共通テストの現代文で、「本文の内容はわかるのに、なぜか選択肢で間違える」「模試の成績が安定しない」と悩む受験生は少なくありません。
実際、現代文が苦手な人の多くは、「読めているつもり」で止まってしまっています。
つまり、“読解”と“得点”の間にギャップがあるのです。
この記事では、そのギャップを埋めるための「現代文の得点化ステップ」を詳しく解説します。
読解力を点数に変える力をつけることが、共通テスト現代文で安定して8〜9割を取るための鍵になります。
1. 「読めるのに点が取れない」原因はどこにある?
共通テスト現代文は、センター試験時代よりも「論理的思考力」や「情報処理力」を重視しています。
そのため、「感覚的に理解している」だけでは正解にたどり着けません。
典型的な失点パターンは以下の3つです。
-
本文を読めているが、設問の意図を読み違える
→「筆者の主張」ではなく、「登場人物の心情」や「例の内容」を選んでしまう。 -
選択肢を“雰囲気”で判断してしまう
→正しい部分と間違った部分が混ざった選択肢に惑わされる。 -
本文の根拠を明確にせず、なんとなく選ぶ
→「たぶんこの話だったはず」で選び、根拠が曖昧になる。
つまり、読解の「質」と「精度」が足りないのです。
現代文で点を取るには、“読める”ではなく、“論理的に判断できる”状態まで到達する必要があります。
2. ステップ①:「本文を構造で読む」練習をする
まず意識したいのが、「感覚読み」からの脱却です。
多くの受験生は、文章を「ストーリー」として読もうとしますが、現代文は論理構造を読む科目です。
文章の構造をとらえる3ポイント
-
接続語を意識する
→「しかし」「つまり」「たとえば」「したがって」などは、筆者の思考の方向を示します。
接続語を目印に、「ここで主張が転換した」「この部分は理由を述べている」と整理します。 -
主張・根拠・具体例の関係をつかむ
→文章の多くは、
「主張(筆者の意見)」→「根拠(理由・事実)」→「具体例(説明)」の順で構成されています。
具体例ばかり追ってしまうと、筆者の主張が見えなくなります。 -
段落ごとの役割を考える
→各段落を読み終えたら、「この段落は何のためにあるのか?」と自問してみましょう。
要約を一文でまとめる練習をすると、文章全体の構成が見えやすくなります。
この3点を意識して読むだけで、「筆者が何を伝えたいのか」がはっきりと見えてきます。
3. ステップ②:「設問の意図を読む」力を養う
次に重要なのが、設問文を読む力です。
共通テスト現代文では、設問文が“思考の指示書”になっていると考えてください。
設問のキーワードを読む習慣をつける
たとえば、設問の中に次のような言葉が出てきたら要注意です。
このように、設問を読む段階で“どの範囲を根拠にすべきか”を意識できる人は、得点率が安定します。
4. ステップ③:「根拠を明確にして選択肢を検討する」
「本文に書いてあること」と「選択肢の表現」が完全に一致するとは限りません。
したがって、選択肢を判断するときは、必ず「根拠の位置」を特定するようにしましょう。
正しい選択肢判断の流れ
-
選択肢を読む(本文のどこに対応しそうか予測する)
-
本文に戻る(該当箇所を確認する)
-
一致している部分とズレている部分を区別する
-
明確に矛盾するものを消去する
この過程を丁寧に繰り返すと、「なんとなく正しい」選択肢を選ぶリスクが減ります。
特に共通テストでは、「部分的には合っているが、全体としては誤り」という“トラップ選択肢”が多く出ます。
これを防ぐには、「一字一句の表現のズレ」に敏感になることが大切です。
5. ステップ④:「選択肢問題」を“再現練習”する
現代文で得点を安定させるには、問題演習のやり方にも工夫が必要です。
ただ解くだけでは「点が取れた・取れなかった」で終わってしまい、読解精度が上がりません。
おすすめは、**“再現練習”**です。
再現練習の手順
-
問題を解いたあと、本文を見ながら再度選択肢を検討する。
-
なぜその選択肢が正解/不正解なのかを、自分の言葉で説明する。
-
説明できなかった部分をノートにメモし、次回以降の課題にする。
「正解を覚える」のではなく、「判断のプロセス」を復習することが目的です。
この訓練を続けると、選択肢の見抜き方が格段に上達します。
6. ステップ⑤:「論理的読解力」を養うための教材選び
現代文の力を伸ばす教材は、「解説が論理的なもの」を選ぶことがポイントです。
おすすめの学習ルート
-
『現代文読解力の開発講座』(Z会)
→本文構造を「論理の型」でとらえる練習に最適。 -
『現代文ポラリス』(KADOKAWA)
→レベル別に段階的な問題練習ができる。設問分析にも強い。 -
共通テスト過去問・予想問題集(河合塾/駿台など)
→本番形式で「時間配分」「選択肢の比較」練習を行う。
これらを「精読 → 設問分析 → 復習」の順で繰り返すと、
「読める」から「選べる」へと力が進化していきます。
7. ステップ⑥:「制限時間」を意識した実戦トレーニング
共通テスト現代文では、1問あたりの解答時間が非常に短く設定されています。
内容を理解していても、時間が足りなければ点は取れません。
時間を意識した練習法
-
1題30分 → 25分 → 20分と段階的に短縮していく
-
本文を読んだあと、すぐに「設問の根拠をどこで取るか」を意識する
-
選択肢で迷ったら、2択まで絞ってから本文を再確認する
時間配分を身につけることは、論理的思考をスピード化する訓練にもなります。
8. ステップ⑦:「復習ノート」で読解パターンを蓄積する
現代文は、「同じような構造・出題パターン」が繰り返し登場します。
復習ノートを作って、「読み方の再現性」を高めると得点が安定します。
ノートにまとめる内容
-
設問タイプ(主張/内容一致/理由など)
-
正答を導いた根拠の位置と接続語
-
間違えた原因(設問の読み違い/根拠の確認不足など)
このノートを見返すことで、自分がどのタイプの問題に弱いかを可視化できます。
「次は同じミスをしない」という意識が、確実な得点アップにつながります。
9. 最後に:現代文は「センス」ではなく「技術」
共通テスト現代文で安定して高得点を取る人は、特別な読解力を持っているわけではありません。
彼らは、論理のつながりを見抜き、設問の意図を正確にとらえ、根拠に基づいて選択肢を判断しているだけです。
つまり、現代文は「センス」ではなく「技術」。
論理的に読めば、誰でも点が取れる科目です。
まとめ:得点に直結する7ステップ
-
本文を「構造」で読む
-
設問文の意図を読む
-
根拠を明確にして選択肢を検討
-
再現練習で判断プロセスを復習
-
論理的教材で体系的に学ぶ
-
時間配分を意識した実戦練習
-
復習ノートで弱点を可視化
この7ステップを地道に積み上げれば、「読めるのに点が取れない」状態から確実に脱却できます。
現代文は才能よりも方法。正しい順序で学べば、必ず点数に反映される科目です。
コメント (0)