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日本語ミニ講座 その4 何が違うの?

DAHON

みなさん、2025年に入り、もう4月。
いかがお過ごしですか。

前回のコラムからだいぶ月日が経ってしまいましたが、
今後はもっとたくさんのコラムを書いて、
レッスンではあまりお伝え出来ない日本の町の風景や
日本語学習に少しでも役に立つ情報をみなさんにご提供いたします。

今回のタイトルは「何が違うの?」です。
日本語に限らずどの言語にも似ている表現はたくさんあります。
みなさんも日本語を話す時、または書く時、
似ている表現が二つあって、どちらを使っていいか、
迷った経験はあると思います。

そこで今回は代表的な似ている表現をいくつか選び解説します。
今回も「設問 → 解説」の順で書いていきます。
まず答えを考えてから読み進めてください。
全部で5問。
では、スタート!

問題1  ~ないで?  ~なくて?

a) パーティーに参加でき(?)、残念です。
b) 今日は台風なので、出かけ(?)、家にいます。

「AないでB」は、何かの理由でAをしない、できない、
その代わりにBをする、という意味です。
「AなくてB」の場合、Bは感情や気持ちを表す言葉が
来ます。そして、その理由をAで説明します。
「~なくて」は「~ないので」に近い意味です。
このことを理解しておけば、
「~ないで」と「~なくて」の区別は
だいたいできると思います。
a)は「~なくて」、b)は「~ないで」です。

問題2  ~ように?  ~ために?

a) 日本語を勉強する(?)、日本に留学しました。
b) 上手に踊れる(?)、ダンス教室に通っています。

「~ように」も「~ために」も目的を表します。
「~ように」の前に来る動詞は、可能動詞、
無意志の自動詞、そして「ない形」です。
「~ために」の前には意志動詞が来ます。
意志動詞は「自分で選べる、決められる」動詞です。
そうじゃない動詞が無意志動詞です。
「日本語を勉強する、しない」は自分で選べるし、
決められるので、意志動詞です。
一方、可能動詞「踊れる」は一生懸命に練習した結果で
自分では決められません。無意志動詞です。
「難しい!」と感じた方もいるかもしれませんが、
とりあえず「意志動詞+ために」
「無意志動詞+ように」で覚えておきましょう。
a)は「~ために」、b)は「~ように」です。

問題3  ~にとって?  ~に対して?

a) 現代人(?)、スマホはなくてはならないものだ。
b) そんなことを言ったら、お年寄り(?)失礼だ。

「~にとって」と「~に対して」の違いに苦労する人も多いです。
簡単に言うと「~にとって」は「話者の評価」、
「~に対して」は「話者の強い感情」を表します。
「~にとって」は主に「Nにとって、AはBです」の形で、
Nは人や組織を表す言葉が来ます。
上の問題文では、現代人という立場から考えると、
スマホ(A)はなくてはならない、大切なもの(B)であると、
現代人は評価している、という内容です。
一方「~に対して」は主に話者が相手に向かって、
強い感情を示す時に使います。
「失礼だ」は強い感情を表すことは明らかです。
ただ、「~に対して」はマイナスの感情だけでなく、
「AさんはBさんに対して、いつも優しい」のように
プラスの感情を示す時にも使えます。
a)は「~にとって」、b)は「~に対して」です。

問題4  ~ぎみ?  ~がち?

a) 最近、かぜ(?)で、体の調子が良くない。
b) 今月に入ってから、くもり(?)の天気が多い。

「がち」と「ぎみ」の区別に悩む人も多いです。
「がち」は「そのようなことが多い」
「そのような傾向がある」。
「ぎみ」は「ちょっとそんな感じがする」
「そのような様子や傾向がある」といった意味ですが、
意味の違いだけで、この二つを区別するのは難しいです。
じゃ、どうしたらいいでしょうか。
私から一つ提案があります。 
それは...覚えてしまいましょう!
「先生、無責任なことを言わないで!」という声が
聞えてきそうですが、これが一番確実だと思います。
なぜなら、「がち」も「ぎみ」も
いっしょに使う言葉はだいたい決まっているからです。
それぞれの代表例を紹介します。

「がち」:病気がち、留守がち、くもりがち、
      ありがち、休みがち など

「ぎみ」:かぜぎみ、疲れぎみ、太りぎみ、
      緊張ぎみ、下がりぎみ など

なお、「遅れがち」「遅れぎみ」のように、
両方使える言葉もあります。
まず、これらの代表例を覚えましょう。
それ以外は例文などで出会ったときに、
「この言葉は、ぎみ/がち を使うんだ」と
とりあえず納得しておけばいいと思います。
a)は「ぎみ」、b)は「がち」です。

問題5  ~はず?  ~べき?

a) いい経験になるから、あなたも海外研修に行く(?)だ。
b) さっき連絡があったから、山田さんはもうすぐ
   ここに来る(?)だ。

「はず」も「べき」もひらがな二文字なので、
混同する人がときどきいます。
この機会に確認しておきましょう。
「はず」は「たぶん~だろう」「私は~と思う」に近いです。
「べき」は「~のが当然だ」「~なければならない」
「~ほうがいい」のような意味があります。
このことを理解して、あとは前後関係をよく考えれば、
この二つの区別はそんなに難しくないと思います。
a)は「べき」、b)は「はず」です。

いかがでしたか。
似ている言葉や文法の区別は難しいです。
もし迷ったら、基本的な使い方や意味を確認して、
それから例文をよく読んでください。
だんだん違いがわかってきますよ。
それでもわからないときは、先生に聞いてみましょう。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回のコラムをお楽しみに!

DAHON(本田直樹)

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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