中学校で初めて学ぶ「正負の数」。
正負の数を,時間の前後や気温の上がり下がりで
説明する方法もあります。
たとえば,
3時間後を +3,
2時間前を −2
と表す考え方です。
もちろん,正の数と負の数を初めてイメージする時には,
分かりやすい説明です。
ただし,その説明だけでは,かけ算やわり算を学ぶときに,
考え方をそのまま使い続けることが難しくなります。
私は,説明の継続性を大切にしています。
新しい単元を学ぶたびに,
まったく別の考え方に切り替えるのではなく,
これまで学んだことを土台にして,
次の内容へ自然につながる説明をしたいと考えています。
そのため,私は正負の数を矢印で説明します。
矢印なら,たし算やひき算だけでなく,
この後に学ぶかけ算やわり算,
さらには,座標,ベクトルなどにも,
同じ考え方をつなげていくことができます。
なお,記事の最後に,実際のレッスンの
スクリーンショットを掲載しています。
■ +3 と −3 を矢印で表す
まず,+3 を考えます。
+3 は,0より3大きい数です。
そこで,0を矢印の始まりにして,
+3 のところに矢の先端が来るようにかきます。
つまり,+3 は,0から右に3進む矢印です。
次に,−3 を考えます。
−3 は,0より3小さい数です。
そこで,0を矢印の始まりにして,
−3 のところに矢の先端が来るようにかきます。
つまり,−3 は,0から左に3進む矢印です。
ここで大切なのは,
「プラスだから右」
「マイナスだから左」と
丸暗記することではありません。
+3 は,0より3大きいから,0から +3 へ向かう矢印。
−3 は,0より3小さいから,0から −3 へ向かう矢印。
こう考えると,正負の数の向きが自然に見えてきます。
■ たし算は,矢印をつぎたすこと
中学校で新しく習うことが,
小学校で習ったことを否定したり,
矛盾したりするようではいけません。
中学校で学ぶ内容も,小学校で学んだことを土台にして,
そこから考え方を広げていく必要があります。
そこで,まずは小学校で習った
たし算を数直線で表すとどうなるかを,
子どもに考えてもらいます。
たとえば,
3+2=5
を数直線で表すと,どうなるでしょうか。
子どもと一緒に考えていくと,
0から右に3進み,その先から,さらに右に2進む
と表せることが分かります。
つまり,3+2 は,
右向き3の矢印の先端(あたま)に,
右向き2の矢印の始まり(おしり)をつぎたすことです。
正負の数のたし算も,これと同じです。
大事なのは,たし算を
今ある矢印の先端(あたま)に,
次の矢印の始まり(おしり)をつぎたすこと
と見ることです。
■ (+3)+(+2) 【正の数 たす 正の数】
まず,右向き3の矢印を原点に置きます。
その矢印のあたまに,
右向き2の矢印のおしりをつぎたします。
右へ3進み,さらに右へ2進むので,
最後の矢印の先端は +5 に着きます。
つまり,
(+3)+(+2)=+(3+2)=+5
です。
右向きの矢印に,さらに右向きの矢印をつぎたすと,
矢印はさらに右へ伸びていきます。
■ (−3)+(−2) 【負の数 たす 負の数】
まず,左向き3の矢印を原点に置きます。
その矢印のあたまに,
左向き2の矢印のおしりをつぎたします。
左へ3進んで,さらに左へ2進むので,
最後の矢印の先端は −5 に着きます。
つまり,
(−3)+(−2)=−(3+2)=−5
です。
左向きの矢印に,さらに左向きの矢印をつぎたすと,
矢印は左へ伸びていきます。
■ 同じ符号どうしのたし算
ここまでを見ると,
同じ符号どうしのたし算では,矢印の向きがそろっています。
右向きと右向きなら,さらに右へ進みます。
左向きと左向きなら,さらに左へ進みます。
つまり,向きはそのままで,
矢印の長さがたされます。
だから,
同符号の和は,
同じ符号をつけて,
絶対値の和を求める
という規則になります。
たとえば,
(+3)+(+2)=+(3+2)=+5
(−3)+(−2)=−(3+2)=−5
です。
最初に規則を覚えさせるのではなく,
矢印を見ながら考えると,
なぜこの規則になるのかが分かります。
■ (+3)+(−2) 【正の数 たす 負の数】
次に,符号が違う場合を考えます。
まず,右向き3の矢印を原点に置きます。
その矢印のあたまに,
左向き2の矢印のおしりをつぎたします。
右へ3進んだあと,左へ2戻るので,
右向きが1だけ残ります。
だから,最後の矢は +1 に着きます。
つまり,
(+3)+(−2)=+(3−2)=+1
です。
右向き3の方が,左向き2より長いので,
答えはプラスになります。
■ (−3)+(+2) 【負の数 たす 正の数】
まず,左向き3の矢印を原点に置きます。
その矢印のあたまに,
右向き2の矢印のおしりをつぎたします。
左へ3進んだあと,右へ2戻るので,
左向きが1だけ残ります。
だから,最後の矢は −1 に着きます。
つまり,
(−3)+(+2)=−(3−2)=−1
です。
左向き3の方が,右向き2より長いので,
答えはマイナスになります。
■ 違う符号どうしのたし算
符号が違うたし算では,
矢印が反対向きになります。
右向きと左向きなら,打ち消し合う。
左向きと右向きでも,打ち消し合う。
だから,最後に残るのは,
長い方の矢印の向きです。
そして,残る長さは,
2つの矢印の長さの差です。
つまり,
異符号の和は,
絶対値の大きい方の符号をつけて,
絶対値の差を求める。
ただし,絶対値が同じ場合は,
(+3)+(−3)=0
になります。
右向き3の矢印と左向き3の矢印が,
ちょうど打ち消し合うからです。
■ 規則は,理解した後に使えばよい
ここまで,矢印を使って,
正負の数のたし算がなぜその答えになるかを考えてきました。
大切なのは,毎回いつまでも
矢印を書き続けることではありません。
まずは一度,なぜその規則になるのかを理解して,
納得することです。
納得した後は,規則を覚えて使えばよいのです。
そのあとは,
毎回理由や手順を考えなくても,
すぐに答えを出せるようになるまで練習します。
■ まとめ
正負の数のたし算は,
小学校で学んだたし算と別のものではありません。
正負の数のたし算は考え方を広げただけです。
符号だけを見てルールで処理するより,
矢印をつぎたすと考えると分かりやすくなります。
+3 は,0より3大きいから,
0から +3 へ向かう右向きの矢印。
−3 は,0より3小さいから,
0から −3 へ向かう左向きの矢印。
そして,たし算では,
今ある矢印のあたまに,次の矢印のおしりをつぎたす。
これが基本です。
私は,説明の継続性を大切にしています。
小学校で学んだことを土台にして,
中学校,高校へと,
同じ考え方で学び続けられる説明を心がけています。
一人ひとりの理解の仕方に合わせて,
小学校の内容まで戻りながら説明できることは,
家庭教師ならではの強みだと考えています。
また,一度理由を理解して納得する。
その後は,規則を覚え,何度も練習する。
そして,理由や手順を一つ一つ考えなくても,
見た瞬間,手が勝手に動き始めるまで練習する。
これが,私が数学を教えるときに大切にしていることです。
■ ある日の実際のレッスン
以下は,実際のレッスンで正負の数のたし算を説明した時の画面です。
その場で書きながら説明しているため,
字はあまりきれいではありませんが,
実際のレッスンの雰囲気をご覧いただければと思います。
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