第12回:訂正ノートは全部直さなくていい|点につながる問題の選び方
テストが返ってきたあと,訂正ノートを作ることになりました。
親としては,ついこう思います。
「間違えた問題は,全部きちんと直した方がいいよね。」
もちろん,その気持ちはよく分かります。
せっかくテストが返ってきたのだから,
全部見直して,
全部できるようにしたい。
理想としては,その通りです。
でも,現実には,ここで家庭学習名物,「訂正ノート終わらない問題」が始まることがあります。
机の上には,返ってきたテスト。隣には,まっさらな訂正ノート。手には,赤ペン。
最初の数問は,まだ元気です。
ところが,間違えた問題が多いと,だんだん手が止まってきます。
問題を書き写すだけで時間がかかる。解説を読んでもよく分からない。全部やろうとすると,終わりが見えない。
そして子どもの顔には,静かにこう書いてあります。
「これ,いつ終わるの?」
親の心の中にも,別の言葉が浮かびます。
「いや,こっちが聞きたい。」
ここまでなら,よくある家庭学習の風景かもしれません。
もちろん,訂正ノートを丁寧に作ることは大切です。ただ,間違えた問題を全部,同じ重さで直そうとすると,
かえって効果が出にくくなることがあります。
大切なのは,全部直すことではありません。
「次の点数につながる問題から直すこと」です。
■ まずは間違いを3つに分ける
テスト直しをする時は,間違えた問題をまず3つに分けてみてください。
A:次は取れそうな問題
B:説明を聞けば分かりそうな問題
C:今はまだ難しい問題
この3つです。
全部を同じように直すのではなく,まず分類します。
ここで大切なのは,Cを捨てるという意味ではありません。Cは,今すぐ一人で訂正ノートにきれいに書いても,
効果が出にくい問題なのです。たとえば,
解説を読んでも全く分からない問題,
前の単元から理解が抜けている問題,
問題文の意味自体がつかめていない問題などです。
前回,訂正ノートは「自分専用の問題集」になるとお話ししました。
ただし,そこに今の自分に合わない難問ばかりを入れても,
使いやすい問題集にはなりません。
まず入れたいのは,AとBです。
つまり,次に取れそうな問題。説明を聞けば分かりそうな問題。
このあたりは,次の点数につながりやすい「伸びしろ」です。
訂正ノートに最初に入れるべきなのは,こういう問題です。
■ 平均点以下のお子さんの場合
平均点に届いていないお子さんの場合,
訂正ノートで一番大切なのは「全部直そうとしないこと」です。
少し意外に聞こえるかもしれません。でも,これはとても大事です。
平均点以下の場合,間違いの中には,
今の段階ではまだ重すぎる問題,
つまりCも多く含まれています。
解説を写しても分からない。なぜその公式を使うのか分からない。そもそも前の単元があいまい。
こういう問題を全部訂正ノートに入れようとすると,
時間ばかりかかってしまいます。
そして,最後には,
「訂正ノート,嫌い。」
となってしまいます。
これは一番避けたいところです。
まず選ぶべきなのは,基本問題です。計算の基本,
用語の意味,
公式をそのまま使う問題,
教科書やワークの例題に近い問題です。
目安は,「解説を読めば,なんとか分かりそう。」「先生に一度説明してもらえば,次は取れそう。」と思える問題です。
平均点以下のお子さんにとって,最初の目標は難問を直すことではありません。
「取れるはずの問題を,次は落とさないこと」です。
ここが変わるだけで,点数は確実に動き始めます。
■ 平均点前後のお子さんの場合
平均点前後のお子さんは,訂正ノートの効果がかなり出やすいです。
なぜなら,間違えた問題の中に,「あと少しで取れた問題」が多く含まれているからです。
途中までは合っていた。考え方は分かっていた。公式も覚えていた。
でも,最後で符号を落とした,
条件を一つ読み飛ばした,
単位をそろえ忘れた。
こういう問題は,まさに次のテストの得点源になります。
ただし,ここで一つ考えてみてほしいことがあります。
