みなさん。
日本語に限ったことではありませんが、どの言語にも意味や形が似ている文法や表現はたくさんあります。その言語を外国語として学ぶ人にとって、「これとこれは何が違うのか」「どうやって使い分ければいいのか」は大きな問題です。しかも、辞書や参考書にはその違いがはっきり書かれていないこともあります。
そこで今回は、以前当コラムで扱った「何が違うの?」の第二弾をお送りします。日本語を勉強するみなさんが「よく迷うペア」を五つ選んで、その違いを解説します。
いつものように「問題 → 解説」の順に進めていきます。
ぜひ問題を考えてから、解説を読んでください。
それでは、スタート!
問1 ~と思います? ~と思っています? どちらもOK?
私は、オンラインレッスンを受けるならカフェトークがいい(a)。
私の友人もそう(b)。
今回の会社の決定についてどう思いますか。→ 私はあまり良くない(c)。
高校を卒業したら、日本に留学しよう(d)。
以前からずっと頭の中にあった意見や考えか、それとも今思いついて言ったことか、そのような点から考えると、aとdはどちらも入りそうですね。
でも、cはどうでしょうか。相手に意見を求められて、話者はそのとき考えて、そして答えています。
つまり「今思いついて言ったこと」です。このようなときは普通「~と思います」を使います。
一方、以前から長い間考えていたことは「~と思っています」を使います。
cは「~と思います」ですが、aとdはどちらも入ります。使うときの気持ちで選んでください。
では、bはどちらでしょうか。少し難しいですが、ヒントは主語です。bの主語は話者、つまり一人称ですか、それとも他の人、つまり三人称ですか。もちろん後者、自分以外の人、三人称ですね。
このような場合は「~と思っています」を使います。
「~と思います」は一人称、「~と思っています」は一人称にも三人称にも使える、と覚えておきましょう。
問2 ~てください? ~ようにしてください? どちらもOK?
a ちょっとすみません。私の話を(聞いてください/聞くようにしてください)。
b 授業中、他の生徒が話している時は、ちゃんと(聞いてください/聞くようにしてください)。
c あ、それは私のジュースです。(飲まないでください/飲まないようにしてください)。
d 冷蔵庫にあるジュースはお客様用です。(飲まないでください/飲まないようにしてください)。
文に書かれている状況や場面を思い浮かべてみましょう。
aは、話者がそこにいる人に自分の話を聞いてほしいと呼びかけています。
cは、話者のジュースを間違えて飲もうとした人に話者は注意している場面と考えられます。
このように、その場で相手にお願いしたり、注意したりするとき、主に「~てください/ないでください」を使います。一方、学校や会社で「今後もずっとそうしてください」と規則を説明したり、相手はまだ間違えていませんが、間違えないように、前もって注意するとき「~ようにしてください/ないようにしてください」を使います。
bは、授業中、おしゃべりをしている生徒に先生が注意している場面、または新学期が始まった時、先生が生徒たちに学校の規則を説明している場面、両方考えられます。
dも、間違えてお客様用のジュースを飲もうとした社員に先輩社員が注意している場面、または他の社員が間違えて飲まないように、先輩社員が前もって注意している場面、両方考えられます。
aは「聞いてください」、cは「飲まないでください」ですが、bとdはどちらも入ります。使うときの状況に応じて、選んでください。
問3 ~だらけ? ~まみれ?
