Goodbye, Cherry Days. EP16.信じられない言葉
「私もケイスケが好きです。」 手紙のその一文を読んだ瞬間、内容がまるで理解できなかった。 ありえない――そう思った。 彼女を見ると、うつむいていて表情は見えない。 一方でクラスメイトたちは相...
Keisuke.H
Goodbye, Cherry Days. EP15.いつもの結末へ
渡してきたクラスメイトはニヤニヤと笑い、 「お前、こういうの得意だろ」と茶化すように言った。 ちらりと視線をやると、彼女は顔を真っ赤にしていた。 その瞬間、僕は覚悟を決めた。 「ああ、これはダメ...
Keisuke.H
Goodbye, Cherry Days. EP14.期待と不安の間で
返信が気になって仕方ない。 だけど、怖い。 もし良い返事なら、早く届いてほしい。 でも、もし悪い返事なら、もう届かないでほしい。 心の中でそんな葛藤を繰り返していると、 不意にクラスメイトに肩を...
Keisuke.H
Goodbye, Cherry Days. EP13.ラブレターの行方
「好きです」 震える手でそれだけを書き、友だちに託して彼女に渡した。 遠くから彼女がラブレターを受け取るのを確認し、ほっと息をつく。 授業に戻ったが、黒板の文字は頭に入らない。 それなのに、不安...
Keisuke.H
Goodbye, Cherry Days. EP12.屋上より近い告白
いつの間にか、僕は彼女に惹かれていた。 いつも明るく笑顔の彼女は眩しくて、 話していると時間を忘れるほど楽しかった。 ついに意を決して、彼女を屋上に呼び出し、告白を――。 できたらよかったけれど...
Keisuke.H
Goodbye, Cherry Days. EP11.笑顔とキーホルダー
翌日、彼女は本当にコカ・コーラのキーホルダーを持ってきた。 それも「タダであげるよ」と笑顔で差し出してきた。 僕は状況が飲み込めず、頭上にハテナマークを浮かべた。 彼女は笑いながら説明してくれた...
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Goodbye, Cherry Days. EP10.探し物の行方
キーホルダーが欲しくて、いろんなお店を探し回った。 だけど、学生の身でお金もない僕には限界があった。 それでも、どうしても欲しくて、本屋に行ったり、 自転車でショッピングモールまで遠出したりした。 ...
Keisuke.H
Goodbye, Cherry Days. EP09.コーラと記憶の断片
恋に落ちた経緯を、僕は詳しく覚えていない。 記憶力が悪いのか、それとも時間の中で忘れてしまったのかはわからない。 でも、これまで思い出さなかったということは、 その記憶が「必要ない」とどこかで判断さ...
Keisuke.H
Goodbye, Cherry Days. EP08.片手で回る世界
オックンは彼女とよく話していた。 幼馴染なのだから、それは当然のことだった。 けれど、不思議なことに、ユミチャとオックンが話しているところを見た記憶はない。 彼女とユミチャはどちらもバスケ部で活...
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Goodbye, Cherry Days. EP07.「ハズレ役」からの景色
中学校では、僕と彼女は同じクラスだった。 だから、部活以外にも顔を合わせる機会は少なくなかった。 それでも当時の僕にとって、彼女は「ただのクラスメイト」に過ぎなかった。 僕自身、学年委員長なんて...
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Goodbye, Cherry Days. EP06.遠い日の名前
彼女と初めて会ったのは、小学校の学外イベントだった。 アスレチックコースへのバスツアーに、ヤワチャンとマコトと一緒に参加したときだ。 隣のクラスの彼女も、同じツアーに参加していた。 僕たちの地区...
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Goodbye, Cherry Days. EP05.砕けたもの、残ったもの
僕は慌てて訂正して、正直にウキのことを話した。 すると、彼女は何を思ったのか、その話をそのまま本人に報告してしまった。 結果、僕の脈なしの片思いはあっけなく砕け散った。 まあ、正直言えば、玉砕す...
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Goodbye, Cherry Days. EP04.止まった時間、動き出す
「ケイスケって私のこと、好きなの?」 そんな言葉が彼女の口から飛び出した。 しかも、大きな声で。 その瞬間、周囲にいた部員たちの動きが止まった。 まるで世界の時間が止まったようだった。 僕は一気...
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Goodbye, Cherry Days. EP03.恋のフェイント
中学校のサッカー部で、僕はオックンと仲良くなった。 オックンはバスケ部のユミチャが好きらしい。 バスケ部の練習中、休憩になると体育館のドアが開け放たれていた。 僕たちがダッシュの練習で体育館の近くを...
