■ たすき掛けは,因数分解だけではない
第4回では,
計算は,係数だけを見ると速くなる
という話をしました。
文字も含めて全部追いかけるのではなく,
同じ形を見つけて,
係数だけを見る。
今回は,その見方を
たすき掛けにも使います。
たすき掛けというと,
因数分解で使うもの,
と思っている人が多いかもしれません。
でも,じょん先生は,
たすき掛けを因数分解だけの道具とは考えていません。
展開を教える時点で,すでにたすき掛けの見方を入れます。
なぜなら,展開のときに
真ん中の係数がどう作られるかを見ておくと,
因数分解に入ったときに,
式を逆にたどりやすくなるからです。
■ 展開の時点で,たすき掛けを見る
たとえば,
(2x−5y)(3x+4y)
を考えます。
普通に展開すると,
(2x−5y)(3x+4y)
=2x×3x+2x×4y−5y×3x−5y×4y
=6x²+8xy−15xy−20y²
=6x²−7xy−20y²
となります。
もちろん,これで正しいです。
でも,じょん先生はここで終わりません。
この展開をするときに,
最初から係数だけを見せます。
(2x−5y)(3x+4y)
なら,
見るのは,
2 −5
3 4
です。
まず,両端の係数を見ます。
x² の係数は,
2×3=6
y² の係数は,
(−5)×4=−20
そして,真ん中の xy の係数は,
斜めにかけたものを合わせます。
2×4=8
(−5)×3=−15
だから,
8+(−15)=−7
となります。
ここで大事なのは,
真ん中の係数 −7 は,8 と −15 を合わせて作られている
ということです。
これが,たすき掛けの見方です。
■ 因数分解は,展開を逆にたどる
多くの場合,たすき掛けは,
因数分解に入ってから急に出てきます。
たとえば,
6x²−7xy−20y²
を因数分解しなさい,
という問題になってから,
「たすき掛けを使いましょう」
と言われます。
でも,生徒にとっては,
ここで急に新しい道具が出てきたように感じることがあります。
だから,じょん先生は,
その前の展開の段階で見せておきます。
(2x−5y)(3x+4y)
を展開するときに,
2 −5
3 4
と係数を並べて,
2×4=8
(−5)×3=−15
だから,
8−15=−7
真ん中の係数は −7 になる。
こう見せておくのです。
そうすると,因数分解に入ったときに,
6x²−7xy−20y²
を見ても,
「あ,これはさっきの展開を逆にたどるんだ」
と考えやすくなります。
6x² は,
2x と 3x から来たかもしれない。
−20y² は,
−5y と 4y から来たかもしれない。
真ん中の −7xy は,
8xy−15xy から来たかもしれない。
こう考えられます。
つまり,因数分解は,
展開を逆にたどる計算です。
展開の時点でたすき掛けを見ておくと,
因数分解がただの暗記ではなくなります。
■ ここでも,係数だけを見る
第4回と同じです。
ここでも大事なのは,
文字を全部追わないこと
です。
もちろん,最初のうちは,
途中式を書いて確認してもかまいません。
でも,慣れてきたら,
見る場所をしぼります。
(2x−5y)(3x+4y)
なら,
x² の係数は,2×3。
xy の係数は,2×4+(−5)×3。
y² の係数は,(−5)×4。
このように見ます。
これは,途中式を雑に省くということではありません。
見るべきところを見る
ということです。
係数を見る。
同じ形を見る。
真ん中の係数を見る。
この見方ができると,
展開も因数分解も,かなり楽になります。
■ まとめ
たすき掛けは,
因数分解だけの道具ではありません。
展開の段階から,
真ん中の係数をどう作るか
を見るためにも使えます。
展開でこの見方をしておくと,
因数分解はぐっと分かりやすくなります。
次回は,正負の数に戻ります。
正負の数のかけ算を,
符号の丸暗記だけでなく,
向きのルールとして考えていきます。
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