日本語・韓国語講師の Hayoung_Eiko です ^ ^
朝、カーテンを開くと、
ベランダの手すりが濡れていました。
昨夜から降っていたのでしょうか。
それとも、
私が眠ったあとに降り始めたのでしょうか。
空はどんよりしています。
いかにも梅雨らしい朝です。
天気予報に並ぶ傘マークを見て、
少し肩を落としたことがある人もいるかもしれません。
私もその一人です。
それなのに、
日本には雨の名前がたくさんあります。
例えば、
梅雨の頃にしとしと降り続く雨は
「五月雨(さみだれ)」
青々とした葉を濡らす雨は
「青葉雨(あおばあめ)」。
七夕の日に降る雨は
「催涙雨(さいるいう)」。
織姫と彦星が会えなかった悲しみの涙だと考えられてきました。
同じ空から降る水なのに、
名前が変わるだけで、
見える景色まで変わる気がします。
面白いのは、
昔の人たちが雨の強さだけを見ていたわけではないことです。
どの季節に降るのか。
何を濡らしているのか。
どんな一日だったのか。
そんなところまで見つめていました。
雨そのものよりも、
雨が連れてくる景色を見ていたのかもしれません。
中には、
季節によって意味が変わる言葉もあります。
「氷雨(ひさめ)」がその一つです。
夏なら雹(ひょう)や霰(あられ)。
冬なら冷たい雨やみぞれ。
同じ言葉なのに、
思い浮かぶ景色はまったく違います。
言葉の中にも、
ちゃんと四季が息づいているようです。
韓国語にも、
雨を表す言葉はたくさんあります。
장맛비(梅雨の雨)。
소나기(夕立)。
이슬비(霧雨)。
가랑비(細かい雨)。
보슬비(しとしと降る雨)。
여우비(狐の嫁入り)。
名前を並べてみるだけでも、
雨にさまざまな表情があることが伝わってきます。
けれど、
日本語の雨の名前を眺めていると、
少し違った面白さがあります。
青葉雨。
催涙雨。
桜雨。
雨そのものというより、
雨が降る季節や、
その雨が連れてくる景色に名前を付けているようにも見えるのです。
梅雨が来るのを楽しみにしている人は、
あまり多くない気がします。
それでも、
人々は雨を眺めました。
若葉を濡らす雨。
七夕の夜に降る雨。
桜の季節を包む雨。
同じように見える空の下で、
少しずつ違う景色を見つけていたのです。
名前を付けたかったのは、
雨そのものではなく、
その雨が見せてくれるものだったのかもしれません。
名前を知ったからといって、
雨の日が好きになるわけではありません。
けれど、
見え方は少し変わります。
「ああ、今日はどんな雨だろう。」
そんなふうに思いながら窓の外を見るだけで、
昨日と同じ空も、
少し違って見えてきます。
雨の季節は、
まだしばらく続きます。
でも今年は、
傘を開くたびに、
今日の雨の名前を、
ひとつ探してみたくなります。
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