こんにちは、フランス語講師のなつみです。
庭の桜が満開寸前です。
白いシャツを身につけたくなって、ロクシタンのレモンの香りが恋しくなって、
お布団を干したくなって、早朝の散歩にでかけたくなる、
これが私にとっての春の訪れです。
春は、その温かさや植物の芽吹きによって感じられるだけでなく、
私の五感が、冬とは違う何かを求めることによって感じられるものでもあるのです。
さて、みなさまはこの春どこかへお出かけになりますか。
出かけると言う時、物理的な移動を意味するものですが、比喩的な使い方をして、もっと精神的で情緒的なお出かけについて語ることもできるかもしれません。
私事で恐縮ですが、この春はある作品を読み直そうと決意しました。
平凡な大学生だった私が、
後にフランスへの留学と進学を決意することになったのは、この作品との出会いがあったからとも言えます。
そして、何より最も重要なことは、この作品世界に踏み入るのに、
多くの時間と労力を費やしてくれた先生に出会ったことです。
7階建ての研究室、その最上階に先生はいました。
大きな窓のある、こじんまりした教室でした。
先生の論文指導は必ず1対1で、いつも入念な準備を惜しまない人でした。
そんな恵まれた環境の中、
日本という国で現代というこの時間を生きる私が、ずっと昔の異国の物語について考えるのは不思議な感覚でした。
現実は、連続的で必然的だと信じる一方で、本当はもっと偶然に支配されているのではないかと強く感じた衝撃を今でも忘れることができません。
私がこの春いっぱいを使ってこの物語を読むことは、2つの観点から旅をしていると言えます。
1つめに、物語の時代と国と社会階級の世界を疑似体験するということ
2つめに、尊敬する先生と語り合った時間を振り返ること
淡いピンク色が現実を彩っています。この日々はあまりに美しいです。だからこそ、全く違う世界に心を持ち込み、学生時代に感じた不思議な混乱に身を挺してみたいと思いました。
また、自身が教える立場としての機会をいただく今だからこそ、
今日まで私の心を捉える先生の授業を、しっかりと思い出したいと思うのです。
長くなりました。今日もすてきな一日をお過ごしください。
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