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DominantPRO、Insula

中村勇太

どういうわけか、今年はあと5回コンサートがあり、弦交換や毛替えのタイミングに迷っています。
例年この時期からは2つ3つ程度なのですが。

そして相変わらずの嫌な雨。とにかくE線が傷む。
ちょっとでも錆び始めると、シャイ〜〜〜という音でげんなりします。

最近は、弦もお値段がそうとうなので、さび落とし剤やピカール、時には紙やすりで錆を落とすのですが、自分の弾く時間と汗だと、もって2週間が限界のようです。

一方、GDAのガットは、巻線と裸ガットどちらも、オイルを追加するようにしてからまあまあもちが良くなった気がするものの、9月10月の気温と雨にはまいりました。

あと、絨毯の部屋での本番もあったりするので、選択肢はたくさん知った方が良かろう、ということで久々にナイロン弦を色々試してみたんです。

まず、Dominant PRO。

普通のドミナントとはほぼ別物。
ドミナントの明るい元気な音に比べると落ち着いて、暗い音があります。
が、どうもG線が強い。弦が鳴ってます!!という感じになってしまいました。これは、エアコンであったかく乾燥した会場で、一音目が思わぬ爆音になってしまって肝を冷やす感じだろう、と思い、予備楽器に張りました。するとあら不思議、ベニヤ板の楽器がいい感じの音になりました。

その前にビオリーノを試したのですが、これが20年ぶりに試すとなかなか良かったのです。左手も右手も極めてガットに近い。今後夏場どうしようもない時にはアリかもしれないと思いました。

で、今日試してみたのが Pirastro Insula。
ガットを目指して〜という宣伝です。(じゃあ、初めからガットをはればいいじゃないの、と正直思いますが、使えるものか、生徒さんが張った時にどういう感じなのか、を知るためにも試してみるのです)

なるほど、結果的には音色や質感の幅はガットに近い。
どんな楽器もそれなりに鳴らしちゃいますよ〜というオブリガートよりも好印象。

コントロール方法は若干違いますが、DominantPROのように跳ね返される感じはしません。
が!
録画だとあまり伝わりませんが、耳元では弱目のガットと全然ちがいます。
特に右手が終わった後の響きがすぐ途切れます。
あと、音が重なっていくような箇所でもうっすら消していくような時には気を遣います。
たぶん、張力が強い分、楽器の振動がすぐ止まるんだと思います。
響く会場ならその方が好都合という人もいるかもしれませんが、この余韻とかについてはビオリーノの方が優れている気がします。

考えさせられます。
ガットそのものを売っているのに、ガットに似せた人工物を作る理由はなんなのか・・・
みんながピッチの安定をそこまで求めるのはなぜなんだろう。
気温や湿度で狂って当たり前なのに。

共演者とも話したりするのですが、録音を聴く方がメインになって、生を聞かなくなってるからですよね。たぶん。
あとは、音痴に聞こえるのが恥ずかしいからなんでしょうか?

「音程合わせるだけでいいなら、そんなの誰でもできるんだよ」とレッスンで言われたことがあります。
そのとおり、音色、音の質感やつなぎ方、エネルギーの持っていきかたなど、あれこれこだわり始めるから、自分の体や楽器のコントロールで綱渡りが生じるんです。
合板の楽器にスチール弦を張ればほぼ狂いませんし、シールを貼れば平均率でピアノにピッタリ合わせられるでしょう。
でも、ピッチを目的にしている演奏なら、打ち込み音源聞けば良くないですか・・・
そうじゃないんですよね〜。

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