最近の入試では、単なる知識の量だけではなく、自分で考え、表現する力が問われる傾向がますます強くなっています。特に推薦入試や総合型選抜などで重視される小論文は、「自分の頭で考えたことを、筋道立てて書けるか」を評価される重要な試験科目です。
なかでも「医療」や「科学技術」に関連したテーマは、近年の社会動向や時代背景と結びついていることから、出題頻度が高く、注目度も高い分野です。
一方で…
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内容が難しく感じる
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理系の知識が必要なのでは?
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何を書いていいか分からない
そんな不安を抱える受験生も多いのが事実です。
しかし、心配はいりません。これらのテーマは**「考える力」や「論理的に伝える力」を見るためのものであり、専門的な知識を問うものではない**のです。
今回は、医療や科学技術に関するテーマが出たときに、小論文でしっかり得点を取るためのコツをご紹介していきます。保護者の方にも、お子さんの学習サポートの参考にしていただければと思います。
医療・科学技術のテーマがよく出る理由とは?
まずは、なぜこうした分野が小論文のテーマとして頻出なのか、その理由を押さえておきましょう。
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社会的な関心が高く、身近な課題である
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技術と倫理のバランスについて考える必要がある
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一つの正解がなく、自分の考え方が問われる
例えば次のような問いが挙げられます。
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医療現場にAIを導入することの是非
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高齢化が進む中での医療制度の課題と対策
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科学の進歩と倫理的な制限の関係
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遺伝子治療や脳科学の進展と人間の尊厳
これらの問いに対して、「知っていることを説明する」のではなく、「自分の視点で考えて意見を述べる」ことが求められるのです。
医療・科学技術テーマに取り組む5つの手順
それでは、実際に小論文を書く際のステップを具体的に見ていきましょう。
① 設問の意図を正確につかむ
小論文では、設問の読み違いが命取りになることも。
最初にすべきことは、設問が何を求めているかを明確に把握することです。
たとえば、
「AIによって医療はどのように変化しうるか。あなたの意見を述べなさい。」
という問いなら、
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医療現場におけるAIの活用事例
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それによって生まれる利点や課題
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あなたの立場とその理由
こうした視点を組み合わせて、設問に正面から答える必要があります。
?? ポイント:設問のキーワード(例:変化、あなたの意見)を見逃さず、それに答える形で構成を組み立てることが大切です。
② 自分の立場を最初に明確にする
文章を書き進める前に、自分が「賛成なのか」「反対なのか」「中立なのか」といったスタンスをはっきりさせることが第一歩です。
たとえば、
「私はAI技術の導入に基本的には賛成である」
と主張するなら、その理由や背景を説得力のある形で説明していきます。
逆に、
「慎重な導入が望ましい」と考える場合も、十分に根拠を示せば評価されます。
?? アドバイス:主張がぶれないように、最初に立場を一文で決めてから文章を構成すると書きやすくなります。
③ 理由を具体的に、複数提示する
立場を示したら、その根拠となる理由を2〜3個挙げて補足しましょう。
【例:オンライン診療の活用に賛成する理由】
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地理的に医師が不足している地域でも診療が受けられる
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感染症のリスクを避けながら診察が可能になる
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高齢者や身体の不自由な人にも負担が少ない
それぞれの理由について、具体例を交えて述べると、より信頼性のある主張になります。
?? コツ:1つの理由に対して1パラグラフ程度を使い、具体性と説得力を持たせましょう。
④ 反対意見にも一度目を向けてみる
自分の主張を補強するためには、反対意見を取り上げたうえで、それに対してどう考えるかを述べるのが効果的です。
たとえば、
「AIによる診断は医師の直感や経験を軽視する恐れがある」
という指摘に対し、
「確かにその懸念はあるが、AIは医師の補助的な役割として活用することで、精度の高い医療が実現できる」
と返せば、自分の立場に深みが生まれます。
?? 工夫:反論→理解→それでも自分の立場はこう、と流れをつくると論理の強度が上がります。
⑤ 最後にもう一度、自分の考えをまとめる
小論文の締めでは、主張を再確認し、読み手に印象づける簡潔で力強い結論が求められます。
【例】
このように、AIの医療への導入には可能性と課題が共存するが、適切な活用によりより多くの人々が質の高い医療を受けられると考える。今後は技術と人間の共存を意識しながら制度面も整備されていくことが望ましい。
小論文でよくある悩みとその対処法
小論文を書いていてつまずきやすいポイントと、その改善法も押さえておきましょう。
よくあるミス改善のヒント難しい言葉を多用してしまう 専門用語は簡単な言い換えや補足を添える 主張があいまい 「私は~と考える」と明確に断言する 内容が感想に終始する 「なぜそう思うのか?」を常に問いながら書く 具体性に欠ける ニュースや実例を引用して具体的に書く日常の中で小論文力を鍛える方法
毎日の生活の中でも、次のような工夫で小論文の力を自然に伸ばしていくことが可能です。
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ニュースやドキュメンタリーを視聴し、自分の考えを持つ習慣をつける
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話題になった出来事に対して「自分ならどうするか?」と考える時間をとる
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短い意見文(100〜200字)から始めて、少しずつ文章量を増やしていく
?? 続けることで、「考える力」+「書く力」が育ちます。
ご家庭でできるサポートのヒント
保護者の方にも、ちょっとした関わりが大きな支えになります。
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時事的な話題を家族の話題にしてみる
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子どもの書いた文章を読んで「ここ、こう言い換えるともっと伝わりやすいかも」と助言してみる
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一緒に志望校の出題傾向を確認しておく
こうしたサポートは、お子さんの自信にもつながっていきます。
まとめ:小論文は未来を切り拓く「思考と表現」のトレーニング
医療や科学技術のようなテーマに対して、難しさを感じるのは当然のこと。でも、正しいアプローチと練習を積めば、確実に得点源に変えることができます。
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設問の意図を読み取り
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自分の立場を明確にし
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具体的な根拠とともに主張を展開し
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反対意見にも配慮したうえで
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最後にしっかりと結論を出す
この流れを押さえていけば、どんなテーマにも自信を持って向き合えるはずです。
もし「書き方の添削をしてほしい」「志望校の過去問を一緒に対策したい」などご希望があれば、オンライン家庭教師として丁寧にサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
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