先日、ちょっとおもしろい演奏会に行ってきました。
前半は明治末年から1960年代までに作曲された和楽器のための4作品。
尺八、三味線、お囃子、オークラウロ(尺八の改良楽器)が次々に登場しました。
作曲年代順に演奏されたので、西洋音楽の影響を受けて音楽が変化していく様子がよく分かりましたよ。いろいろ語りたいですが、長くなるので今日は省略しますね。
今日、語りたいのは後半です。
後半は、和楽器の協奏曲が3作品でした。
1曲目は、三味線とオーケストラの組み合わせ。町田嘉章作曲の三味線協奏曲第1番でした。
1927年の作品で、おそらく初めての和楽器コンチェルトだそうです。
これまでレコード音源しかなかったものを採譜して楽譜に起こし、演奏することができるようになったとのこと。約100年の時を経て、当時の演奏がよみがえりました♪
始まりは、少し前のNHK大河ドラマのような堂々たる出だし。
オーケストラの音の変化がおもしろくて、最初の和楽器協奏曲といっても完成度は高いのでは?と思いました。詳しいことは分かりませんが…
作曲者の町田嘉章は、美術も作曲も楽器演奏もできるマルチな方でしたから、オーケストレーションも上手にできたのでしょうね。
2曲目は、箏曲家・作曲家として有名な宮城道雄による越天楽変奏曲。
こちらは1928年作曲で、1曲目とほぼ同じ頃の作品ですが、途切れることなく演奏されてきて、邦楽界ではよく知られている曲です。オーケストラ部分は、宮城道雄が構想し、近衛秀麿・直麿兄弟が作曲しました。
雅楽の《越天楽》の旋律を使った箏の協奏曲ということで、1曲の中に雅楽と箏曲、クラシックの変奏曲の要素も加わったぜいたくな作品です。
3曲目は、作曲家の廣瀬量平によって1967年に作曲された尺八の協奏曲。
1960年代から70年代にかけては「現代邦楽」の全盛期で、和楽器のための新しい作品が次々に作られた時代です。現代音楽の様式に尺八の本来の演奏法がうまく生かされていて、クラシック好きにも尺八好きにも満足できる1曲だと思います。
管弦楽の演奏は、紀尾井ホール室内管弦楽団、指揮は阪哲朗さんでした。
前半もなかなか味わい深かったのですが、やはり後半の協奏曲3曲は圧巻でした。ちょっと和楽器の音量が小さいかなと思いましたが、この辺は回数を重ねると調整されていくのではないでしょうか。
西洋楽器の分厚い響きに包まれて、和楽器の音は溶け込むというよりは、シャープに切り込む感じがあったり、浮かび上がってくるような感じがあったり。あらためて和の響きが心に刻まれました。
オーケストラとの共演は簡単ではないと思いますが、気楽に楽しめるくらい、機会が増えるといいな~♪
2025年5月8日(木)紀尾井ホール(東京 四ッ谷)
「響き合う 和と洋 和楽器と紀尾井ホール室内管弦楽団 近現代ニッポン音楽の歩みを聴く」
回应 (0)