サムネイル

フランス人が夏のビーチで読書するのはなぜ?

Shibashiba

フランス人がビーチで読書できる歴史的理由

日本で海に行くというと、1泊から2泊というケースが多いのではないでしょうか。

フランス人が「今年のバカンスは海へ」と言うときは、2週間から1ヵ月の滞在が普通です。ですから、海のすべてを短い間に満喫しなければならない、ということはありません。
読書する時間もあれば、地元の人たちのように朝と夕だけ海辺へ行くというのも可能です。

フランスでは今や当たり前になった長期休暇ですが、一般人にとって、バカンスの権利は1936年に獲得したもの。それ以前、夏に長い休暇が取れるのは特別な人々だけでした。

当時何が起こったのか簡単にまとめると、

1933年:お隣のドイツでナチスが政権掌握。ドイツは一党独裁体制へ。
1934年:フランスでナチスの真似をした「愛国」団体が、議会を武力により襲撃。死者16名、負傷者2300名以上。
事件の背景には、経済の不振や国民の政府に対する不信感が。
→  ファシズムからフランスの民主主義と国民を守ろうと、さまざまな左派勢力が結集。
1936年:連立を組んだ左派政党は選挙で圧勝。週40時間労働や二週間の有給休暇を実現。

その後政府が変わっても、有給休暇は減るどころか増えていきました。
当然、関連産業も盛んになったようです。

現在は5週間休みを取れる人が多いです。

フランス人がビーチで読書する地理的な理由

そもそもフランスのビーチは、これまで日本ほど暑くありませんでした。
北の海では、風が吹くと真夏でもジャンパーがいるくらいだったのです。
海の水は入るのに勇気がいるくらい冷たかったものです。

フランスと日本を緯度で比べると、ほぼ北海道と同じ。
フランス人は、紫外線の肌への影響も日本人ほど気にしていないようで、今でも長時間日光浴をする人たちがいます。

日本のビーチでお母さんたちがUVカットのパーカーを羽織っているのとは対照的だと言えるでしょう。夫の弟夫婦などは、毎年誰かわからなくなるほど真っ黒に焼いていました。

この習慣は現在では変わりつつあるかもしれません。しかし伝統的には、健康のために日光浴が大切にされてきました。北ヨーロッパでは、ビーチに限らず公園などでも日光浴をする人々の姿が見られました。

ビーチに本をもっていけば、のんびり読書しながらたっぷり日光浴ができたわけですね。

猛暑の今年はどうでしょうか?

 

保存リストに追加済み

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

コメント (0)

ログインして、コメント投稿 ログイン »
Recommend ribbon

出身国:

居住国:

教えるカテゴリ

講師の言語

日本語   ネイティブ
英語   流暢
フランス語   流暢

Shibashiba講師の人気コラム

  • おもしろいフランス語表現 - よく舐められた子熊?!

     Un ourson bien léché. フランス語を直訳すると「よく舐められた子熊」実は、しつけの良い子、お行儀のいい子という意味です。 母熊...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    6583
    2020年6月30日
  • 「一寸の虫にも五分の魂」-私が好きな日本語の言葉

    子どものころから好きな言葉。「一寸の虫にも五分の魂」簡単に踏みつぶせるように見えるかもしれない。でもね、どんな小っちゃな虫にだって魂はあるんだよ!「魂」とは、死後の魂のことではありません。精神力とか...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    6318
    2020年7月15日
  • フランス語のことわざ - Qui ne tente rien n'a rien.

    直訳すると「何も試さない者は何も得ることがない」というフランスのことわざ。15世紀ベルギーの哲学者の言葉「サケを釣るには小魚を手放さなければならない」が元になっているという説も。日本の、というか中国...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    6141
    2020年8月30日
  • ベルギーの詩人、アンリ・ミショー

    好きな詩人と聞かれるとちょっと困ってしまうけれど、今回はアンリ・ミショーを挙げようと思います。   ミショーは19世期の最後の年である1899年に生まれ、1984年に没したベルギーの詩...

    Shibashiba

    Shibashiba

    0
    5886
    2020年7月30日
« 全講師コラム一覧へ戻る
お気軽にご質問ください!