前回は、be動詞について、「=」というより、自分の感触に、確かにそうだという自信を持って、像と結びつけている流れに近いのかもしれない、という話を書きました。
今回は、同じように、英語で何度も何度も登場する、"have" について、少し観察してみたいと思います。
学校ではよく、have = 持つ、と習います。
もちろん、これも完全に間違いではありません。I have a car. なら、「車を持っている」で、たしかに通じます。
ただ、実際の英語を長く見ていると、have は、単なる「所有」だけでは少し足りないように感じることがあります。
たとえば、
I have a headache. I have an idea. I had a strange feeling. I'm having trouble sleeping.
など。
ここでの headache や idea は、「所有物」という感じではありません。むしろ、何かの感触や状態が、自分の輪郭の内側に、そのまま保持されている。そんな感覚に近いように思うのです。
以前の「be」の回では、英語では、ごくかすかな感触やエネルギーがきっかけとなって、像や輪郭が立ち上がる、という話を書きました。
have では、その感触や状態のエネルギーを、その像の存在そのものと重ね合わせるのではなく、像の輪郭の領域の内側に保持するような感覚があるように思います。
たとえば、I have a headache. なら、"痛い…"という感触が、単に空間に浮いているのではなく、" I "の輪郭の内側に、しっかり留まっている。
だから have は、単なる「持ち物」というより、感触・状態・情報・存在などを、自分の輪郭の内側に保持している状態に近い。そんなふうにも感じます。
I have an idea. も同じです。ここでも、idea は、ただ外側に存在しているのではなく、その感触が、" I "の内側に、ひとまず抱えられている。
だから have は、「持っている」というより、"内側へ抱え込んでいる"に近い感覚になることがあります。
I'm having trouble sleeping. のような進行形になると、その感覚はさらにはっきりします。trouble が、過ぎ去った出来事でも、外側の事実でもなく、今まさに " I " の内側で続いている。抱えたその状態が、今この瞬間も保持され続けている——have の進行形には、そんな"今、内側にある"感じが、強く出るように思います。
このメモのタイトルでも少し触れましたが、後ろに来るものが、物であれ、感覚であれ、アイデアであれ、have そのものは、ずっと have のまま、変わらずに働いているのかもしれません。学校では別々の用法として習うものが、英語話者の中では、案外ひとつの感覚でつながっているのではないか——そんなふうにも思うのです。
そして実は、この感覚は、現在完了にも深く繋がっているように思います。
I have finished my homework.
学校では、「完了」と習います。もちろん、それも間違いではありません。
ただ、ここでも、単なる「過去に終わった」というより、finished という出来事が、今も " I " の内側に保持されている。そんな感覚に近いようにも思えます。
一方、I finished my homework. になると、その出来事は、必ずしも現在の " I " の内側に保持されている必要はありません。
以前の be の回でも少し触れましたが、英語では、時制は、単なる時間の流れというより、話者が、その感触や状態を、どれくらいリアルなものとして扱っているのか、その存在スタンスとも深く関係しているように感じます。
そして have では、その感触を、"自分の側に抱えているかどうか"という感覚が、かなり強く働いているようにも見えます。
だから英語は、単語を順番に組み立てているというより、感触、輪郭、存在感、リアル感などが、並列的に存在しながら、少しずつ結びつき、言葉になっていく感覚に近いのかもしれません。
もちろん、これは「唯一絶対の説明」ではありません。
ただ、英語を長く観察していると、have を、単なる「持つ」として扱うより、"感触や状態を、自分の輪郭の内側に抱えているもの"として見た方が、英語全体の感覚が、自然につながって見えてくるように感じます。
次回は、get がなぜ「得る」だけでは説明しきれないのか、について、同じ「英語OS」の視点から、もう少し見ていこうと思います。
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プロフィール
英語講師のNaoです。日本育ちのまま英語を習得し、TOEIC990点取得(複数回)。20年以上、たくさんの学習者を見ながら、「なぜ話せないのか」「何が効くのか」を観察し続けてきました。そのなかでたどり着いたのが、処理構造そのものを整えるというアプローチです。英語を自立して吸収できる土台が整うと、英語は、先生がいなくても育ち続けるものになっていく。レッスンでは、そんな土台づくりを一緒にしています。
このテーマについて、少しずつ続きを書いていく予定です。
日本語コラムと合わせて、英語での発信(Substack)も少しずつ増やしていく予定です。よかったらどうぞ→ Substack
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