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【小論文】書き方に迷ったときの乗り越え方と伝わる文章の磨き方

AZUKI

 

「小論文って、どう書けばいいのか全然わからない」
「書いてはみたけど、なんとなく自信が持てない」
「添削で“論点がずれている”って言われたけど、どこがいけないのか分からない…」

こうした声は、高校生の間でよく聞かれます。小論文は、普段の勉強とは違った力が求められる分野のため、戸惑いを感じるのも無理はありません。また、保護者の方から見ても、子どもが書いた小論文にどう助言すればいいのか悩むことが多いのではないでしょうか。

この記事では、小論文を書くときに「行き詰まったな」と感じたときの突破口と、伝わる文章に仕上げるための具体的な工夫をご紹介します。高校受験や大学受験を目指す受験生、そしてそのサポートをされるご家族の方にとって役立つ内容になっています。


小論文に苦手意識を持つ理由とは?

多くの生徒が小論文でつまずくのには、いくつか共通した理由があります。

  • テーマの捉え方が曖昧で、どこから手をつけていいか分からない

  • 意見はあるけれど、どう整理して書けばいいか分からない

  • 話の流れが飛び飛びで、結局何が言いたいのか伝わらない

  • 主張があっても、それを裏づける具体性がない

  • 表現が単調で、読み手に響かない文章になってしまう

こうした課題を乗り越えるためには、「型を知る」「論点を明確にする」「表現力をつける」など、段階的に力をつけていくことが大切です。


ステップ1:「型」を身につけて、迷いを減らす

自由に意見を述べるとはいえ、小論文には“読み手を納得させる構成”が必要です。まずは基本の型をしっかりおさえましょう。

▶ 基本の三段構成

  1. 序論(導入)
     テーマに対する問題提起や、自分の立場・主張をはっきりさせる部分

  2. 本論(展開)
     主張を裏づける理由や事例、経験などを使って論を広げていく

  3. 結論(まとめ)
     全体を振り返り、意見を再確認したうえで未来への視点や提案を示す

このような構成を意識すれば、どのようなテーマが出題されても、迷わず文章を組み立てやすくなります。


ステップ2:意見が思い浮かばないときの考え方

「書こうと思っても、自分の意見が出てこない…」という悩みもよく聞きます。そんなときは、発想の角度を変えると道が開けることがあります。

▶「逆の立場」で考えてみる

  • 直感的に「賛成」と思ったテーマに、あえて「反対」の立場から意見を考えてみる

  • 「なぜ人によって意見が分かれるのか?」と、背景を探ってみる

  • 身近な出来事に置き換えて、実感ベースで考えてみる

例えば、「テレワークは働きやすい環境をつくるか?」というテーマでは、一般的な“肯定派”の意見とは逆に、「孤立感」「業務の境界線の曖昧さ」などの側面を深掘りすることも、説得力ある主張につながります。


ステップ3:文章は“誰に届けるか”で変わる

小論文は“自分の考えをただ書く”だけでは不十分です。「誰に読んでもらうか」を意識することで、文章の方向性や言葉選びがぐっと整ってきます。

▶ 読み手を想定することで、文章に“目的”が生まれる

  • 試験官(教員)や採点者

  • 同年代の友人や生徒

  • 一般社会人や年上の読者

どの立場の人が読むかを想像してみると、「どんな前提知識をもとに説明すべきか」「どんな言葉が効果的か」が見えてきます。“読み手目線”を意識することで、伝わる文章に近づきます。


ステップ4:「具体例」を使って内容に厚みを

小論文では、意見そのものの説得力も大切ですが、それを支える具体的な材料があるかどうかが重要です。抽象的な主張だけでは、読み手を納得させにくいからです。

▶ 事例の使い方を工夫しよう

  • 時事ニュースや社会問題から引用する

  • 学校で学んだ歴史的事実や統計データを使う

  • 自分や家族の体験談を入れることで、リアリティを出す

例えば「高齢者の孤立を防ぐには」というテーマであれば、「近所の高齢者が地域の子どもと交流して元気を取り戻した」などのエピソードがあるだけで、文章に説得力が加わります。


ステップ5:「読み直す」ことで文章は完成する

書き上げた文章をすぐ提出するのではなく、一度距離を置いてから読み返すことが、小論文を仕上げるうえで非常に大切です。

▶ 見直しポイントをチェックしよう

  • 主張がぶれていないか

  • 論理の流れに飛躍や矛盾がないか

  • 繰り返しや曖昧な表現が目立たないか

  • 表現が単調すぎず、読んでいて引き込まれるか

さらに可能であれば、他人の目で見てもらうのがおすすめです。客観的な指摘から、自分では気づけなかった改善点が見つかることも多くあります。


表現力を高めて、“読み応えのある小論文”へ

構成や論点がしっかりしてきたら、次のステップは「表現の質」を上げることです。

▶ 1. 語彙の幅を広げる

  • 同じ言葉を繰り返さないよう、言い換えを意識する

  • 主張のトーンに合わせて、強い表現・控えめな表現を使い分ける

  • 論理を補強する接続語(たとえば、つまり、なぜなら、しかし、など)を整理しておく

▶ 2. 模範解答を“書いて覚える”

優秀な小論文の例をただ読むのではなく、実際に書き写してみることで、論理構成や表現の流れを身体で覚えることができます。意識して書くことで、自分の文章力も自然と向上します。

▶ 3. 頻出テーマに対して日頃から意見を持つ

  • AIやテクノロジーの進化

  • 環境問題やエネルギー政策

  • 働き方・学び方の多様化

  • 教育や格差といった社会的課題

こうしたテーマに対して、「自分ならどう考えるか」をメモしておくだけで、本番での文章展開がスムーズになります。


保護者ができる、子どもの小論文力サポート

ご家庭でできる小論文の支援には、特別な知識は必要ありません。大切なのは、「考えるきっかけ」と「自分の意見を伝える場」を日常に取り入れることです。

  • 書いた小論文に対して「なるほど」と感想を伝える

  • 一緒にニュースを見て、「どう思う?」と問いかける

  • 提出日や模試日程を一緒に確認して、学習計画を支える

親子の何気ない会話が、小論文の材料になることも少なくありません。


まとめ:小論文は“構成”と“伝え方”で大きく変わる

  • 小論文は「型」を知ることから始まる

  • 視点を変えることで、意見が深まる

  • 読み手を意識することで、文章に目的が生まれる

  • 具体例を取り入れて、説得力を強化

  • 語彙力と表現力を高めて、文章の質を一段上へ

  • 推敲と他人のフィードバックで完成度を上げる


小論文の力は、一朝一夕ではつきません。ですが、地道に考えて書くことを繰り返せば、着実に上達します。思考を言葉で“形にする力”は、受験だけでなく、将来のあらゆる場面で役立つはずです。

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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