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第20回:復習は忘れてからでいい?|伸びる子が戻るタイミング

じゅんじ / John

「昨日やったばっかりやのに,もう忘れたの?」

子どもが前に習った問題で止まっていると,

ついそう言いたくなることがあります。

でも,伸びる子の家庭を見ていると,

「忘れたこと」そのものを,あまり問題にしていない
ことがあります。

むしろ,

「何やったっけ?」
「ちょっと思い出してみる?」
と,
もう一度自分の頭から取り出すきっかけを作っています。

実は,復習では,

忘れないことより,忘れかけた時に戻れること
の方が大切なのかもしれません。

■ 勉強した直後は,「できて当たり前」のこともある


授業が終わった直後は,

まだ先生の説明を覚えています。

途中式も覚えています。

答えまで,

何となく頭に残っていることもあります。

その状態で同じ問題を解けば,

「できた!」
となりやすいです。

もちろん,

それも大切です。

ただ,

本当に自分の力でできるようになったか
を確かめるには,
少し時間を空けてみる必要があります。

次の日。


数日後。


もう一度同じことを聞かれた時に,

「えーっと……」
と考えて,
そこから自分で思い出せるか。

そこに,

復習の大切な意味があります。

■ 私は,トイレで復習していました


私自身,学生の頃,

トイレに入った時などに,
「今日習ったことを言えるかな」
と,
その日の授業内容を頭の中で再現していました。

誰かに言われて始めたわけではありません。


ノートを見るわけでもなく,

教科書を開くわけでもありません。

「今日は何を習った?」

「先生は,どんな説明をしていた?」
「この公式は,なぜこうなる?」

そんなふうに,

自分の頭の中から取り出していました。

ちゃんと分かったつもりでも,

何も見ずに説明しようとすると,
「あれ?」
となることがあります。

逆に,

自分の言葉で説明できれば,
「ここは頭に入ってるな」
と分かります。

今振り返ると,

これはかなりよい復習だったと思います。

■ 今なら「想起学習」だったと分かります


当時の私は,

もちろん専門的な名前など知りませんでした。

でも今なら分かります。

何も見ずに,

自分の頭から学んだことを取り出す方法は,
「想起学習」
と呼ばれています。

以前のコラム,

「できる子が無意識にやっている,本当に効果のある5つの学習法」
でも紹介しました。

ノートを読み返す。

教科書をもう一度見る。
それも復習です。

でも,

「何が書いてあったかな」
「自分で説明できるかな」
と,
いったん何も見ずに思い出してみる。

その一手間が,

学んだことを自分のものにしていきます。

私がトイレでやっていたのは,

まさにそれでした。

誰かに言われたわけでもなく,

「今日習ったことを言えるかな」
と試していた。

結果的に,

後になって「効果がある」と知った学習法
を自然にやっていたことになります。

■ 少し忘れかけた時が,復習のチャンス


例えば,

数学の授業で一次方程式を習ったとします。

授業直後なら,

「移項して,符号を変えて……」
と,
先生の説明を思い出しながら解けるでしょう。

ところが,

2日ほどたつと,
「あれ?どうするんだったっけ」
となることがあります。

でも,
ここでがっかりする必要はありません。

むしろ,

ここが復習のチャンスです。

すぐ答えを見るのではなく,
「たしか,まず……」
と少し考えてみます。

そして,

自分の力で思い出して解けたなら,
その知識は,
前より強くなっています。

復習とは,

ただ同じものを何度も見ることではありません。

少し薄れかけた記憶を,自分の力でもう一度取り出すこと

でもあります。

■ 翌日,1週間後,1か月後と戻る


このように,

時間を空けて学習する方法は,
「分散学習」
と呼ばれています。

これも,

以前の「本当に効果のある5つの学習法」で紹介しました。

つまり,

何も見ずに思い出す「想起学習」
と,
時間を空けて戻る「分散学習」
を組み合わせるわけです。

例えば,

翌日 → 1週間後 → 1か月後
と戻ってみる。

もちろん,

これは一つの目安です。

毎回,

全部やり直す必要もありません。

前に間違えた問題。

少し迷った問題。
先生に説明してもらって,
ようやく分かった問題。

そういう問題を,

1問か2問やってみるだけでも十分です。

■ ここで,「伸びる子の親あるある」


子どもが,

「これ,忘れた」
と言った時。

そこで,

「昨日やったでしょ」
「ちゃんと覚えないとだめでしょ」
と言うと,
子どもの意識は,
問題ではなく,
「忘れた自分はダメなんだ」
という方へ向いてしまうことがあります。

でも,
「忘れたか。どこまでなら思い出せる?」
「答え見る前に,ちょっと考えてみようか」
と声をかければ,
意識は,
「どうやったら思い出せるかな」
という方向へ向きます。

この違いは,
小さいようで大きいと思います。

伸びる子の親は,

すぐに答えを教えるわけでもなく,
ずっと横について勉強を見るわけでもありません。

子どもが思い出そうとしている時間を,奪わない。

そんな関わり方をしていることがあります。

■ 「もう習ったでしょ」ではなく,「戻ればいい」


勉強は,

一直線に進むものではありません。

前に習ったことを忘れたら,

戻ればいい。

また忘れたら,

また戻ればいい。

数学では特に,

前に習ったことを使って,
次の内容を学んでいきます。

分数があやふやなら,

分数へ戻る。

一次方程式が不安なら,

一次方程式へ戻る。

それは,

後退ではありません。

戻ることで,次へ進めるようになります。


だから,

「もう習ったでしょ」
ではなく,
「必要なら戻ればいい」
と思えることも,
伸びる子の親あるあるの一つではないでしょうか。

■ 「覚えてる?」より,「言えるかな?」


家庭でできることは,

それほど難しくありません。

今日,学校から帰ってきた子に,

「ちゃんと覚えてる?」
と聞く代わりに,
「今日習ったこと,何か言えるかな」
と聞いてみる。

数日後なら,

「この前やったやつ,まだできるかな」
と,
1問だけやってみる。

全部言えなくても構いません。


忘れていても構いません。


むしろ,

「あれ?」
となった時こそ,
思い出すチャンスです。

忘れない子が伸びるのではありません。


忘れかけた時に,自分で戻ってこられる子が伸びていきます。


机に向かわなくても構いません。


トイレの中でも,

お風呂の中でも,
移動中でもできます。

「今日,何を習ったかな」

と,
自分の頭に問いかける。

そして親は,

「忘れたの?」
ではなく,
「どこまで思い出せるかな?」
と,
少しだけ背中を押す。

忘れたことを責めるより,

思い出そうとする時間を大切にする。

これも,

伸びる子を支える親の関わり方だと思います。

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This column was published by the author in their personal capacity.
The opinions expressed in this column are the author's own and do not reflect the view of Cafetalk.

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