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昔の中国の農村で実施されてた「生産隊」って、まるで昭和時代から今日まで続く日本企業?──中国農村の“組織”とは?

Sae.O

「頑張っても収入が上がらない。でも「点数」は付けられる。えっ、これって…?」

これは、かつて中国の農村に存在した“生産隊”という組織の話。  
でもその仕組みを聞いて、私は思わず「これ、「ノルマ」と変わらないのに給料上げられないから「目標」という名にした評価制度だったり、人事評価シート行っても反映されてるようには感じなくて、結局は「年功序列」。。。そんな昭和時代から続く日本企業と、ほぼ同じなのでは?」と感じたのです。

生産隊の仕組みと“企業っぽさ”
昔の中国の「生産隊とは?  」
1958年〜1984年ごろまで、中国の農村では「人民公社」という制度のもと、農民たちは「生産隊」という単位で働いていました。  
各村には「第一生産隊、第二生産隊…」といったチームがある。
土地や農機具の所有権は国家(または集団)にあり、  農民は“社員”のように割り当てられた作業をこなしていました。

給料は“工分(こうぶん)”で決まる  
給料は現金ではなく、「工分(こうぶん)」という点数制で管理。  
たとえば、健康な男性は1日12点、女性は7〜9点など、「労働の質と量で評価」されました。  
ただ、どれだけ頑張っても「基本給は横並び」。
→ ここがまさに「年功序列+評価制度」の昭和的企業文化に似ている部分です。

生産隊に課される「工分」の実態は?
一見すると「能力や成果に応じた配分(按労分配)」を目指していましたが、
実際の運用は「結果よりも平等」を重んじる側面が強かったんです。
それはなぜ?
1. 「評価の主観性が高かった」
 誰が何をどれだけ「頑張ったか」を正確に数値化するのが難しく、結局は村の幹部や組長の裁量に左右されたことが多かったです。特に政治的に「態度がよい」とされた人が高い工分を得るケースもありました。
2. 「労働力の差を意図的にぼかす設計」
 同じ作業をしても、男性なら10工分、女性や高齢者は8工分、子どもは5工分というふうに「類型化」されており、実力差より「集団内の“協調性”」が優先されることもありました。
3. 「大鍋飯(ダーフォンファン)」の感覚」
 つまり「みんなで一緒に食べる大鍋のご飯」。努力しても報われない空気が生まれ、「出る杭は打たれる」文化や、「形式的な平等主義」が実質的なインセンティブを失わせることにつながりました。

このように、「工分」は理想としては成果主義でしたが、
実際には「集団の平等と安定を優先したため、評価や報酬は均質化されやすく、やる気のない労働環境を生んだ」側面があるんです。

隊長は“サラリーマン”  
生産隊には「隊長、副隊長、会計、記録係」などの役職があり、 
隊長は「社内昇進のように選ばれ、任期制で交代」。
まさに“農村版の中間管理職”といった存在だったようです。


あれ?そう聞くと今の日本企業の仕組みと似てません??

そうなんです!
生産隊は、社会主義体制の中で生まれた農業組織ですが、  
その「組織構造・評価制度・役職のあり方は、どこか日本の企業文化と重なる部分があるように見えます。
「言葉」だけでなく、「組織のあり方」からも文化を学ぶと、中国語を学ぶのがもっと面白くなると思います!
 
“生産隊”という言葉の裏に、こんなに奥深い社会の仕組みがあったなんて。  
語学を学ぶって、やっぱり「社会を知る旅」でもあるんですね~

このお話は前職の商社時代、元・直属の中国人上司から教わったこと。

これから私の授業では、実際に現場で感じたこと、経験者から教わった事をもとに、
皆さんと一緒に「ことば」だけじゃない中国の「リアル」とともに学んでいけたらうれしいです!

これからもぜひよろしくお願いいたします!!

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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