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Goodbye, Cherry Days. EP02.風はまだ遠くて
僕は小学校3年生の2学期、転校生として新しい学校にやってきた。 ちょうど中途半端な時期だったこともあり、 なかなか学校に馴染むことができなかった。 優しく接してくれる友達もいたけれど、 イジメやケン...
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Goodbye, Cherry Days. EP01.僕たちは直線のように
人間関係というのは、まるで2本の直線のようだと思う。 交わるか、交わらないか。 どれだけ近づいても、交点はたった1つだけで、それ以上にはならない。 どこかで交差したとしても、それぞれの進む方向が変わ...
Keisuke.H
高校1年生と保護者の皆さんへ 物理基礎に注意!最初のつまずきが命取りに 春から高校生になる皆さん、そしてその保護者の方々へ。 「物理基礎」、これが意外な落とし穴になることをご存じですか? 高...
Keisuke.H
いよいよ大学入学共通テストが1月18日(土)と19日(日)の2日間で実施されますね。 新課程で初めての共通テスト、きっと多くの受験生が期待と不安を抱えていることでしょう。 私自身、受験生だった頃...
Keisuke.H
新年あけましておめでとうございます! すでに新年が明けて5日が経過しました。早いものですね。 今年も一緒に楽しい日々を積み重ねていきましょう! 昨年のテーマ「頑張らないを頑張る」は、 みなさんの...
Keisuke.H
最古の記憶を辿ると、いつも独りだった気がする。 孤独の中で、欠けたピースを探していた。 でも、何が足りなかったのかは、結局わからないままだ。 回想してみると、不思議なことに僕は独りではなかった。...
Keisuke.H
I was a bocchi.70 仰げば尊し、サッカーフィールド
オイクボがサッカー部の練習に顔を出したことは、一度もなかった。 職員室の隅で眉間にしわを寄せ、黙々と書類に向き合うばかりだった。 「顧問なのに、なんで見に来ないんだよ?」 僕たちはそんな不満をぶつけ...
Keisuke.H
I was a bocchi.69 先生ごめん、僕は止まれない!
両親、先生、塾講師。 僕の周りの大人たちは全員「敵軍」だった。 口を揃えて「勉強しろ!」と言うだけで、やる気を削ぐ才能に満ちていた。 そんな中、僕は謎の反抗心を燃やし、 部屋に隔離されようが居残りさ...
Keisuke.H
頭がキレる人を学年委員長や生徒会長にしてはいけない。 これが僕の学年の結論だった。 努力家のイシザキは生徒会副会長になり、 学年トップの才女オトキタさんが生徒会長に選ばれた。 僕は学年やクラスで好き...
Keisuke.H
僕は熱しやすく冷めやすい性格で、記憶にも同じ特徴があった。 短期記憶には自信があるが、長期記憶はからっきしだ。 特に日本史ではその傾向が顕著で、 テスト前の休憩時間が僕の「記憶のゴールデンタイム」だ...
Keisuke.H
読書が苦手だった。 同じ本をローテーションするだけで、 夏休みの読書感想文は毎回締切間際に仕上げる。 国語の問題文すら読むのが面倒で、 普段の読書習慣のなさが如実に表れていた。 母は何度も読書を...
Keisuke.H
学習塾では不貞寝が日常だった僕だが、 数学の授業で記憶に残っている「平行線の証明」というテーマがある。 その日は珍しく起きていたし、学校の授業での出来事が関係していたからだ。 学校の授業は塾より...
Keisuke.H
僕は中学生の頃、保健室に行くことが多かった。 保健室登校ではなく、怪我や体調不良でお世話になっていた。 素直になれない時期だったけれど、保健室だけは特別な場所だった。 保健室の先生はいつも「よく...
Keisuke.H
僕のような運動音痴がベンチ入りするほどの人材不足。 そんなサッカー部が強いわけがない。 夏休みも、塾の講習を理由に練習を休んだ僕にとって、 中学生最後の大会への熱意など皆無だった。 だが、大会当...
Keisuke.H
僕は泳げない。 何度かスイミングスクールに通ったものの、 水への恐怖心は克服できなかった。 そもそも浮き方がわからないのだ。 「力を抜けば浮くよ」とコーチは言うが、 その通りにしても沈む。 たった水...
Keisuke.H
授業中、眠気に負けることが多かった僕だが、 実技科目だけはそうはいかなかった。 移動教室があるおかげで、居眠りし続けるわけにはいかなかったのだ。 美術では未完成の作品を残し、 音楽では楽譜が読め...
Keisuke.H