「いい学校に入りたい」
「安定した仕事に就きたい」
「社会で成功したい」
私たちは,人生のさまざまな場面で成功を目指します。
学生なら成績や進学先,社会人なら収入や仕事での評価,社会的な地位などが,成功の目安になるかもしれません。
もちろん,目標を持ち,それを達成することには大きな価値があります。
でも,ここで一つ考えてみたいことがあります。
そもそも,成功とは何でしょうか。
私は,成功とは,特別な人だけのものでも,将来,何かを達成して初めて手に入れるものでもないと考えています。
成功は,だれでも今すぐできる。
なぜ,そう言えるんでしょうか。
■ 成功は,結果ではなく状態である
成功とは,何かを達成した結果ではなく,今,どのように生きているかという「状態」だと私は考えています。
例えば,第一志望の学校に合格したとします。
それは,とてもうれしい結果です。
でも,合格した瞬間に初めて成功したと言えるんでしょうか。
反対に,自分にできる準備をすべて行い,最後まで努力したのに不合格だったら,その人は失敗したことになるんでしょうか。
仕事でも同じです。
誠実に取り組んでいても,必ずしも望んだ評価や成果が得られるとは限りません。
結果には,自分の努力だけでは決められない要素があります。
一方,どのような方法を選び,どのように取り組むかは,自分で決められる部分があります。
正しいことを選び,自分にできるベストを尽くしているなら,その人はすでに成功している。
私は,そう考えています。
「それは成功というより,誠実な生き方ではないか」と思われる方もいるかもしれません。
確かに,一般的には,目標を達成したことを成功と呼びます。
その意味での成功を,私は否定しているわけではありません。
でも,ここで一つ考えてみたいことがあります。
「成功した人」と
「成功した人生を送っている人」は,
同じでしょうか。
望んだ結果を手に入れても,そのためにほかの大切なものを失っていたら,本当に成功したと言えるでしょうか。
反対に,望んだ結果が得られなくても,自分が正しいと考えることを選び,最善を尽くしてきた人生には,
成功と呼べるものが何もないのでしょうか。
だからこそ,私は,何を手に入れたかという結果だけでなく,どのように生きているかという状態にも,成功を見いだせると考えています。
■ 結果は「点」,成功は「線」
試験の合否,テストの点数,仕事での成果。
これらは,人生のある時点で得られる「点」です。
でも,私たちの人生は,その一つの点で終わるわけではありません。
今日の選択が明日につながり,明日の行動がその先につながっていく。
成功は,今どのように生きているかという「状態」。
そして,その状態の積み重ねが,人生という一本の「線」になっていきます。
もちろん,その線はいつも真っすぐとは限りません。
間違った方向に進んだり,立ち止まったりすることもあります。
それでも,振り返り,必要なら方向を修正できます。
大切なのは,途中にどんな点があったかだけでなく,今,どのような線を描いているかだと思います。
■ 90点と50点,どちらが成功?
数学のテストで90点を取った生徒と,30点から50点に伸ばした生徒がいたとします。
どちらが成功したと言えるでしょうか。
点数だけでは判断できません。
90点の生徒も,一生懸命に勉強したかもしれません。
50点の生徒も,苦手な問題を何度も練習して,ようやく20点伸ばしたかもしれません。
どちらの努力にも価値があります。
私は家庭教師として,結果だけでなく,そこに至る過程を大切にしています。
実際に,約4か月,合計約30時間の指導で,数学が約30点,英語が約20点伸びた生徒さんがいます。
もちろん,成績が上がったことは,とてもうれしい結果です。
でも,私が見ているのは点数だけではありません。
「分からない」と言えるようになった。
途中式を丁寧に書けるようになった。
間違えた問題を,自分でもう一度考えるようになった。
こうした変化は,たとえ点数に表れていなくても,確かな成長です。
良い結果を目指すことと,結果だけで成功を判断することは,別だと思います。
■ ベストを尽くすとは
「最善を尽くす」とは,睡眠時間を削ったり,無理を重ねてでもがんばることではありません。
体調や事情によって,できることは日によって違います。
ある日は10問解けても,別の日には2問しか解けないかもしれません。
でも,その日の状況で,できることに誠実に取り組んだなら,それがその日のベストです。
大切なのは,ただがんばることではなく,何を,どのようにがんばるかです。
例えば,カンニングをして100点を取ったとしても,それを本当の成功とは呼べないでしょう。
仕事でも,人を欺いて成果を上げたり,自分の利益のために誰かを傷つけたりすることは,私が考える成功とは違います。
反対に,だれにもほめられなくても,誠実に責任を果たし,他の人を思いやりながら行動している人がいます。
私は,その姿勢にこそ価値があると思っています。
■ 私自身も,選択を重ねてきました
私は,1986年に家庭教師としての指導を始めました。
その後,学習塾の経営,大手学習塾の講師,訪問型やオンラインの家庭教師など,さまざまな形で教育に携わってきました。
その一方で,教育ボランティアにも長年取り組んできました。
私の人生では,収入や社会的な評価を優先すれば,別の選択もあったと思います。
でも,私にとって大切なのは,何を手に入れたかだけではありません。
自分が大切だと考えることのために,どのような選択をしてきたか。
もちろん,これまでの選択がすべて正しかったとは思いません。
失敗したこともあれば,もっと良い方法があったと振り返ることもあります。
それでも,その時々に何を大切にすべきかを考え,自分にできることに取り組んできました。
今も,その途中にいます。
だからこそ,私は成功を,過去の実績や今の肩書だけで判断したくないんです。
■ 成功するために,将来を待つ必要はない
私たちは,つい将来のある時点に成功を置いてしまいます。
志望校に合格したら。
希望する仕事に就けたら。
十分な収入を得られたら。
でも,それらを達成するまで,自分は成功していないんでしょうか。
幸せになることも,そこまで待たなければならないんでしょうか。
私は,そうは思いません。
今日,正しいことを選び,自分にできる最善を尽くしているなら,その人は今すでに成功していると考えています。
もちろん,そうして生きていても,悲しいことや苦しいことはあります。
幸せとは,いつでも楽しい気持ちでいることではありません。
困難な状況にあっても,正しいことを選び,自分にできる最善を尽くしている。
そのように生きること自体に,満足や幸せを見いだすことはできると思います。
たとえ昨日,思うようにできなかったとしても,今日からまた始めることができます。
昨日の結果を変えることはできなくても,今日の選択は変えられます。
私は生徒さんにも,「いつか成功する人」ではなく,「今,成功している人」であってほしい。
そう願っています。
そして,それは大人である私たち自身にも言えることだと思います。
■ 最後に
成功についての私の考え方には,聖書から学んできた価値観が大きく影響しています。
もちろん,人にはそれぞれの価値観があり,私はその違いを尊重しています。
今回のコラムは,私の価値観をだれかに押し付けるために書いたものではありません。
あくまでも,私が人生や教育において何を大切にしているのかを知っていただきたいと思ったからです。
人の価値は,点数や肩書,収入だけで決まるものではありません。
私にとっての成功とは,何かを手に入れたという結果ではなく,正しいことを選び,その時々にできる最善を尽くしている状態です。
大きな成果がなくても,だれにも認められなくても,そのように生きることはできます。
成功するために,将来のいつかを待つ必要はありません。
成功は,だれでも今すぐできるんです。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。

Comments (0)