「テスト後に訂正ノートを作るのに2時間かけるのと,
テスト前に今までより2時間多く勉強するのと,
どちらが点数につながりやすかったでしょうか。」
本音を言えば,
テスト前にその2時間を使えていた方がよかったはずです。
だからこそ,訂正ノートは
終わったテストの反省で終わらせてはいけません。
「次のテスト前に見直すために作る」のです。
平均点前後のお子さんは,AとBを中心にノートに入れてください。
Cは,無理に写して終わるより,
先生に質問する,レッスンで扱う,基本に戻る,
という形にした方がはるかに効果的です。
■ 伸びる家庭では,問題を選んでいる
伸びる家庭では,間違えた問題を全部同じようには扱いません。
「これは次に取れそう。」「これは先生に聞いた方がよさそう。」と,賢く仕分けをしています。
親が全部を判断する必要はありません。
子どもと一緒に,
「これはAかな,Bかな。」「これは今はCにして,あとで先生に聞こうか。」
と話しながら分けるだけでも十分です。
この作業をすると,子どもは自分のテストを冷静に見られるようになります。
全部が「バツ」に見えていたテストの中にも,「次は取れそうな宝物」が隠れていることに気づくからです。
点数が低かったテストでも,伸ばせる場所は必ずあります。
そこを一緒に見つけることが,家庭でできる大きなサポートです。
■ 今日からやるなら,まず3問だけ
訂正ノートを作る時は,最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。
今日からやるなら,まず3問だけ選んでください。
1問目:次は取れそうな問題,A2問目:説明を聞けば分かりそうな問題,B3問目:同じミスをくり返している問題
3問目は,AでもBでもかまいません。大切なのは,「また同じことで落としそうな問題」を選ぶことです。
この3問をノートに入れ,
前回お伝えした「どこで,なぜ間違えたか」「次にどうするか」を
吹き出しで書きます。
これだけで,
ただ全部を写すだけのノートとは効果がまったく違ってきます。
訂正ノートは,量や根性で勝負するものではありません。
次の点数につながる問題を,きちんと選んで残すものです。
全部直せなかったから失敗,ではありません。
次に使える問題を選べたなら,それは十分に価値のある大成功のノートです。
■ 25分体験で,どの問題を選ぶかを一緒に見ることもできます
実際には,「どれが次に取れそうな問題なのか」「どれを先生に聞いた方がよいのか」を判断するのは,意外と難しいものです。
親から見ると全部大事に見え,
子どもから見ると全部面倒に見えることもあります。
ここで,第三者の目が役に立ちます。
25分の体験レッスンでは,
お子さんのテストやノートを一緒に見ながら,
どの問題を訂正ノートに入れると点につながりやすいかを
整理することもできます。
全部を変える必要はありません。
まずは,「次の点数につながる3問」を見つけることから始めます。
「訂正ノートを作っているのに伸びない」「テスト直しに時間がかかるわりに点につながらない」「親として,どの問題を見ればよいのか分からない」
そう感じている方は,
一度,お子さんのテストを一緒に見直してみませんか。
訂正ノートは,全部直すためのノートではありません。
次の点数につながる問題を選び,
同じ落とし穴に落ちないための作戦を残すノートです。
家庭学習でよく起こるつまずきについて,
こちらもあわせてご覧ください。
■ 訂正ノートの基本について第11回:その「訂正ノート」,効果ありますか|“写して終わり”にしない復習法
■ 平均点以上のお子さんが,訂正ノートを応用力につなげる方法について第13回:できる子の訂正ノートはここが違う|別解と自作問題で応用力を伸ばす※次回公開予定
※たまに,公開前のコラムが見えてしまうことがあります。
その時は,少し早めに届いた“先行公開”だと思って,
そっと読んでいただければ幸いです。
そうした読まれ方も,コラムづくりの参考にしています。
Comments (0)