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【大学入試小論文】地域活性化・地方創生を扱うときの注意点

AZUKI

 

大学入試の小論文では、社会問題や地域課題をテーマにした出題が増えています。特に「地域活性化」「地方創生」といったテーマは、時事性もあり、受験生が書きやすい一方で、論点の整理や具体例の選び方を誤ると減点につながる難しいテーマでもあります。

この記事では、大学入試小論文で地域活性化・地方創生を扱う際の注意点と、具体的な書き方のコツを整理します。受験生だけでなく、サポートする保護者の方にも役立つ内容です。


1. テーマの理解を最優先にする

まず重要なのは、「地域活性化」「地方創生」という言葉の意味を正確に理解することです。

  • 地域活性化:地域の経済や文化、暮らしの質を向上させ、地域に住む人々が活力を感じられる状態にする取り組み

  • 地方創生:人口減少や過疎化が進む地域で、社会・経済・文化の基盤を維持・強化し、持続可能な地域社会を作る施策

ここで押さえたいのは、単なる観光振興や補助金の話だけでは不十分だという点です。大学入試の小論文では、テーマに対する深い理解と論理的思考が問われます。

受験生がやりがちな失敗例:

  • 「地域活性化=観光地を宣伝すればいい」と短絡的に書く

  • 「地方創生=人口を増やせば良い」と単純化する

これでは、論理的な説得力が弱く、具体性に欠ける文章になってしまいます。まずは、地域活性化・地方創生の本質的な意味を押さえ、論点を整理することが大切です。


2. 具体例を使うときの注意点

小論文で説得力を出すためには、具体例を挙げることが有効です。しかし、地域活性化や地方創生は、全国各地でさまざまな取り組みが行われているため、適切な例を選ぶことが重要です。

選ぶときのポイント

  1. 最近の取り組み
    例:デジタル田園都市国家構想、地方創生交付金を活用した事例
    時事性があると、受験官に「現実的な問題意識がある」と評価されます。

  2. 規模や成果が明確なもの
    例:特定の市町村で観光客数が増加した事例や、地域企業の雇用創出の取り組み
    曖昧な例だと説得力に欠けます。

  3. 自分の意見と結びつけやすいもの
    単なる情報列挙ではなく、「だから私はこう考える」という形につなげるのが大切です。

注意点

  • 古い情報やデータだけを挙げると評価が下がる

  • 「東京や大阪の例」を地方活性化の例として使うと不自然になる

  • 具体例が多すぎて文章が散漫にならないようにする


3. 問題点と課題を整理して論じる

地域活性化・地方創生をテーマにする際は、問題点や課題を整理することが文章の軸になります。

典型的な課題例:

  • 人口減少と高齢化の進行

  • 若者の都市流出による地域経済の縮小

  • 地域資源の未活用

  • 財政難による公共サービスの低下

ここで重要なのは、「課題→原因→解決策」という順序で論じることです。

例:

  1. 課題:地方の高齢化が進み、医療や介護の負担が増大している

  2. 原因:若年層の都市流出により地域の担い手が不足

  3. 解決策:ICTを活用した遠隔医療の導入や、Uターン・Iターン支援

この順序を守ると、文章が論理的で読みやすく、説得力がある印象になります。


4. 自分の意見を明確に示す

小論文では、具体例や課題の整理だけでなく、自分の意見を明確に書くことが得点のカギです。

ポイント:

  • 「私はこう考える」と文章の冒頭か結論で明示する

  • 意見の根拠として、課題・原因・具体例を結びつける

  • 曖昧な表現(~かもしれない、~と思う)を避ける

例:「私は、地方創生において地域資源を最大限活用することが最も効果的だと考える。なぜなら、自然資源や伝統文化を活かした取り組みは、地域経済の活性化だけでなく、地域住民の誇りを育むことにもつながるからである。」


5. 書き方の基本構成

地域活性化・地方創生の小論文は、以下の構成を意識すると書きやすくなります。

  1. 導入(課題提示)

    • 地方の現状や問題点を簡潔に説明

    • 例:「少子高齢化が進む地方では、若者の都市流出が深刻な課題となっている」

  2. 課題の分析・原因の提示

    • なぜその問題が起きているのか、複数の要因を整理

    • 例:「都市部への就職機会の多さや、教育・医療サービスの集中が一因である」

  3. 具体例の提示

    • 成功事例や政策の取り組みを紹介

    • 例:「北海道のある町では、地元産品のブランド化によって観光客が増加している」

  4. 自分の意見・解決策

    • 課題に対する自分なりの提案

    • 例:「私は、地域資源のデジタル活用や、若者のUターン支援を組み合わせた施策が有効だと考える」

  5. まとめ・結論

    • 全体を総括し、意見を再確認

    • 読み手に印象を残す一文で締める


6. 書くときの注意点

地域活性化・地方創生の小論文で減点されやすいポイントも押さえておきましょう。

  • 単なる情報列挙
    例:「○○町では観光客が増え、△△町では移住者が増え…」だけでは説得力に欠けます。

  • 課題の原因が不明確
    読み手に「なぜそうなるのか」が伝わらない文章は低評価になります。

  • 自分の意見が薄い・曖昧
    「~かもしれない」という表現は避け、「私はこう考える」と断定することが重要です。

  • 文末表現の統一
    丁寧語と普通体が混在すると文章が不安定に見えます。大学入試小論文では、普通体で統一するのが無難です。


7. 日々の勉強でできる準備

小論文対策は一朝一夕では身につきません。日々の準備として、次の方法が効果的です。

  1. 新聞・ニュースで地域課題をチェック

    • 地方創生や地域活性化の最新事例を知る

    • 政府の地方創生交付金や政策も確認する

  2. 課題→原因→解決策のフレームでメモ

    • 短い文章で書き留めるだけでも、文章構成力が向上する

  3. 過去問の小論文を書いて添削

    • 書いた文章を、自分で課題・意見・具体例が整理されているか確認

    • 保護者や家庭教師に読んでもらい、改善点を指摘してもらう


8. まとめ

大学入試小論文で地域活性化・地方創生をテーマに扱う際には、次の点を意識すると高得点に近づきます。

  • テーマの本質を正しく理解する

  • 問題点・課題を整理し、論理的に分析する

  • 具体例は時事性と成果が明確なものを選ぶ

  • 自分の意見を明確に示し、課題・例と結びつける

  • 文末表現や文章構成を統一し、読みやすく書く

地域活性化や地方創生のテーマは、現代社会の課題を理解する良いきっかけでもあります。
正しい知識と論理的な構成を身につけることで、受験本番でも自信を持って書くことができます。

日々のニュースチェックと課題整理を習慣にし、小論文力を着実に伸ばしていきましょう。

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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