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【大学入試漢文】入試で差がつく語彙リスト:句法を超えた「語彙力」で合格を確実にする

AZUKI

「漢文は句法さえ覚えれば満点が取れる」

そんなアドバイスを鵜呑みにして、重要句法を完璧にしたのに、難関大の過去問演習で得点が伸び悩んでいる受験生は少なくありません。

実は、共通テストレベルと難関私立・国立大二次試験の決定的な差は、**「語彙の深さと広さ」**にあります。句法は「文の構造」を作る骨組みですが、その骨組みに肉付けをし、文脈を正確に読み解く力を与えるのは、一字一字の漢字が持つ、現代語とは異なる「漢文特有の意味」です。

難関大の入試では、現代語の知識だけでは正反対に解釈してしまうような「ひっかけ語彙」や、特定のジャンルでしか使われない「重要概念語」が合否を分けるポイントとして設定されています。

この記事では、難関大志望者が必ず押さえておくべき、差がつく漢文語彙をカテゴリー別に徹底解説します。


1. 現代語と「ズレ」がある要注意語彙

私たちが日常的に使っている漢字でも、漢文の世界では全く異なる意味を持つものがあります。ここを間違えると、物語の筋書きを完全に見失います。

① 「難(かた)し・なじる」

  • 現代語: むずかしい。

  • 漢文: 「なじる(責める、非難する)」という意味で頻出します。

  • 読解のポイント: 登場人物が誰かを「難」じている場合、それは論争や批判の文脈です。単に「困難だ」と訳すと、人間関係が読めなくなります。

② 「少(わか)し・まれなり」

  • 現代語: すくない。

  • 漢文: 「わかし(若い)」という意味があります。

  • 読解のポイント: 「少時(わかきとき)」とあれば「若い頃」です。「少ない時間」と誤読しないよう注意が必要です。

③ 「信(まこと)に・しんず」

  • 現代語: 信じる。

  • 漢文: 副詞として「まことに(本当に)」という意味で使われることが多いです。

  • 読解のポイント: 文頭にある「信」は、筆者の強い確信や感嘆を表します。


2. 儒教的価値観を理解するための「概念語彙」

難関大の漢文、特に思想系の文章(諸子百家など)では、当時の知識人の「OS」である儒教のキーワードを深く理解していることが前提となります。

④ 「君子(くんし)」vs「小人(しょうじん)」

  • 君子: 徳が高く、私利私欲を捨てて社会のために尽くす理想の人間。

  • 小人: 徳がなく、目先の利益や自分の感情に振り回されるつまらない人間。

  • 読解のポイント: 漢文は常に「対比」で書かれます。筆者が誰を「君子」とし、誰を「小人」としているかを見抜くことが、主題把握の最短ルートです。

⑤ 「王道(おうどう)」vs「覇道(はどう)」

  • 王道: 徳(仁義)によって民衆を心から服従させる政治。

  • 覇道: 武力や権力によって無理やり民衆を従わせる政治。

  • 読解のポイント: 孟子などの思想家は「覇道」を厳しく批判します。この対立軸を知っていれば、設問の選択肢は一瞬で絞り込めます。


3. 文脈を切り替える「接続・副詞語彙」

文章の流れを支配する語彙です。これを知っていると、初見の文章でも「次に何が書かれるか」を予測しながら読むことができます。

⑥ 「蓋(けだし)」

  • 意味: 思うに、たぶん。

  • 読解のポイント: 筆者が自分の意見を控えめに、しかし確信を持って述べるときに使われます。「蓋(ふた)」をイメージし、事象全体を覆うような「総括」が始まると捉えましょう。

⑦ 「因(よりて)」

  • 意味: そこで、そのために。

  • 読解のポイント: 前の文を受けて、自然な流れで次の動作が起きることを示します。因果関係の「矢印」を作る言葉です。

⑧ 「抑(そもそも)」

  • 意味: さて、それとも。

  • 読解のポイント: 話題を転換したり、別の選択肢を提示したりする際に使われます。議論が深まるサインです。


4. 難関大特有の「一字多義語」攻略リスト

一つの漢字に複数の読みと意味があるものは、記述試験や書き下し問題の格好の標的です。

漢字 読み1:意味 読み2:意味 すぎる:通り過ぎる、度が過ぎる よぎる:立ち寄る あやまつ:間違える あやまち:失敗、過失 つかはす:送る、派遣する やる:憂いを晴らす(消遣) みる:見る、会う まみゆ:目上の人に会う あらはる:現れる る・らる:〜される(受身)
5. 保護者の方へ:漢文語彙は「知識のレバレッジ」が効く分野です

お子様が英語や社会の膨大な暗記量に圧倒されている中で、「さらに漢文の単語まで?」と思われるかもしれません。

しかし、保護者の方にぜひ知っていただきたいのは、漢文の重要語彙はわずか100語程度だということです。英単語の2000〜3000語に比べれば、その努力対効果(コスパ)は圧倒的です。

また、漢文の語彙を学ぶことは、日本語の熟語の成り立ちを知ることでもあります。「忖度」「矛盾」「蛇足」といった日常語の背景にある漢文的思考を知ることは、現代文の語彙力向上にも直結します。

お子様が漢文を「暗記科目」として嫌いにならないよう、「この漢字、実はこんな意味があるんだって」と、知的なクイズのように接してあげることが、学習のハードルを下げる秘訣です。


6. まとめ:語彙リストを「武器」に変えるトレーニング

難関大の漢文で差をつけるためには、以下の3ステップを意識してください。

  1. 現代語との「意味のズレ」をリスト化し、優先的に覚える。

  2. 儒教的な「対立概念(君子・小人など)」を文脈の補助線にする。

  3. 多義語は「書き下し」とセットで覚え、記述問題に対応する。

句法という「形」に、語彙という「魂」を吹き込むことで、あなたの漢文読解は「推測」から「確信」へと変わります。残り少ない時間の中で、最も効率よく得点を上乗せできるこの語彙学習を、ぜひ今日のルーチンに加えてみてください。

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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