日本語・韓国語講師の Hayoung_Eiko です ^ ^
韓国のドラマを見ていると、
에이, 나 이 일 때려치울래!
そんなセリフを耳にすることがあります。
字幕では「この仕事、辞めてやる!」
と訳されることが多いのですが、
どこか勢いがあります。
ただ「辞める」と言っているだけではない。
そんなふうに感じたことはありませんか。
韓国語で「辞める」といえば、
まず思い浮かぶのは 그만두다 です。
仕事を辞める。
部活を辞める。
習い事を辞める。
どんな場面でも自然に使える、とても基本的な単語です。
でも、ドラマや日常会話で耳にする
때려치다 や 때려치우다 には、少し違う空気があります。
「もう嫌だ。」
「やってられない。」
「全部放り出したい。」
そんな気持ちがあふれたときに、
思わず口をついて出るような表現です。
だから、
에이, 나 이 일 때려치울래!
と言われると、
「この仕事を辞めます。」
という冷静な報告ではなく、
「こんな仕事、もうやってられるか!」
という感情まで聞こえてきます。
例えば、
다 때려치우고 집에 가고 싶다.
「もう全部放り出して帰りたい。」
あるいは、
공부 다 때려치우고 자고 싶어.
「勉強なんて全部やめて寝たい。」
もちろん、本当に辞めるとは限りません。
それでも、その一言からは、
「もう限界だ」という心の声が伝わってきます。
つまり、그만두다 が
「辞める」という事実を落ち着いて伝える言葉だとすれば、
때려치다 や 때려치우다 は、
「もうやってられない」という気持ちまで
一緒に伝えてくれる表現だと言えるでしょう。
ちなみに、韓国語の辞書や学習資料を見ていると、
때려치다 と 때려치우다 の両方が扱われています。
見出し語や説明の仕方には
資料によって違いが見られることもありますが、
ドラマや会話ではどちらも耳にする表現です。
学習者としては、「形の違い」よりも、
「もうやってられない」という話し手の気持ちに目を向けると、
この言葉がぐっと身近に感じられるでしょう。
日本語でも、
「仕事を辞めました。」
と
「もうやってられない!」
では、同じ出来事でも伝わってくる空気はまったく違います。
人は、「辞める」という一言にも、
そのときの気持ちを込めています。
前向きな区切りとして辞める人もいれば、
限界まで頑張った末に、その言葉を口にする人もいる。
だから、ドラマで 때려치다 や 때려치우다 を耳にしたら、
「辞める」と訳して終わりにせず、
その一言の向こう側にも少し目を向けてみてください。
もしかしたら、その人が本当に伝えたかったのは、
「辞める」という事実ではなく、
「もう頑張れない」という気持ちだったのかもしれません。
一つの単語を覚えたつもりでも、
本当に心に残るのは、
その言葉が映していた誰かの気持ちなのかもしれません。
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