こんにちは。Microsoft Office 講師のKaorinaです。
Excelを学んだことがある方なら、
「1つのセルには、基本的に1つのデータを入れましょう」
と聞いたことがあるのではないでしょうか。
実は、このExcelの基本ともいえる考え方に、大きな変化が起きようとしています。
■Excelで「1つのセルに複数の値」が入る時代へ
Microsoftは2026年9月24日、Excelの新機能として「Lists」「arrays in cells」「nested arrays」を発表しました。
これまでExcelでは、基本的に1つのセルには1つの値を入れていました。
たとえば、
担当者:田中
という形です。
複数の担当者がいる場合に、
田中、佐藤、鈴木
と1つのセルに入力すると、これまでは基本的に「ひとまとまりの文字列」として扱われていました。
新しいListsでは、これらを1つのセルに表示しながら、それぞれを別々の値として扱えるようになるようです。
さらに、計算結果として複数の値を持つArrayを1つのセルに格納したり、その中にさらにArrayを持つNested Arrayも扱えるようになる予定です。
■「複数の値を入れられる」=「まとめたほうがよい」ではない
ここで大切なのは、
「複数の値を1つのセルに入れられる」
ことと、
「何でも1つのセルにまとめたほうがよい」
ことは、まったく別だということです。
たとえば、
氏名:田中
所属:営業部
役職:課長
というデータがあったとします。
「営業部」と「課長」は、それぞれ意味の違う情報です。
そのため、今後も「所属」「役職」と列を分けて管理するほうが、検索・集計・分析などに使いやすいデータになります。
一方、
この案件の担当者:田中、佐藤、鈴木
のように、「担当者」という1つの項目に複数の人が存在する場合には、将来的にListが適しているケースも出てきそうです。
つまり、これから必要になるのは、
「1セルに複数の値を入れられるかどうか」
という操作知識だけではありません。
「このデータは、どのような構造で持つべきなのか」
を人が判断する力です。
■今すぐListsやArraysを覚えなくても大丈夫
2026年9月30日現在、この機能はWindows版とMac版ExcelのInsider Beta Channel向けに提供されているプレビュー機能です。
Microsoftは、正式提供前の機能について重要なブックでの利用を推奨していません。
また現在は、グラフ、ピボットテーブル、Power Queryなどがセル内のArray値をそのまま扱えないなどの制限もあります。
そのため、Excel初心者の方が今すぐListsやNested Arrayまで覚える必要はありません。
まずはこれまで通り、
・セル、行、列
・正しいデータ入力
・表とテーブル
・SUMやIFなどの基本関数
・XLOOKUP
・並べ替え、フィルター
・グラフ
・ピボットテーブル
といった基礎を身につけることが大切です。
そして「1セル=1値」は絶対的なルールではなく、
「Excelでデータを整理するときの基本原則」
として理解しておくとよいでしょう。
■生成AI時代だからこそOfficeの基礎が大切
ここで、もう一つ大切な変化があります。
Microsoft Officeにも生成AIがどんどん組み込まれています。
「AIが操作してくれるなら、もうExcelを勉強しなくてもよいのでは?」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
私はむしろ逆だと考えています。
生成AIを便利に使うためにこそ、Officeの基礎知識が重要になってきます。
Microsoftの説明では、Copilot in Excelによるデータ分析は、テーブルまたはテーブルのように整理されたデータ範囲を対象としており、非構造化データには対応していません。
つまり、
・見出しはどこなのか
・1列にはどの種類のデータを入れるのか
・空白や重複はどう扱うのか
・どこまでが分析対象なのか
といった基本的なデータ構造が、とても大切なのです。
AIに分析をお願いする前の段階でデータが整理されていなければ、AIも正しく情報を読み取れない可能性があります。
そして、AIが出した結果が正しいかどうかを最終的に確認するのは、人です。
■WordやPowerPointでも同じです
この考え方はExcelだけではありません。
Wordであれば、
・文章の構成
・見出し
・段落
・スタイル
・ページレイアウト
PowerPointであれば、
・スライドの構成
・レイアウト
・図表の使い方
・情報の優先順位
・伝わる資料の組み立て方
といった基礎があります。
生成AIに「資料を作って」と依頼することはできます。
しかし、出来上がったものを見て、
「この表現で本当に伝わるのか」
「この数字の見せ方でよいのか」
「このレイアウトは修正したほうがよいのか」
を判断するには、やはり人の基礎知識が必要です。
■これからのOfficeスキルとは?
これからのOfficeスキルは、
「すべて自分で操作するための知識」
だけではなく、
「AIに正しく指示し、結果を確認し、必要なら修正するための知識」
にもなっていくと思います。
だからこそ、生成AIが急速に進歩している今、Excel・Word・PowerPointの基礎を一度きちんと身につけておくことをおすすめします。
基本操作が分かっていれば、新しい機能が追加されても、
「これは今までの機能と何が違うのか」
を理解しやすくなります。
AIを使う場合にも、
「何をお願いすればよいのか」
「出てきた結果をどう直せばよいのか」
が分かるようになります。
■Microsoft Officeを基礎から学んでみませんか?
私のMicrosoft Officeレッスンでは、単に操作手順を覚えるだけではなく、
「なぜこのようにデータを作るのか」
「実際の仕事ではどのように使うのか」
という点も大切にしています。
Excel、Word、PowerPointをこれから学びたい方はもちろん、自己流で使ってきたけれど、一度きちんと基礎から整理したいという方も大歓迎です。
生成AIによってOfficeの使い方は、これからさらに変わっていくでしょう。
だからこそ、変化する機能だけを追いかけるのではなく、その土台になる基礎を身につけておく。
それが、これからの仕事で長く使えるスキルになると思います。
新しい機能やAIを「難しそう」と遠ざけるのではなく、
「基礎があるから使いこなせる」
そんな状態を、今のうちに一緒に作っていきましょう。
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