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▷発音を直す前に、日本語の音を見るようになった理由

Nao705

※レッスンを続ける中で見えてきたことや、今のレッスンが形になるまでの過程を、少しずつ書いています^^
 
長く発音を教えながら、
ずっと不思議に思っていたことがあります。
 
子どもは、新しい言葉の音を、
比較的すっと取り込むことがあります。
 
一方、大人になってから英語を学ぶ日本人にとって、
発音はなかなか大きな壁です。
 
よく、
 
「子どもは脳が柔らかいから」
 
と言われます。
 
もちろん、年齢も関係しているのだと思います。
 
でも、本当にそれだけなんだろうか。
 
私自身も、日本で育った日本語話者です。
 
発音については、比較的早い段階から、
一般的な日本人学習者の英語とは少し違う、
ネイティブに近い響きがあったように思います。
 
もちろん、最初から完成していたわけではありません。
 
現在に至るまで、意識的にも無意識にも、
細かな修正を重ねてきました。
 
それでも、
 
同じように日本語を母語として育ちながら、
なぜ英語の音の入り方に、これほど違いが出るんだろう。
 
長いあいだ、そんなことを考えていました。
 
 
実際にレッスンをしていると、
単に「耳がよいか」「リズム感があるか」だけでは
説明できないことが、たくさん起こります。
 
ある方は、耳がよくて、リズム感もよくて、
それなりに英語らしい音が出ている。
 
でも、よく聞くと、
英語の音とは少し違う。
 
また、別の方は、
一つの音をゆっくり何度か聞いてもらっても、
同じようには出てこないことがあります。
 
一音しか言っていないのに、
返ってくる音は二音になっていたり、
そこになかった音が入っていたりします。
 
口の形の図を見ながら、
同じように動かしてもらっても、
人によって出てくる音はかなり違います。
 
そして、ときどき、英語の音を聞いてもらったあと、
 
「今、どんな音が聞こえましたか」
 
と聞くと、
 
「こういう意味のことを言っていました」
 
と、日本語の意味が返ってくることもあります。
 
意味を理解できていることは、
もちろん悪いことではありません。
 
ただ、このとき私が聞いたのは、
意味ではなく、音でした。
 
もしかすると、口から英語を出すより前に、
すでに何かが起きているんじゃないか。
 
聞こえた音を、音のまま受け取る前に、
意味へ進んでいる。
 
あるいは、聞こえた英語を、
日本語で扱いやすい音のまとまりへ、
すぐに整えている。
 
そうだとしたら、
出てきた音だけを直しても、
その手前にある聞き方や身体の使い方は
変わらないのかもしれません。
 
それで少しずつ、
英語をどう発音するかだけではなく、
 
この方は、普段、
日本語の音をどう聞き、どう作っているんだろう。
 
そちらを見るようになりました。
 
 
日本語を話しているとき、
私たちは、とても細かく身体を使っています。
 
ただ、あまりにも上手に、
あまりにも速くやっているので、
自分ではほとんど気づきません。
 
私には、日本語の一音は、
口の形だけで作られているわけではないように見えます。
 
ごくごく軽く筋肉と息を使って、
小さな反動のようなものを作る。
 
その軽い勢いに乗せて、
母音や、子音と母音のまとまりを、
一音分として出している。
 
この動きは、
日本語を話すためには、
とてもよくできた仕組みです。
 
ただ、英語を聞いたり出したりするときにも、
同じ動きが自動的に働くことがあります。
 
すると、
英語では一つだった音が二つになったり、
そこになかった母音が入ったりする。
 
英語の口の形を真似していても、
その形を動かしている身体の使い方は、
日本語のままということもあります。
 
 
だから今の発音レッスンでは、
英語の音を直す前に、
日本語の音を見ることがあります。
 
普段、声をどう出しているのか。
 
一音分のまとまりを、身体でどう作っているのか。
 
息や筋肉を、どのように使っているのか。
 
そこを一緒に見ながら、
英語では何を変える必要があるのかを、
少しずつ身体で確かめていきます。
 
 
そうしてレッスンを続けていると、
発音そのものだけではなく、
聞き方にも変化が出てきます。
 
知らない言葉が聞こえたとき、
意味がわからないからと、
そのまま通り過ぎなくなる。
 
知らない音の並びでも、
聞こえた音をそのまま捉えて、
一度、再現してみることができる。
 
その場では意味がわからなくても、
音として残しておくことができるので、
別の場面でまた出会ったときに、
 
「前にもこの音を聞いた」
 
と気づくことがあります。
 
そうやって、
意味を知っている英語だけではなく、
まだ知らない英語も、
音から少しずつ蓄積できるようになっていきます。
 
映画やドラマを見ているときにも、
以前なら一つのかたまりとして通り過ぎていたところを、
音として少し手元に残せるようになる。
 
自分の発音についても、
ただ「違う」と言われるのではなく、
どこがどう違ったのかを、
少しずつ自分でも感じられるようになります。
 
 
こうした変化について、
生徒さんの方から、
毎回お話しくださるとは限りません。
 
でも、こちらから、
 
「以前と比べて、音の聞こえ方はどうですか」
 
と聞いてみると、
 
「以前とは全然違います。
音が、本当に聞こえるようになりました」
 
と。
 
その言い方も、
何か特別な成果を報告するというより、
そんなことは聞くまでもない、
というくらい自然なものだったりします。
 
たぶん、
今の聞こえ方が、もうその方にとって
普通になっているのだと思います。
 
発音の響きを褒められたり、
以前より、一度で伝わることが増えたり。
 
ネイティブの速さで話しかけられても、
音を受け取り、その場で返せる場面が増えていきます。
 
こうした変化は、
特別な出来事としてではなく、
レッスンを続ける中で、淡々と起きていきます。
 
そして、まだうまく出せない音があっても、
 
「自分には無理だ」
 
とは、あまり考えなくなります。
 
ネイティブと同じ響きを、
本当に目指してみようと思える。
 
励まされたからではなくて、
自分の音や聞こえ方が実際に変わり、
そこへ向かう道筋を、
自分でも感じているから。
 
 
そして、もう一つ、共通する変化があります
 
一つの音を丁寧に確認するのか、
力を抜いて楽しみながら英語をたくさん聞くのか。
 
どのくらい聞き、どのくらい声に出すと、
今の自分には入りやすいのか。
 
講師に言われたものを、
ただ言われた回数だけ練習するのではなく、
自分の耳や身体の状態を見ながら、
必要な素材や練習を、
自分自身で選べるようになっていきます。

ここまでくると、
変わっているのは発音だけではありません。
英語との付き合い方そのものが、
少しずつ変わり始めています。
 
発音レッスンというと、
一つ一つの音をきれいにするためのものに
見えるかもしれません。
 
でも、発音を入り口にして、
英語の音をそのまま受け取り、
自分で試し、少しずつ蓄積できるようになる。
 
そして、レッスンの外でも、
自分で英語を育てていけるようになる
 
今の発音レッスンで一緒に作りたいのは、
そんな土台なのだと思います。
 
まだ観察の途中ですが、
最近は、英語の発音を教えながら、
日本語の音の方をよく見ています^^
 
━━━━━━━━
 
このコラムでお話しした、
日本語と英語の音の作り方の違いを、
身体で一つずつ確かめていくレッスンです。
 
英語の音を真似しても、
なぜかいつもの自分の音に戻ってしまう方や、
発音だけでなく、英語の聞き方から整えていきたい方へ。
 
 

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This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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