大学入試の小論文では、社会問題をテーマとした出題が多く、その中でも「少子高齢化」は頻出のテーマです。
この問題はニュースや教科書でも目にしますが、小論文で求められるのは単なる知識の羅列ではなく、論理的な構成と自分の意見の根拠づけです。
この記事では、少子高齢化について小論文を書く際の構成、押さえるべき論点、そして説得力を高める書き方のポイントを詳しく解説します。
1. 少子高齢化問題とは何か(現状認識)
まずは定義と現状の整理から入ります。
小論文の冒頭では、「問題を共有するための事実提示」が重要です。
-
定義
少子高齢化=出生率の低下による子どもの数の減少(少子化)と、平均寿命の延びによる高齢者割合の増加(高齢化)が同時進行する現象。 -
現状(データ例)
-
合計特殊出生率:約1.3(人口維持に必要な2.07を大きく下回る)
-
高齢化率:約29%(世界最高水準)
-
生産年齢人口(15〜64歳)の減少傾向
-
-
影響
-
労働力不足
-
社会保障費の増大
-
地方の過疎化
-
ポイント:統計データは年や出典を明記すると説得力が増します(例:「総務省統計局2024年発表」)。
2. 小論文の基本構成(序論・本論・結論)
少子高齢化について書く場合も、基本は3部構成です。
序論(問題提起)
-
現状と課題を提示
例:「我が国では少子高齢化が進み、社会や経済に深刻な影響を与えている。」
本論(原因と対策の提示)
-
原因の分析
-
解決策の提案
-
提案の根拠と具体例
結論(まとめ)
-
提案の再確認
-
将来への展望
3. 原因分析の論点
原因分析では、複数の視点を提示すると評価が高くなります。
例として以下のような切り口があります。
-
経済的要因
-
子育て費用の高さ
-
教育費・住宅費の負担
-
-
社会的要因
-
晩婚化・未婚化
-
都市部での子育て環境の不足
-
-
価値観の変化
-
個人の自由・キャリア優先
-
家族観の多様化
-
-
地域的要因
-
地方から都市への人口流出
-
地方のインフラ・医療不足
-
注意点:原因を一つに絞らず、2〜3項目を簡潔に書くほうが、論理的な説得力が増します。
4. 対策の論点
対策は、現実的かつ多角的に提示する必要があります。
次のように分類すると整理しやすいです。
1. 出生率向上策
-
保育所の拡充・待機児童解消
-
育児休業制度の充実
-
教育費負担の軽減(高校無償化・奨学金制度)
2. 高齢者の社会参加促進
-
定年延長・再雇用制度
-
シニアボランティアの活用
-
健康寿命の延伸施策(予防医療)
3. 地域活性化
-
テレワーク普及による地方移住促進
-
地方での雇用創出
-
医療・交通インフラ整備
4. 移民政策の検討
-
外国人労働者の受け入れ
-
多文化共生社会の構築
5. 書くときの注意点
-
因果関係を明確にする
「〜だから〜が起きる」という形で説明する。
例:「教育費が高いため、子どもを持つことをためらう家庭が増えている。」 -
抽象と具体を行き来する
制度名や具体的な地域事例を挙げると説得力が増す。
例:「北欧諸国では保育費が無料であり、出生率が比較的高く保たれている。」 -
対策の効果予測を書く
ただ「〜すべき」と言うだけでなく、その効果や限界にも触れる。
6. 例:少子高齢化小論文モデル構成
序論
日本では少子高齢化が急速に進んでおり、社会・経済・地域にさまざまな影響を与えている。このままでは労働力不足や社会保障制度の破綻など、国の持続可能性が脅かされる。
本論(原因)
-
教育費・住宅費などの経済的負担が大きい
-
都市部での子育て環境の不十分さ
-
長寿化による高齢者人口の増加
本論(対策)
-
教育費の無償化や保育施設の拡充による子育て支援
-
高齢者の就労促進と健康寿命延伸
-
地方への人口分散を促す都市計画
結論
少子高齢化は一つの要因だけで解決できる問題ではない。政府・企業・地域社会が連携し、多面的な対策を継続していく必要がある。未来世代が安心して暮らせる社会の実現こそ、私たちの責務である。
7. 評価を上げるための加点ポイント
-
最新データを使う(数値は1〜2年以内のもの)
-
他国との比較(国際的視野)
-
具体例の提示(自治体の成功事例など)
-
課題の限界も書く(片側だけの意見にならない)
8. まとめ
-
少子高齢化は大学入試小論文で頻出のテーマ
-
原因分析 → 対策提案 → 効果予測 の流れが基本
-
データと具体例を交えることで説得力アップ
-
一面的ではなく、多角的な視点で書くことが重要
少子高齢化は今後も長期的に続く日本の課題です。
入試小論文でこのテーマが出たら、現状の把握と多面的な対策提示を意識することで、高評価を得やすくなります。
回應 (0)