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【大学入試小論文】AIと人間の共存を小論文で論じるには?

AZUKI

大学入試の小論文では、現代社会の重要なテーマについて自分の意見を論理的に述べることが求められます。近年注目を集めているテーマの一つが「AIと人間の共存」です。人工知能(AI)の進化は、私たちの生活や仕事、教育、医療などさまざまな分野に影響を与えており、入試でも時事問題として出題される可能性が高まっています。

このテーマで小論文を書く場合、単に「AIは便利」「人間にはできない」といった表面的な意見に留まるのではなく、現状の課題と解決策、自分の考えの正当性を論理的に示すことが大切です。この記事では、大学入試小論文で「AIと人間の共存」を論じる際のポイントと具体的な書き方を解説します。


1.テーマ理解と論点整理

(1)テーマの背景を把握する

まず、AIと人間の共存について、現状と課題を整理することが必要です。例えば、以下のような視点があります。

  • AIの進化と普及
    自動運転、医療診断、業務効率化など、AIはすでに私たちの生活に浸透しています。

  • 人間にしかできないこと
    感情や倫理判断、創造性、社会的共感など、AIが容易に代替できない分野があります。

  • 社会的影響
    AIの導入で職業構造や教育方法が変わる可能性があり、格差や倫理問題が懸念されます。

このようにテーマを整理すると、小論文で論じるべき論点が見えてきます。

(2)論点を明確にする

AIと人間の共存を論じる場合、論点は大きく分けると以下の三つが考えられます。

  1. AIの利点と課題
    便利な反面、誤作動や倫理的問題が生じる可能性があること。

  2. 人間の役割
    AIに代替されない能力、教育や創造性の重要性。

  3. 共存の方法
    AIと人間が補完し合いながら社会を構築するための工夫や政策。

論点を整理することで、文章の構成が自然と決まり、説得力のある小論文を書きやすくなります。


2.小論文の基本構成

大学入試小論文では、以下の「序論・本論・結論」の3ステップが基本です。

(1)序論:問題提起

最初の段落でテーマを提示し、問題意識を明確にします。短くても構いません。

例:

近年、人工知能(AI)の発展は急速であり、日常生活や仕事において人間の役割が見直されつつある。しかし、AIの普及は利便性の向上と同時に、新たな課題や倫理的問題も引き起こしている。そこで、人間とAIはどのように共存すべきかが重要な課題となる。

(2)本論:具体的議論

序論で提示した問題意識に対して、具体的な例や理由を挙げながら自分の考えを展開します。論理的に展開するために、「理由+具体例+考察」の形を意識します。

例の構成案:

  1. AIの利点

    • 理由:膨大なデータ処理や単純作業の効率化

    • 具体例:医療診断の支援、物流管理、翻訳業務

    • 考察:人間の負担軽減により、より創造的な活動に時間を割ける

  2. AIの課題

    • 理由:誤作動や偏ったデータに基づく判断のリスク

    • 具体例:自動運転車の事故、AIによる採用の偏り

    • 考察:倫理的判断や最終意思決定は人間が行う必要がある

  3. 人間の役割

    • 理由:創造性・感情・社会的判断はAIには難しい

    • 具体例:教育現場での指導、医療での患者との対話

    • 考察:AIは人間の補助役として活用すべき

  4. 共存の方法

    • 理由:AIを単なる道具として扱うことで、安全かつ効率的な社会運営が可能

    • 具体例:教育カリキュラムでAIリテラシーを取り入れる、AIの倫理基準を整備する

    • 考察:AIと人間が互いの強みを活かす形が理想的

(3)結論:自分の意見を明確に示す

最後に、自分の立場を一文でまとめます。結論は具体的かつ簡潔に書くことがポイントです。

例:

AIは人間の能力を補完する強力な道具であり、倫理的判断や創造性を担うのは人間である。したがって、AIと人間が互いの強みを活かしながら共存する社会の構築が不可欠である。


3.文章を説得力のあるものにするポイント

  1. 具体例を入れる
    抽象的な議論だけでは説得力が弱くなります。実際の事例やデータを挙げることで、読み手に理解されやすくなります。

  2. 論理の流れを意識する
    「問題→理由→具体例→考察→結論」の順で書くと、文章が自然にまとまります。

  3. 接続詞を適切に使う
    「しかし」「一方で」「その結果」「したがって」などを使うと、文章の論理的なつながりが明確になります。

  4. 文字数の管理
    多くの入試では600〜800字程度が目安です。序論・本論・結論の配分を考え、長すぎる文は分割して読みやすくします。


4.家庭でできる練習法

  1. テーマに沿った箇条書き作業
    序論・本論・結論のポイントをまず箇条書きで整理すると、書き出しがスムーズになります。

  2. 具体例集を作る
    AI関連の事例を日常ニュースや記事からメモしておくと、どのテーマにも応用できます。

  3. 書いた文章を声に出して読む
    読みやすさや論理の流れを自分で確認できます。

  4. 第三者からのフィードバック
    家庭教師や保護者に読んでもらい、論理の飛躍や文章の曖昧さを指摘してもらうと改善が早いです。


まとめ

大学入試小論文で「AIと人間の共存」を論じる際のポイントは以下の通りです。

  1. テーマ背景と論点を整理する

  2. 序論・本論・結論の構成を意識する

  3. 具体例を挙げて説得力を高める

  4. 論理の流れと接続詞で文章を整える

  5. 家庭での箇条書き練習やフィードバックを活用する

AIと人間の共存は社会的に注目されるテーマであり、入試でも評価されやすい題材です。論理的な文章構成と具体例を組み合わせることで、説得力のある小論文を書くことが可能です。毎日の練習と、必要に応じた家庭教師のサポートを取り入れると、確実に得点力を伸ばせます。

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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