a 猫を三匹飼っているので、布団の上はいつも毛(?)だ。
b 真夏の炎天下で作業員たちは汗(?)になって働いていた。
ある場所に良くない物、不快な物がたくさんある、または付いている、と言いたいときは「だらけ」を、液体や粉状のものが体全体、または物の表面全体に付いていると言いたい場合は「まみれ」を使います。aは「だらけ」、bは「まみれ」です。
「だらけ」は「ゴミだらけ」「間違いだらけ」「傷だらけ」「泥だらけ」などの例が、「まみれ」は「血まみれ」「油まみれ」「ほこりまみれ」などの例があります。
ただし、「泥、血、ほこり」は条件が合えば「だらけ」と「まみれ」の両方使えます。つまり「だらけ」は「ある場所に」、「まみれ」は体全体、物の表面全体、という条件があります。
aは「布団の上」という場所なので「だらけ」、bは、一日中暑いところで働いていたら、誰でも「全身汗まみれ」になりますね。
この違いは少し難しいので、他の例も紹介しておきます。
例1) あの人の手は血だらけだ。
例2) 体中血まみれの患者が病院に運ばれてきた。
例3) ほこりだらけの倉庫に一日中いたので、全身ほこりまみれになってしまった。
例4) 息子は公園の砂場で遊んでいたので、足は泥だらけ、靴も泥まみれだ。
なお、「だらけ」は「良くない物」「不快な物」に使いますが、良くないかどうか、不快かどうかは主観的で、本人の気持ちや考えによって変わりますから、次のような例もあります。
例5)先生の部屋は本だらけですね。
私は本が大好き、「本の虫」なので、こんなことは言われたくないのですが...(笑)
問4 ~なんか? ~なんて?
a 仕事が忙しくて、映画(?)見ている時間はありません。
b 2週間も海外旅行に行ける(?)、うらやましいです。
この二つは意味よりもまず基本的なルールを覚えておきましょう。
名詞を受けるときは「~なんか」「~なんて」、両方使えます。また、「~など」を使ってもいいです。
しかし、文を受けるときは「~なんて」しか使えません。
aは「~なんか」と「~なんて」の両方、bは「~なんて」が入ります。
ところで、「~なんか/なんて/など」は、対象となる名詞を否定的な気持ちで表す副助詞です。
例)母親:野菜をもっと食べなさい。特にピーマンは栄養満点よ。
子供:ママ、僕、ピーマンなんか食べたくないよ!
一方、「~なんて」は後ろに「うらやましい」の他に「恥ずかしい、信じられない」のような表現が来て、その内容を説明する働きがあります。
例)こんな簡単な問題ができないなんて、本当に恥ずかしいです。
Aさんがこの仕事を全部一人でやったなんて、とても信じられません。
あなたなんか嫌い!なんて、絶対に言われたくないですね(笑)
問5 ~ようです? ~そうです?
a あの家は今電気が消えていますから、だれもいない(?)。
b 部長に聞いたんですが、来月から給料が少し上がる(?)。→ 本当ですか。うれしいですね!
においを感じたり、音を聞いたり、また何かを見たりして、「たぶんそうだろう」と思ったとき、代表的な推量表現の「~ようです」を使います。一方、ニュースや他の人から聞いた情報を別な人に伝えるとき、伝聞表現「~そうです」を使います。
aは「~ようです」、bは「~そうです」です。
しかし、これは「~ようです」と「~そうです」の代表的な用法で、この二つには他にも大切な用法があります。
例えば、何かとよく似ているとき、「まるで~ようです」を使います。
例)あの雲を見てください。まるでアイスクリームのようですよ。
一方、「~そうです」の他の大切な用法は「直前の状態」です。
例)トラックの荷台から荷物が落ちそうですから、運転手に知らせましょう。
「~ようです」も「~そうです」も会話でも文でも本当によく使われる文法です。
時間がある時、ぜひ復習しておきましょう。
いかがでしたか。
説明を読んで「なるほど!」と納得できたら、ぜひ他のいろいろな例文に接して、それぞれの文法のルールや使い方をよく確認して、例文を音読してください。さらに自分でもこれらの文法を使って文を作ってみましょう。
このコラムがみなさんの日本語学習に少しでもお役立てたら、うれしいです。
今回も最後まで読んでくださいましてありがとうございます。
次回のコラムもお楽しみに!
DAHON(本田直樹)
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