていは何らかの形で区切りがあります。
でも,オンラインレッスンでは少し違います。
次の予約が入らなければ,
そのまましばらく間が空くことがあります。
そのまま一区切りになることもあります。
分からない単元がある時。
テスト前に整理したい時。
一度だけ相談したい時。
少し間を空けて,また必要になった時。
必要な時に,必要な分だけ受けられる。
これは,オンラインレッスンの大きなメリットです。
毎週必ず続けなければならないわけではありません。
いつでも始められるということは,
いつでも休める,
いつでもやめられるということでもあります。
それは,受講される方にとって大切な自由です。
だから私は,予約が入らなくなったとしても,
それをすぐに悪い意味で受け取る必要はないと思っています。
オンラインレッスンの自由さと,少しの寂しさ
ご家庭には,それぞれ事情があります。
学校が忙しくなったのかもしれません。
部活や習い事の予定が変わったのかもしれません。
家計の都合があるのかもしれません。
お子さん本人の気持ちが変わったのかもしれません。
あるいは,「また必要な時に」と思っておられるだけかもしれません。
ですから,次の予約が入らないことを,
すべて否定的に受け止めることはありません。
ただ,講師としては,
少し寂しさを感じることもあります。
前回まで普通にレッスンをしていて,
親御さんとも良い関係ができていると思っていた。
お子さんの様子も,少しずつ分かってきた。
この先,どう伸ばしていくかも見え始めていた。
それでも,次の予約が入らないことがあります。
苦情をいただいたわけではありません。
何か問題があったと決まったわけでもありません。
それでも,
「あの説明は届いていたかな」
「もっと別の伝え方があったかな」
「もう少し力になれたのではないかな」
と考えることがあります。
正直に言えば,少し心が折れそうになることもあります。
でも,そこでご家庭を責めたいわけではありません。
オンラインレッスンは,自由に使えるからこそ価値があります。
その自由を,こちらの不安で狭めたくはありません。
理由を聞かない代わりに,振り返る
予約が入らなくなった理由を,
こちらから深く尋ねることはほとんどありません。
本当は,気になることもあります。
でも,しつこいと思われたくはありません。
それに,「なぜ予約されないのですか」と聞かれたら,
断る理由をわざわざ言わなければならないと
感じるかもしれません。
それは,かえって申し訳ないことだと思っています。
だから,こちらから深く追いかけることはしません。
「また必要になった時に,思い出していただけたらうれしい」
そのくらいの気持ちでいます。
正直に言えば,
「今回で一区切りです」
「いつ頃までで終わる予定です」
と一言いただけると,
講師としてはとてもありがたいです。
理由をお尋ねしたいわけではありません。
最後の一回を,お子さんにとって
意味のある時間にしやすくなるからです。
「ここまではできるようになりました」
「次からはここを復習してください」
「また困ったら,この単元から戻るとよいと思います」
などと,お子さんに合わせて最後の整理ができます。
もちろん,それをこちらからお願いすることはしません。
オンラインレッスンの自由さを,
こちらの都合で狭めたくないからです。
でも,何も考えないわけではありません。
レッスンが終わったあと,心の中では少し振り返ります。
あの説明は分かりやすかっただろうか。
もう少し待つべきだっただろうか。
親御さんに,もっと安心してもらえる伝え方があっただろうか。
次に同じような場面があれば,どうすればよいだろうか。
何年指導していても,いつも試行錯誤です。
教える仕事は,ただ問題の解き方を伝えるだけではありません。
このお子さんは,どこで止まりやすいのか。
どんな言葉なら届きやすいのか。
どこまで自分で考えられて,どこから支えが必要なのか。
親御さんは,何を心配しておられるのか。
次の一歩を,どこに置けばよいのか。
毎回,そういう背景を考えながらレッスンをしています。
だからこそ,オンラインで教えるようになってから,
強く思うようになりました。
毎回のレッスンは,一回勝負だということです。
次の予約が必ず入るとは限りません。
今日が最後のレッスンになるかもしれません。
今日の25分や50分が,
そのご家庭と関われる最後の時間かもしれません。
だからこそ,その一回で何か一つでも
具体的な持ち帰りをしてもらいたいと思っています。
「分からなかった場所が一つ見えた」
「次に何をすればよいか分かった」
「少しだけ気持ちが軽くなった」
そう感じてもらえたなら,
その時間には確かな意味があったのだと思います。
一回だけでも,意味は残る
もちろん,予約が続くことは本当にありがたいです。
継続して見ていくことで,お子さんの変化も見えやすくなります。
前は止まっていたところを,少しずつ自分で考えられるようになる。
苦手だった単元で,「あ,分かった」と表情が変わる。
親御さんが,「少し安心しました」と言ってくださる。
そういう積み重ねは,講師として本当にうれしいものです。
でも,続くかどうかだけで,
そのレッスンの価値が決まるわけではありません。
一回だけのレッスンでも,その子の中に何かが残ることがあります。
一度の相談でも,親御さんの見方が少し変わることがあります。
短い時間でも,次に進むためのきっかけになることがあります。
オンラインレッスンは,
ボタン一つで予約でき,
ボタン一つでキャンセルできます。
その気軽さは,大切な良さです。
でも,画面の向こうには,困っているお子さんがいます。
心配している親御さんがいます。
どうにかしたいと思っているご家庭があります。
だから,こちらも軽くは向き合えません。
次があるかどうかは分からない。
それでも,今日の一問を一緒に見る。
今日のつまずきを一つ整理する。
今日の不安を少し軽くする。
それが,私にできることだと思っています。
だから私は,毎回のレッスンを一回勝負のつもりで準備します。
「今日だけでも,来てよかった」
「次に何をすればよいか,少し見えた」
「一人で悩んでいた時より,気持ちが軽くなった」
そう感じていただける時間にしたいと思っています。
もしまた必要になった時に,
「あの時の先生に聞いてみよう」
と思い出していただけたなら,
それはとてもうれしいことです。
そして,たとえそうならなかったとしても,
その日のレッスンに誠実に向き合ったことは,
決して無駄にはならないと思っています。
今日も,次があるかどうかは分かりません。
だからこそ,今日の一回を,
何よりも大切にしたいと思っています。
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