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ガレット・デ・ロワはなぜ「王様たちのガレット」なのか?

Shibashiba

前のコラムでガレット・デ・ロワは「東方の三博士」を記念して食べるものだと書きました。
では、なぜ roi=王の複数形なのか?
私はこれが長い間疑問でした。
周囲のフランス人に聞いてもよくわからず。
いろいろ調べてみると、次のふたつの理由が考えられます。

1 「東方の三博士」は博士ではない?! 

まず「博士」と言っても今で言う「学者」とは違うということ。フランス語の聖書でこの「博士」を指す単語 mages は、magicと関係のある語です。が、現在は聖書以外でほとんど使われていません。彼らは、占星術を収めた人たちだったようです。

「東方の三博士」が登場するのは新約聖書のマタイによる福音書。そこには magesとだけあり、王という単語はありません。にもかかわらず、フランスでは一般的に rois mages と呼ばれています。それは、彼らが王族であったことが、イエスの生誕を予告した旧約聖書の記述から推測されるからだそうです。例えば詩編の中に、王たちが捧げものを持ってくるとあります。

2 最初はキリスト教のお祭りではなかった?!

実は、キリスト教以前から、ローマにはこの時期にガレットを分かち合うお祭りがありました。
古代ローマの歴史家・政治家であったタキトゥスの『アンナレス(年代記)』にもフェーヴを入れたお菓子が出てくるそうです。

農耕の神サートゥルヌスのお祭りの間、奴隷たちも自由が許されたとのこと。彼らはガレットを切り分け、フェーヴが当たった人はその日一日の王様になれたのでした。

ガレット・デ・ロワには、何層もの歴史が重なっているのかもしれませんね。

(写真はローマのコロッセオ)

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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